〜Digression〜
医療保護から任意への手続きが終わると安堵と達成感があるのかと思ったが、実際にはそうでもなかった。
この閉鎖病棟は、過ごしやすいかと言われれば、制限が多くて患者達のいざこざは、日々絶えることはないし、決して楽しいとは言えないが、3週間も共に生活をしていると、先人がよく言う「住めば都」といった感じで快適なものになっていたのも事実だった。
いつも僕のことを一緒に考えてくれた看護師もそうだし、今までの人生で関わることのなかった愉快でちょっと躓いてしまった患者さん達。
勿論、ずっとここに居る訳にはいかない。
それは、全員がそうだ。
閉鎖病棟の残りの時間は、なるべくお世話になった人達と過ごそうと思う。
依存症についての課題は、一般病棟に行ってもできる。
たわいの無い話でいい、戦友と共に笑って終わろうと思う。
僕と関わってくれた人が僕と同じように、閉鎖病棟もなかなか楽しかったと思ってもらえるように。
続く