わがいのち
この海峡の浪の間に
消ゆる日を想ふ
――岬に立ちて
影二は啄木に傾倒した文学青年であった
『銀の壺』同人で 大正十年(一九二一年) 二十歳の若さで この歌碑どおり
青函連絡船から投身自殺した 自殺の原因はわかっていない
もっとも 人はなぜ生きているか答えられないように
自殺の原因も だれの自殺であろうがわからないのが本当だ
ちょうどこの歌碑は 啄木一族の墓を見上げるように ひっそりと
しかも海を背に向けて立っている
大正十年といえば まだよい時代のはずだ
よい時代であるがゆえに 生きる意味を見失ったともいえる
人生は生きるに値するかどうか だれにも答えられない
影二は「海峡の浪の間に消ゆる」自分の姿に何を見たのか
世相のわずらわしさより そこは美しかったのだろうが
権力の台頭や過剰を許さぬために 若者は生きなくてはならぬ
※ 北海道新聞社発行 はこだて歴史散歩 から引用しました
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