「あ、ちょ………そこのエレベーターさん待ってください!」
閉まるボタンを押した直後だった。
甲高い女性の叫び声が聞こえ、思わずビクッとなる。
夏目がちゃんと反応して横のパネルを押したらしく、ポーンと電子音がなり閉まりかけていたドアが開いた。
大きな花束が入ってくる。
いや、小さくて分からなかったが、ボタンを押すために振り返ったそれはちゃんと人が抱えていた。
5歳か6歳くらいかそんな年齢の女の子だ。
一生懸命7階のボタンを押そうとしている。
「7階に行きたいの?」
夏目が尋ねると、少女はこくりと縦に頷く。
私は何も言わないのかって?
彼女の一挙一動を観察している為そんな余裕はなかった。
彼女とどこかで会った気がするんだよねー。
声も姿も動きも誰かを思い出す。
でも誰かとは思い出す事が出来ない。
ただ漠然と、こんな人がいたなと思うのみ。
それが胸の中でもやもやする。
一体君は誰?
「青ちゃん、6階着いたけど………行かないの?」
いつの間にかボーッと考えていたらしく、はっと元の世界に帰ってくる。
夏目は不思議そうに首を傾げながら、開くボタンを押しっぱなしにしていた。
何か……ごめんなさい。
「ごめん。ちょっと考え事。
6階だから降りよ」