〜DAY9〜

PM8:00


近藤さんが夕食後に戻ってこない日は、相変わらず1人でTVを観て過ごしていた。



TVのあるスペースは、3箇所。
それぞれにリモコン権力者がいるのだ。


新参者の僕は、観たいTVがやっている場所を探して隅っこのほうに座る。


・食事するスペースは、NEWSかNHK

・右奥の窓側は、バラエティ

・北側のソファ&漫画があるスペースは、病衣だと寒すぎて長時間いられない


結果、右奥のスペースに行くことが多くなった。


そこのリモコン権力者が、徳井さんという人だった。



徳井(仮)さん
・50代半ば
・アルコール依存症
・常にリモコンを側に置いているが、本を読んでる
・離婚問題を抱えていてイライラしている様子
・口が悪いだけで話すと良い人(最初は、結構ビビる)





そんな徳井さんから、ある日話しかけられた。


「最近、よくここにくるね」


「あっちだとNHKとかなんで…笑」


「たしかにあそこは、ジジイとババアしかいねーもんな。
名前は?何でこの病院に入ってきたの?」


「名前は、RTです!アルコール依存症で…」


その瞬間、徳井さんの顔が満面の笑みになった。


「アル中は、酒飲んでなきゃ普通だよな!この病院、頭おかしいヤツ多いだろ!?」


「はぁ…笑」


徳井さんの中でアルコール依存症は、合格らしい。


それ以来、良くしてもらっている。


「何か観たい番組あったら、変えていいよ」


とか、


一緒に番組表を見て、観る番組を決めたり。
(基本、徳井さんの観たい番組に同調するだけだが)

とかとか、


僕には、優しくしてくれた。


他の人がくると、ソッとリモコンを隠していたが。


続く