あたしの本村洋な人生の意味 | オカマな毎日

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小声で教えてあげる。

国家による殺人によって被害者の命の尊さが際立つというのは,
皮肉な話だけど仕方がない。
これ以外に,命の重さを社会に知らしめる方法を,
あたしたちは持ち合わせていないのだから。

弁護団を非難した本村洋の言葉には恐れ入った。
自分の犯した罪の深さと死への恐怖におののきながら,
死刑台でその生を全うするはずであった福田孝行の,
その一人の人間としての「人生の意味」を案じたのだ。
三十路を迎えたばかりの青年に似つかわしくない冷徹な洞察力と器量に,
田舎のオカマはひれ伏すしかない。
人の人生を弄ぶ弁護士たちに災いあれ。

あたしは,本村の主張を全面的に支持する。
けれど,覚悟を決めた彼の顔を見ると,一抹の不安も覚える。
本村は死ぬ気だ。
福田の刑死を見届けて妻子のもとに行く気だ。
その覚悟こそが人の心を打ち,司法までも動かしたに違いない。