〜The beginning〜
休息病棟の看護師が迎えにきて、軽く挨拶をした後に閉鎖病棟を後にする。
二重扉になっている閉鎖病棟の扉の前には、大勢の患者さん達が僕を見送りにきてくれていた。
本当に良い患者さん達に恵まれたと思う。
迎えにきてくれた休息病棟の看護師は、閉鎖病棟の看護師と比べると若くて華奢な人だった。
偏見かもしれないけど、閉鎖病棟の看護師は、パワー系(ガタイがいい)の人が抜擢されるのだろうか。
それに同じ病院の看護師とは思えないほど、物腰が柔らかで患者というより「お客様」といった待遇だ。
すると、看護師が
「休息病棟の皆さんは、RTさんがくるのを楽しみにしてますよ〜」
僕は、目をまん丸くした後、咄嗟に
「えっ…僕が今日からお世話になるってことを患者さん達は既に知ってるんですか!?」
と、聞くと
「えぇ!30代のお兄さんが入院してくるって楽しみにしてますよ!」
お兄さんって…
休息病棟ってそんなにアットホームなところなのか…
何だか気持ちが悪いな…
売店を通り越して隣の棟の一階に休息病棟がある。
休息病棟の近くには庭のような芝生のスペースがあり、綺麗に手入れをされた花々がガーデニングされている。
その先が休息病棟の入り口だ。
看護師の脳みそもお花畑だし、入り口もお花畑じゃん…
閉鎖病棟とは、随分と違う。
この扉を通ると僕の休息病棟生活がスタートする。
続く