よみがえり吹子のごとき父の胸すきとほりをり肋骨見ゆ
寝台に横たわる父の遺体を見ていたら、柱時計が時を打ち、それを合図にしたかのように父が呼吸をし始めた。
胸部をはげしく波打たせ、口を開けて呼吸している。
はだけた胸の皮膚は黄色く透き通っていて、皮膚の下の骨がどす黒く見える。
やがて父は自力で上体を起こし、寝台から下りようとするのだが、平衡を失ってそのまま床に転落してしまった。
床に座り込んだまま苦しげに息をついている父は、はっきりと目を開き、明らかに生きているのだ。
私は大声で父を呼ぶのだが、父は返事をしない。父の眼球の表面には灰色の膜が張っていた。
私はスマートフォンで介護士を呼び出し、父が蘇生したことを伝えた。介護士はきわめて冷静であり、このようなことは珍しくないという意味のことを話した。