単に私が怖がって話せないだけだって言うのに。
「はあ……」
「大丈夫?」
何か心配されてしまった。
だけど、その気遣いは嬉しいかも。
ロビーのそばにエレベーターがあり、それに乗り込みボタンを押す。
「っと、6階か」
間違えて5階を押してしまい、慌てて6階のボタンを押す。
「たまに可愛いミスするよね」
「うっさい」
どこが可愛いのよ。
これで一度、5階に止まらなければならなくなった。
やっぱり誰か入ってくるのって気まずいよね。
そうだ。閉まるボタン連打すればいいんじゃないの。
そうなれば……。
「連打はやめなよ。
壊れるじゃないか」
夏目……お前は粽か。
そんなこんなであっと言う間に5階に着き、階数のランプが一つ消えた。
開いたドアから顔を突き出し左右を確認してから、閉まるボタンを押す。