〜DAY22〜
日中の病室は、日に当たるとカーテンのレースを通して薄暗く青い光で満たされる。
カーテンが揺れ、春の桜の香りがほのかにするのに何処か寂しい気持ちになった。
普段、賑やかなデイルームも誰もいない時間に行けば自分だけしか、この精神病院に存在しないんじゃないか、と思うほど異空間に感じる。
やりっぱなしの塗り絵や、写経、粘土細工を置き去りにして一瞬で皆んなが消えてしまったんじゃないかと思うほどだった。
デイルームに1人で座っていると違う病棟のオリエンテーションだろうか、外から微かに声が聞こえてくる。
それによって再び、自分は1人ではないことを認識した。
自分なりに楽しく精神病棟生活を送ってつもりだったが、こういった瞬間に出くわす度に、ふと寂しさに襲われる。
皆んなが外出から帰ってきて食べる夕食が楽しみだ。
いつから自分は、弱い人間になってしまったのだろうか。
こんな時は、いつも酒を飲んでた。
酒なしで寂しさや不安を乗り越える訓練なのかもしれない。
シラフで耐える。
それが出来なくて、入院しているのだから。
続く