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Anon.のブログ

いずれ闇に消えるものなら
夢や記憶の欠片を拾い集めて
その色彩をガラス玉にどろりと流して
トンボ玉をいくつもつくろう

人物

イガグリ(44歳)
イガグリの父(83歳)
イガグリの母(83歳)



○庭



ウメモドキの小枝で編んだ網に包まれるように、十月の天球。
枝葉の間から射す日がまぶしい。
枝葉に向かって伸ばされる剪定鋏の切っ先。



イガグリ サファリハットをかぶって日差しを避けながら、慣れない手つきで枝刈りをする。



父 「枝を挟んだら、鋏の先で軽くねじるようにするといい。鋏に枝がくっついて、下に散らばらないからね」



丸太の腰掛に背中を丸めて腰を下ろした父の満面に白い日が漲っている。



母 脚立に乗ったイガグリの足下で、落ちた枝葉を箒で掃き集める。



母 「この家に越してきたとき、お婆ちゃんがウメモドキを植えてくれたんだよ」



イガグリ 鋏で枝を狙いながら 

「越してきた頃っていうと、もう四十年近く前か。長持ちするもんだね」



父 「少しほうっておくと、すぐに枝が増えてしまってね。お前がもっと年を取って、僕も母さんもいなくなって、お前がひとりきりになったら、切り倒してしまってもいいかも知れない」



イガグリ 脚立を下りて、剪定鋏を母に渡す。首にかけたタオルで顔の汗を拭く。



イガグリ 庭の隅に置かれた石に目をやる。



石の上には、手のひらサイズの燈篭のレプリカが置かれている。脚が欠け、全体に乾いた土がまぶされたように付着している。



イガグリ 燈篭のレプリカを手に取る。



イガグリ 「これ、まだあったんだな」



母 「あんたは、子供の頃にそういうものにやたらと興味を持ったね」



イガグリ 「こうして間近にこれを見るのは何十年ぶりかな」



イガグリ しゃがんだまま、燈篭のレプリカを手のひらに載せて見入っている。サファリハットの下の顔は黒い影になって、表情は見えない。