「殺人の追憶」P・ジュノ作品♪その1 | スタッフAの、アノマリーな日々

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こんにチワワ。いつもありがとうございます、Aですパンダ

放射線量やらPMなんたらやら高めの郡山、今日は雨降りですよん雨

 

今回は、最近観た映画の中でダントツ面白かったポン・ジュノ監督作品を紹介しますね。

 

 

ジュノっち作品と言えば、「グエムル 漢江の怪物」は知ってる人も多いですよね。

 

残念ながらこの作品、Aはあまり好みじゃないんですよ…あせる

ガンホ兄貴らキャスト陣の演技は素晴らしいんですけど、

なんつ~かなぁ…全体のバランスが取れてなくて、中途半端な気がして。

シリアスなのかコメディなのか分からんまま、感情移入もできず終わる感じ。

もちろんその辺のB級映画に比べたら全然面白くて立派なんですけど、

観た当時は自分の中で結構な違和感が湧き過ぎて、韓国映画を受け付けなくなってしまったわけですショック!

…が…、最近になり韓国映画の面白さを改めて知り(慣れてきた、というのもあるな)、

今更ですがジュノっちの作品を2つ観てみたわけです。

…どちらの作品もかなり衝撃的で(素晴らしい映画だ!、と)、もっと早く観てりゃよかったと後悔ショック!

グエムルとは大分違う作風の2作品。

前置きが長くなってしまいましたが、以下レビューとなりますよん。今回はまず1つ目音譜

 

殺人の追憶」(2003/韓国)

 

実際にあった未解決連続殺人事件を基に脚色されたストーリー。

未解決…ということで、犯人当てを楽しむミステリー映画ではないことは、最初の時点で分かります。

 

面白いのは、事件を捜査する刑事たちの姿。

 

若い女性が次々と村で変死体に…という謎の多い殺人事件に翻弄され、

彼らはどんどんハマっていきます叫び

 

え~、ここで、事件を調べる主要メンバーのご紹介キラキラ (おいらの勝手な分析つき)

 

主役は役作りのために太ったソン・ガンホが演じるパク刑事。男臭さ・おっさん臭さがイイ感じ。

薬局の美人な彼女も、きっとそんな「おっさんっぽさ」にときめいたのでしょう。近年、少ないタイプです。

パクは直感を信じるタイプで、昔ながらの捜査にポリシーを持っているようです。

時に乱暴ですが愛嬌もあり、なんだか憎めません。ベタベタしないけど面倒見が良い、って感じ。

尚、ドロップキックがかなり得意です。

ソウルから来たシティボーイ・大卒の新任ソ刑事は、村の刑事とは対照的なインテリタイプ。

事件に没頭していくうちにパクさんタイプに、いやそれ以上に荒っぽくなっていきまーす。

はだけた女学生の遺体を気遣うシーンもありました。優しくて繊細な故、熱くなっていったんでしょうね。

いつもパクとコンビを組んでた細身の刑事はちょい乱暴者。

学歴コンプレックス気味だし、話術には自信が無さそう。それで口より先に手が出てしまうのかも。

誤解されやすいタイプかもしれません。

素直な所には可愛げがあり、なんとなく母性本能をくすぐるタイプですね。後半、気の毒です…。

 

当時の警察・捜査のずさんさを描写していて、証拠捏造や恐喝などありえないほど酷過ぎるんですが、

 

この映画の刑事たちは人間味があふれていて、なんだかどーにも憎めないんです。

いや、酷いことやっててホンっトにろくでないんだけどね。でも応援したくなる。

バックアップがなってない環境の中での捜査に、同情してしまう部分もあり。

長めの映画ですが一切無駄がなく、説明は無くてもキャラが分かる人物描写が素晴らしいですキラキラ

 

猟奇的な事件がテーマなだけに怖さと暗さはありますが息抜きに笑える部分もバランス良くあり、

 

飽きさせません。

ラストも素晴らしい…ガンホ兄貴のアップ。表情だけの演技。こういう終わり方、とてもイイですねニコニコ

 

以下、勝手にポイントを挙げます。

 

 

「グエムル」とキャストがほぼ同じです、笑ってしまうほどに。おやっさんも居る。

 

グエムル未見の方、グエムルは後に観て下さい…。

 

みなさん素晴らしい演技でした。ガンホさんは映画の度に別人の様に雰囲気が変わりますね。

 

こういう俳優さんってなかなか居ないと思うんですが。

冤罪で捕まりかけた食堂の息子の演技もすごかったです。「ナイス」のスニーカーが笑えるし、悲しい。

 

銭湯での捜査・変態おっさん見つけた時のドヤ顔・家での不精っぷりなどなど…

 

台詞は吐かなくても笑わせてくれるガンホ兄貴。楽しい。

 

メッセージ性もあるなぁと思う。

 

偏見が判断力を鈍らせるということ、一般理論や傾向がどうにも通用しない時もあるということなど…

犯人は「普通の顔」だった、というのもそういうアレなのかなぁ、と。

 

単なる犯人当てではなく、感情移入させられ、考えさせられるこの映画。

 

「ゾディアック」もそうだったけど、こういうのは好きだねぇ。

 

ハリウッド映画にも邦画にも無い生々しさと暗さがバランス良くて、いいですねー。

 

田んぼもいっぱい出てきてノスタルジックなのに不気味さもあって…よかったでごわす。

おいらが小学生の時、田んぼは一番の遊び場だったよ。

 

刑事3人で走り出して段差で一斉にヒョイっとジャンプするシーンがお気に入り。

 

木の枝使っての点滴シーンもなんかイイ。

 

捕まらなかった犯人は事件を忘れられずいて、それはつまり後悔しているということなのだろうか…

 

と思いたいが、不幸を平気で嘲笑うような人間も存在すると思うので、そこは決め付けないでおこうっと。

 

ソ刑事の荒れっぷりや暴力。最初の彼からは考えられなかった行動。

 

逆に乱暴だったパク刑事は冷静になって抑えようとする。面白い変化でした。

犯人の残忍さに目が行きがちですが、追いつめられた人間が壊れる時の怖さ、

普通の人だって状況によっちゃ恐ろしい人間に変わっちゃうよ、ということを実感させられます。

(それでも最後のストッパーがあるかどうかで違ってくる、と信じたい)

 

…長くなってしまいましたが、とても心に残る映画でしたニコニコ

 

もう一度観返してみたら、多少ダルく感じた中盤さえ面白く思えましたよ。やっぱり無駄が無いんです。

なかなか無い、凄い映画です。

 

次回、もう1作品紹介しますねニコニコ

 

 

それではまたコスモスハチ