昨年暮れに、八代亜紀さんが亡くなりました。これでまた、ひとつの時代が終焉してしまった感があります。
 数年前に、たまたま八代さんが若いころの動画を見かけたことがありまして。1981年のものらしく、代表曲『舟唄』を歌っている場面。そこで思ったことがあります。
「あれっ、低音が出てないぞ?」
 田原俊彦さんをはじめ、低音を苦手とする歌手は大勢いますが、八代さんも例外ではなかったのでしょうか。
 演歌に詳しい方の解説によると、八代さんの音域は高音寄りなので、低音域はもともと出なかったのだそうだ。しかもその後、ノドの手術を受けたことで、こんどは高音も出なくなったそうなんです。つまり全体的に音域はそれほど広くなかったのかなーと思われますね。ジャズを並行して歌っていたのは、それもあってのことではないかとの見解もありました。
 しかしそれでも、あのハスキーヴォイスと佇まい(そこへ至るまでに相当の辛酸をナメてきたのではないかと思わせてしまう)は演歌の世界が抜群に似合うのでありまして、これについては他の追随を許さぬものがありました。
 ゆえに、歌番組には当たり前のようにいてほしい歌手だったと思います。そして今後しばらくは、八代亜紀のいない歌番組に物足りなさを覚えながら過ごすことになるんだろうとも思います。
 いつもいつもそうなんですけど、その人の存在の有難みを痛感するのは、いなくなってからなんですよね。
 

 

 

 

 

 


 さて本日のイエスノー世論回想記事は2010年3月に出題したものからです。

 
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【問題】
北海道増毛町にあると思われる小さな居酒屋“桐子”。倍賞さんがひとりで経営しています。
お店はいつも閑散としていて、お客といえば健さんくらいなもの。しかも健さんは身内になったらしく、はたしてお代を貰ってたのかも定かでありません。

その健さんでさえ、なんやかんやで去っていきます。



このお店の経営は大丈夫でしょうか?
 
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 1981年に製作された映画『駅 STATION』を題材にしたトピックでした。同映画は名作『幸福の黄色いハンカチ』に続く高倉健&倍賞千恵子のコンビによる映画で、やはり北海道だが今回は増毛という町が舞台です。'80年代以降の作品には厳しい見解を持つ私からみても、数少ない良作といえる邦画だと思います。
 
 
 イエスノー世論の参加メンバーは高齢層が多くて、高倉健さんを好きな人もけっこういました。それもあってか、いつもは私の出すトピックには毎度「なんだかなぁ」と思われていたのだと思いますけど、このトピックには比較的好意的な反応でしたかね。こちらとしては「なんだかなぁ」と思われるようなものをわざと出題していただけに、ただ馴染みがあるものを出したことによって好意的にとられてしまうと面白くないんですけどね(苦笑)。
 馴染みがあるだの知ってるだの、そんな思考パターンで食いつきがよくなったりそうじゃなかったりでは世界は広がっていきませんよ。
 
 
 同映画では劇中に『舟唄』が何度も使用されていることで知られています。しかし個人的には、曲に頼りすぎといいますか、曲をプッシュしてるのが透けてうかがえるといいますか、少々無粋な演出だったかなーという印象もありました。似たようなことは『二百三高地』における『防人の詩』の使い方にもいえることで、ひとつの映画におなじ曲を複数回使用するのは、よほど特殊なケースがない限りやらないほうがいいと思います。
 とはいえ『駅 STATION』の場合はドラマのなかで使用する必然性が、『二百三高地』よりは感じられました。また、そういった演出がどうのという問題があったにせよ、これらの映画が大好きなことには変わりありません。
 
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コメント全温度チアーさんのコメント⇒【NO】たぶん八代亜紀の歌を聴き、初めて「お酒はぬるめの燗がいい」ことに気づいたのでは?日本酒 最後のヘコんだ表情を見るかぎり、じきにつぶれることでしょう。
それにしても阿藤快さんは、こんなところで“ぶらり途中下車”するのはいいけど、そういうことしちゃ…なんだかなあ。

※トピック出題時と本記事では使用した動画が違います。

たぶんトピック出題時に使った動画では、阿藤快さんが活躍する場面もあったのでしょう。

 

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『駅 STATION』では紅白歌合戦で八代さんが『舟唄』を歌う場面が映っておりました。あの時代、歌番組は多くの日本人にとって大事な娯楽でありました。その当時からすれば現代は考えられないほど日本人にとっての歌番組の位置づけは低いものとなりました。
 娯楽が増えたこともあるのでしょうが、日本人は本当に耳を使って音を楽しまなくなったような気がします。CSなどでむかしの歌番組を再放送してるのを見ることはあるのですが、あのとおりのことを現代でやっても、おそらく現代人にはウケないんだろうなと思います。
 


 なお『舟唄』では「女は無口な ひとがいい♪」とのことですが、たぶん男も無口なひとがいいんだと思います。
 ついでに、プロレスラーも無口なひとがいいです。

 



 ただ、素の健さんは無口じゃなくて饒舌だったそうです。