夕方5時。
朝からバタついてるとはいえ、その中でも最も忙しくなる時間帯である。
あたしが、お客様からの電話応対に追われていたら、(通常はお客様から直接の電話は入らない部署だけど…余程だとかかってくる
)斜め後ろにあるコピー機を、バタンバタンガチャンガチャンやってる人がいる。
隣の事業所KセンターのO貫さんだ。
Kセンターの事務所は別の拠点にあり、彼女だけが事情があってココに駐在している。
なので、ウチのOA機器を貸している。
それは別に、いくらでも使って…て感じだけど。
何でそんなに…使い方が荒いの??と、いつもちょっと訝しく思う。
何でも、雑なのだ。
どうやったら、あんなに大きな音がたてられるのか…不思議なくらい。
あたしも…怒りを抑えて話して下さってるお客様との電話中につき、周りで騒音をたてられるのはちょっと困るな…と、その時は背を向けていた。
荷量も多く、天候も悪く…事業所全体的に、仕事が数時間押しており、夕方になってもトラブル三昧な所に、新たにかかって来た電話だった。
どれもこれも急ぎで、もはやどこから手をつけていいのやら…なので、とにかく…端から、最速な動きを止めないようにして進めていく。
ウチの部署みんながみんな、各々に、あらゆる種類のバタバタに翻弄されていた。
O貫:「ねぇ、アンちゃん。コピーとれなくなっちゃった~」
ア:

「え?どれ?あ、紙づまり?」振り返ると、O貫さんが、片手にクシャクシャな用紙を持っていたので、聞き返した。
O貫:「うん。全部とり出したのに、動かないの」
あたしは、ササッと駆け寄り、コピー機の画面を覗く。
ア:「サイドカバーが、ちゃんと閉まってないんぢゃない?」
すぐさま、警告表示がしめしている右側のサイドカバーを、開け締めして、細部をチェック。
サイドカバーは、色んなサイズで4つある。
あたしがあちこち覗いたり、屈んだり、ホコリで汚れたりしてる間…
O貫さんは、ちょっと離れて、突っ立ったまま見ている。
ア:「あ…
ココがちゃんと閉まらなくなってるよ」下から2番目のカバーの右側が、歪んで浮いている。ヒドイ状態だ。
O貫:「え~?そうなのぉ?」
ア:「…あれ…ココ、割れてるよ。あ…こっちも。ココに止まるハズの所が欠けちゃったから、真っ直ぐにならないんだね。ほら…これが、本当は、こうならないといけないんだけど…」
O貫:「へぇ~」
別に責めるつもりもなかったのに、その他人事のような返答に呆れてしまった。
あたし一人で、しばし悪戦苦闘する。
でも、1カ所なら何とかなっただろうに…3、4ヵ所パーツが割れてるので、どうにもならない。
直らないと困るんだけど…くらいの顔をしている、傍観者、O貫さんに言う。
ア:「すごく遅いけど、FAXでもコピー出来るよ」
O貫:「え?そうなの?」
O貫さんは、反対側にあるFAXに向かう。
今、コピーが使えなくなることは、かなりの痛手なので、アンも素早く次の手に出る。
会議室に一人で籠っているS所長に内線を入れた。
ア:「忙しいところ、すみません。コピー機のサイドが閉まらなくなっちゃったんですけど、前に所長がなおしてくれた時、どこをどうしたんでしたっけ?」
所長は、ちょっとした仕事の話でも…すぐに逃げ出すけど、こういった作業は意外と得意なのだ。
S:「あぁ!じゃぁ、すぐ行くよ!」
ア:「ありがとうございます!お願いします!」
ア:「あ、ココなんです。ほら、歪んぢゃって、なんかパーツが変な向きで」
S:「あぁ、前にどうやったんだっけな~。なんでこうなっちゃったん?」
ア:「あ、O貫さーん、紙づまりをなおしてたんだよね?」
またも、なぜか激しくFAXを使っていたO貫さんが「え?あたし?」てキョトンとした顔をする。
すっとぼけ具合に、周りの人がピクッと反応する。
S:「あ、いいよ。なんとかしてみる。○○さんは、仕事の方進めて」
ア:「はい、すみません」
O貫さんは、まるで知らんぷり。
おいおいおい…おまえだよ

一瞬、プチッときたけど、すぐに抑える。
いつものこと、いつものこと。
あたしも忙しい。これ以上構ってもいられない。
所長に任せておこう。
S:「閉まったよ!」
ウィーーン
起動音がする。
ア:「おぉ!ホントだ!スゴイ!良かった、ありがとうございます」
所長はすぐに会議室に戻っていった。
F:「Sちゃんも、こういうことでは役に立つのね」
O倉:「一番時間があるんだから、たまには使っていいんじゃない」
コピー待ちしてたF田さんが言い、O倉さんも続いた。
O貫さんも使いたそうだけど、若干、バツが悪いのだろう…近づいて来ない。
O倉:「あれ?なんか、曲がってとれちゃうんだけど…どうしたんだろ?」
ア:「ん?どれ?…あら?ホントだ」
O倉さんがとったコピー用紙を覗くと、印刷が斜めに曲がっている。
F:「え~?あたしがとったのは、大丈夫だったよ~」
ア:「あ、ホントだ。大丈夫だねぇ。ん~・・なんだ一体?」
O倉さんが、もう一度とり直してみる。
ア:「あ!用紙自体が曲がって出てきてるわ…ホラ」
F:「あら~・・なんか気持ち悪いね。どうしちゃったんだろ」
調べたら、一段目と二段目の用紙を選択すれば問題なく、三段目と四段目の用紙を選択すると…下から引き上がって来るときに曲がってしまうらしい。
位置的にいって、やはり…さっきのサイドカバー内のパーツがいくつか欠けたのが、問題なようだ。
ア:「とりあえず1、2段目だけ使って、他は…こっから、こうやって、手さしで使ってて!コピーやさん、頼んどくから」
翌日、早いうちにコピーやさんが来てくれて、修理してくれた。
コ:「ココの部品が無くなってたのと、ココも割れてしまってたんで、あと、ココに付いてるバネも飛んじゃってたみたいで…」
説明を受ける。
ア:「やっぱり飛んじゃってましたか
すみませんね~
何度も開け閉めしてたみたいで」コ:「そこは、全て新しい部品と交換しましたんで。細かい部品が多い機種なんで…まぁ、丁寧にと言うか…普通に開け閉めする分には、大丈夫かと思いますが」
ア:「ありがとうございました。すぐに来ていただけて助かりました」
以前から来てくれてる人なので、結構、言わなくても状況を分かってくれていて…だいたい来てもらう時のパターンを読んでいる。
コ:「点検修理ということで、今回は無償で対応という形にさせていただきますので」
ア:「色々とすみません。お世話さまでした」
O貫さんは、こういう時に限って…お休みだった。
コピーやさんが帰ってすぐのこと。
コピー機の騒動は知らなかったT橋さんが、何やら困っている。
T:「ねぇ、アンちゃん、プリンターがやたら詰まっちゃうの」
普通紙用のプリンターから、必死に詰まった紙を取り出そうとしている。
ア:「ありゃ…ヒドイね。このプリンターのが厄介なんだよね。あちっ
」助っ人に入る。
高温注意
の所から、詰まった紙を慎重に取り出すしか方法が無い。T:「なんかね、昨日O貫さんが、一人でガタガタやってたの。無理矢理、何か突っ込んだりしてたんだよ。そのあとからなんだよね」
ア:「ぇ゙…まさか、これもなの?」
T:「え?」
ア:「コピー、直してもらったとこなの。昨日、O貫さんが紙づまりさせちゃったあと、調子悪くて」
なんでもかんでも「O貫さんが」と断定的に言うのもなんだけど…とも思ったけど。
業務的にも、昔からトラブルメーカーだし、あらゆることが雑なので、それらを思うと…ほぼ確定的なのだ。
ア:「あ…ココ、おかしくない?パーツが逆向きになってない?だから詰まりやすいんぢゃ…」
T:「ホントだ。だからか~
でも、こんなんなってるワケないよね?」その後、通りすがりの人も含め、やんややんや。
どうやら、割れてしまったパーツを、無理に突っ込んだら、逆向きに固定されてしまった…といった状態であることがわかった。
そのパーツを取ることも出来ないので、飛び出さないようにだけするのがやっとだった…。
こちらは、本社に申請してから修理を頼まねばならない機器だったので…しばし様子をみることにした。
O貫さんが異動して来てからというもの…仕事上でも、こういったちょっとしたことでも…
火種でいて、炎上させてるのはいつも彼女で、その火の粉でヤケドするのは…うちらなのだ。
そして気づくと、彼女はその場にいない…みたいな

いつも、ゲラゲラギャハギャハ笑ってるのに、そういう時だけ…フェイドアウトしてるから驚く。
更には翌日。
あたしが、来社した営業さんに挨拶し、応対を始めた所に…O貫さんがやって来た。
O貫:「ねぇ、アンちゃ~ん」
何かと思いきや…
O貫:「いきなり、パソコンの文字入力が出来なくなっちゃったんだよ~
見てー」しかも、むんずと腕を取られ、後ろ向きのままグイグイ引っ張られた。
ア:「ちょ…、待ってよ
」どれだけ空気が読めないんだ…

こっちは、話をしてるんだよ

彼女は、あたしの腕を離さない。営業さんを完全に無視している。
周りのが、その状況に驚いて、あたしの代わりに素早く応対に出てくれた。
営業さんの方が気を遣ってくれて、「○○さん、お忙しいなら大丈夫ですよ!今日は別件で来てますから」と言ってくれた。
ア:「すみません、何か…バタバタした感じで…」
謝りようも無い

O貫さんは、悪びれもなく、「見て、ホラ~」とか言っている。
どんだけ自己中なんだ…。
周りの人を困らせたり、巻き込んだりと、空気を乱し…
だけど本人は、まるで台風の目の真ん中にいるように、いたってマイペースに過ごしている。
とは言え、後から…「さっきの営業さん、誰?どこの人?」と聞いてくるのだから…目に入ってなかったワケではないのだ。。。
何をどうしたいのだ…。
最近、なんだか…O貫さんが、悪魔に見える。
いや、以前から…見えていたけど、パワーアップしている気がする。
これは…悪口か?
しかも長々と

だけど、それでも…
真剣に『魔除け』が必要か…と考えているアンなのでありました。。。
くわばらくわばら~




なんてことや…



何か…肩に乗ってませんか??
