本日の「そんなに陽のあたらない名曲」はよいこのデンジャラスセレクションシリーズをお休みして特別企画を考えていたのですが、それに使いたいと思っていた動画が消されておりまして中止。じゃあもうひとつ考えていた別の特別企画へ変更しようと思ったんですけど、そっちの動画も消えておりまして断念。結局、通常運行(?)のよいこのデンジャラスセレクションをやることにします。
本日はサマーソング特集。夏っぽい音楽、夏に聴きたい音楽、夏に聴かなきゃいけない音楽を集めました。そして今回はオール邦楽。まさに“日本の夏”に浸りながらの音楽鑑賞でありますよ。みなさんはビールでも飲みながら、あるいは風呂上りにけっこう仮面のコスプレでもしながらお楽しみくださいませ。
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パチソン『おはよう!スパンク』<作詞:荒木とよひさ/作曲:馬飼野康二>
アニメ『おはよう!スパンク』のオープニングテーマですが、ニセモノです。動画をupした主さんいわく「サンフランシスコの雑貨屋で$0.99で買ったカセットテープより」とのこと。
本曲の聞きどころはパチソン歌手特有の垢抜けない歌声もさることながら、途中で入るコーラスの「スパンク♪」を、メインヴォーカルやってる人が兼任でやらされてるところ。しかもコーラスのほうは、ただの裏声。せめて別々に録って編集で重ねるくらいのことはしてもよさそうなのに、一発録りで仕上げてしまっているようなのです。
「二人で一人♪」と歌っておりますけど、このパチソンでは「一人で2ポジ」。するとギャラも2倍・・・にはなってないと思う。海老一染之助・染太郎のフレーズ「これだけやってギャラおんなじ」を思い出しながら聴いてください。
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能瀬慶子『裸足でヤング ラブ』<作詞:浜田省吾/作曲:浜田省吾>
ちょうど2年前にupしました「よいこのデンジャラスセレクション⑱【涙】ティアドロップ探偵団」の項にて反響を呼んだ、あの能瀬慶子をふたたび投下。その“浜田省吾の無駄遣い”っぷりは聴く者の脳を容易く狂わせる破壊力を誇りました。
厳密に言うと音程はそれほど大きく外してるわけではないので音痴ではないのかもしれません。鼻濁音だけはバッチリです。が、それでも歌のセンスが絶望的にないことは明白。なのに思わず聴き入ってしまうのが不思議な歌い手で。あれは名人芸と言っていいレベルなのでありましょうな。
そんな能瀬慶子が『アテンション・プリーズ』からわずか3ヵ月後の1979年4月、早くもセカンドシングルをリリース。さて今回は誰の作品なのでしょうか?
浜田省吾でした。 (>_<)
しかも『アテンション~』のときは作曲のみの担当だったのに対し、今回は作詞までやらされて(?)いるのです。断わらない浜田省吾、またしても能瀬慶子の餌食にされてしまう。
しかしさすがに前回の彼女の歌のレベルを聴けば「この娘には、この程度のがよかろう」と判断したのかしなかったのかは知らないが、なかなか薄口な内容にとどめているように私には感じられる。たぶん浜田省吾がこの曲をセルフカヴァーすることはないだろう。
もちろん能瀬慶子は、そんな期待を裏切ったりはしない。「Young Love Young Love~♪」という歌詞のくだりは「やんぐらぶやんぐらぶ・・・♪」と、ひらがな表記の歌詞なんじゃないかと勘繰りたくなるような歌唱法・・・つまり英語がまったく似合わないほどのイモ娘風情なんでありまする。つくづく魅力的な人材だ。
にもかかわらず当の本人は堂々とした歌いっぷりなのだから恐れ入る。“浜田省吾の無駄遣い”を二度もやらかした女として彼女の名は永遠に語り継がれることだろう。どうしよう、どうしよう、どうしよう~。
ちなみに能瀬慶子はこの年(1979年)にシングルを4枚出しているが、その4枚でレコードのリリースはストップ。歌手としての活動は約1年で終了しているもよう。ドラマへの出演(「ここはどこ、私は誰?」という演技がお笑い芸人などによってパロディのネタにされる)もあったようだが彼女の芸能活動は実質1年のみで、1983年、20歳で正式に引退したのち早々と結婚している。
ところがです。1988年7月に放送された『思い出のアイドルスター大集合in大磯』という番組に出演していたらしく、そのときの動画がupされていた。
25歳になった彼女はスッキリと垢抜けており、歌い方も(上手くなったわけではないが)ふつうになっていた。演奏のテンポがややスローなためか、落ち着いた雰囲気すらまとっている。まるで別人のようにイモくささが消えてしまっているんです。いいことなのか、そうでもないのか・・・ちょっと複雑な気分にさせられますな。
それからずいぶん経ってしまったけれど、いまは還暦になってるハズの能瀬慶子さん、お元気にされてるかしら?
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高木ブー『僕の大好きな場所』<作詞:篠原ともえ/作曲:吉田拓郎>
動画サイトを漁っていて、たまたまたどり着いたのが本曲。楽しげな曲だ。そこには歌手名などが無記入だったので誰が歌っているのか、しばらくはわからなかった。だけど5分半もある少々長めな尺なのと、手の込んだ構成、そしておそらくはふくよかな体型のおじさんが歌っているのであろうことが感じられ、なんとなくではあるが、たぶん名のあるミュージシャンの声なのではないかと予想したのです。
とりあえず「後で見る」に保存しておいた。そして後日、ふたたび聴き直すときが来たので調べてみた。
声の主は、なんと高木ブー様だった。たしかに名のあるミュージシャンだったわ(笑)。そうだ、ブー様はファルセットが得意だったな。しかも吉田拓郎作品。作詞したのは篠原ともえらしい。リリースされたのが2015年というから、まだ新しいではないか。タクロー×シノラー×ブー。なんでこの組み合わせなんだろう? どこかの番組で立てられた企画なんだろうか? ご存知な方がおられましたら、おしえてください。
あ。記事の冒頭に今回のテーマは“日本の夏”だって書いたのに、この歌の舞台は思いきりハワイだ。トロピカルだ。なんかゴメンナサイ。
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殿さまキングス『けい子のマンボ』<作詞:たかたかし/作曲:吉田正>
1980年発表のマンボ歌謡。
♪久しぶりだね けい子
♪きれいになったね けい子
♪きみはセクシー
♪秘密がにおうよ
♪信じられないけい子 君が人妻なんて
歌詞だけを見ると、よくある不倫系ムード歌謡なんですよ。それこそスナックで歌われてそうな。女の名は「けい子」。まさか能瀬慶子のことではあるまいな?
けい子の正体はともかく、この詞の内容だとふつうは男と女のドロドロな人間関係が展開される流れになっていくハズで、そういう背徳感を楽しむのもムード歌謡のいいところなのではないかと私は思うのです。
だけどそこへ、かなり能天気に「マンボ!」のコーラスが割り込んでくる。ドロドロどころか陽気な世界になってしまっているような錯覚さえ感じさせてます。
♪帰したくないマンボ (マンボ!)
いや、なんでマンボなんだよ? ふたりでせつなく踊る曲が、なぜマンボなのか? ふたりでせつなく踊る曲のなかに、なんで「ウゥッ!」って合いの手が入ってるのよ?
さらに終盤の「けい子 マンボ けい子 マンボ♪ マンボ!」のたたみかけは圧巻。この曲はカラオケになってるそうなので、全国のけい子さんはいじられチャンスです。
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2017年6月にupしました「よいこのデンジャラスセレクション⑦【太陽】 ☀さわやかな空の下で首のない人形を抱えて」以来、二度目の登場となりますトランザム。本曲は国際障害者年協賛番組『地球の仲間』のテーマソングであり、一時期NHKでは頻繁に流されていた曲なので憶えておられる層はたくさんいらっしゃると思います。ですが当ブログの性質上、ただ懐かしんでもらおうという気は毛頭ございません。
今回これを採り上げましたのは、動画なんです。トランザムといえば『ビューティフル・サンデー』のカヴァー曲をはじめ、数々のCMや劇伴音楽を担当していたバンドですから、その名がクレジットされているのを見かけることは非常に多い。しかし、では彼らが演奏している姿を見たことがあるのかというと、あると答える人は少ないのではなかろうか。少なくとも私は初めて見た。
ヴォーカルの高橋のぶさん、こんなに首をフリフリしながら歌ってたのね。2015年に65歳で他界されているが、彼のハスキーでハイトーンな歌声は多くの日本人のなかにいまでも生きていると思う。
映像はフジテレビ『夜のヒットスタジオ』へ出演したときのものらしいけど、NHKでは他局で使われてる音楽は使わない方針だったのに、他局で使われるのはアリだったんですかね?
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以上、5曲。どーですかお客さん、いいのあったでしょ? 夏の本番はこれからですけど、今年の夏はこれらを聴きながら乗り切ってくださいな。
ちなみに我が部屋は春先に動かなくなった窓が、まだそのまんまです。暑くても開閉できません。なので例年より暑いのをとても満喫しております。そんな部屋でコレ書いてます。みんなもマネするといいよ。
えと。スイマセン、もう一曲ほど追加していいですか? じつはアメブロの投稿ネタにどんなのがあるのかと漁っておりましたら「#個人的B面の名曲」という、アメブロにしては粋なお題があるのを発見しちゃったのですよ。
ここではA面じゃなかろうがシングルカットもされてなかろうが、いいと思うものを積極的に扱ってきた自負があります。なのでこれは当ブログにはもってこいなお題ということですね。だったら当然、参加しない手はありません。
見てろアメブロ、うちが推すB面というのはこういうやつじゃ。思い知るがいい!
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ローラ・ボー『ブルーの雨』<作詞:橋本淳/作曲:あかのたちお>
ローラ・ボーという人物をご存知だろうか? 主に'70年代から’90年代にかけてアメリカの女子プロゴルファーとして活躍してた人です。なのにネットで画像検索してみたら、やたらと水着の写真が出てきます。これではゴルフの選手なんだか水泳の選手なんだか、はたまたグラビアモデルなんだかわかりません。
どうやら彼女、当時は“グリーンの妖精”と呼ばれ、日本でもCM出演やカレンダー撮影などで需要が高くアイドル的な人気を誇っていた「モスト・ビューティフル・ゴルファー」だったのだそうですよ。
そんなローラさんですが、当時は人気者には歌を歌わす風潮が強かったこともあってか、レコードデビューも果たしておりました。ところがその歌声は某ラジオ番組にて、あらぬ方向で絶賛されてしまうことに。そう、あのコサキンソングとして有名になっちゃったのでありますよ。
まずは聴いてください。『ラブリー・ローラ』。
アナログ盤DEコサキンソング
— ジャブきち (@jabbkichi) March 26, 2020
6曲目は
「ラブリー・ローラ/ローラ・ボー」
♪コ イ ハ タトエバ ミズゥイルォ〜#コサキン #コサキンソング #kosakin https://t.co/TSASrPv74y pic.twitter.com/CANe5Ugilq
はい、ぜったいに歌詞の意味など理解していないのを無理やり歌わされました感100%な歌唱法ですね。いやぁ、ここまでアレだと逆にお見事。なんだか、聴くたびに得したような気分になれるのが不思議です。
・・・と、一般的にはローラ・ボーといえばこの曲になるんだと思うのですが、ここで私は変化球を投じたいと思います。嬉しいことに彼女の歌はこれ以外にもあります。それを出したい。
『ラブリー・ローラ』はシングルレコードのA面曲。となると当然、B面曲も存在いたします。そこでこのたびのお題「#個人的B面の名曲」が生きてくるわけですね(厳密には「#個人的B面の迷曲」になるけど)。
『ブルーの雨』。A面で「水色」なるワードが何度も出てきていましたが、B面では「ブルー」。おなじ青系の色でまとめようとしていたもよう。夏を思わせるキーワードは「避暑地」です。
作詞者は数々のヒット歌謡を手がけてきた橋本淳、作曲者は『欽ドン!!良い子悪い子普通の子』のあかのたちお(A・B面ともにこのコンビ)。せつない歌詞も甘いメロディラインも美しいアレンジも、曲としては文句ナシの出来。然るべき歌手に歌わせれば胸を打つ、感涙モノのナンバーとなっていたことでしょう。
ところがです。完成形ではそれとはかけ離れたものになってしまっていました。コミックソングよりも大きな笑いがとれるくらいのやつです。それほどの力が、ローラさんの歌には宿っているようなのですよ。
例えば「私は小舟」が「ゥワツァスィワー 小骨~♪」に聞こえるし、例えば「ゆれてあなたに」は「ユゥルェツェ アーナツァニー♪」に聞こえるし。とにかくタ行は「ツァ・ツィ・ツ・ツェ・ツォ」な発音になるらしい。歌ってる本人も不本意なんだと思うが、作った側としても「こんなハズでは・・・」とアタマを抱えていたに違いない出来栄え。計算してたんでは決して実現しなかったであろう奇跡のナンバーを生み出してしまったのだ。そしてこれを闇に葬るのではなく、堂々と(仕方なく?)世へ送り出すことにしたレコード会社の英断には心から敬意を払いたい。
本曲は『昭和カタコト歌謡曲 <女声編>』というCDに収録されておりますが、サンプルの再生可能な音源をひととおり聴いてみたかぎり、ローラさんのカタコトぶりは他を大きく引き離してぶっちぎりの優勝だと思いました。この曲も“日本の夏”としてはいかがなものかと不安な気がいたしますが。
でもこんなブログへたどり着いてしまったのが運の尽きなので諦めてください。