前回、当ブログにおける2019年の記事で集計をおこなった結果、この「そんなに陽のあたらない名曲」は、たった2回しかやってなかったことを書きました。
 半年にいっぺんか。こんなにローペースでやるつもりはないのです。なので本日は半ば慌てて記事に着手することにした次第。
 
 よいこのデンジャラスセレクションシリーズは小ネタに近いコーナーです。特定の曲についてガッツリ書くときと違い、比較的簡単なレビューの詰め合わせ的な構成にしています。
 そして当ブログでは、ただ曲を紹介するだけでは面白くないと思い、その回ごとにテーマを設けることにしたのです。記事に扱いたい題材はいくつもストックしてあるのですが、そのなかからテーマに該当するもの5つにゴーサインを出してゆくのです。
 ところがです。この自分で作ったルールが自分を苦しめることになってる始末でして(苦笑)。
 5つ揃える作業が案外、大変なんですよ。いつも2つか3つくらいでコマ不足だったりね。こういうのは4つまでいったら「よし、リーチだ!」となって、ちょうどいいのを探しに出る作業へ入れるのですが。
 残念なのが「いまこの曲の気分なんだけどなー」とは思うものの、テーマに該当しないので先送りになるパターン。これが繰り返され、いつまで経っても出番がこないまんまなのも存在します。
 
 そんな経緯を経まして、このたび5つ出揃いましたテーマは【女ごころ】です。秋の空は終わってますけど。
 さあ今回も、どんな名曲が登場するのか予想しながら聴いてください。
 

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音譜小坂恭子『風の挽歌』<作詞:万里村ゆき子/作曲:坂田晃一>
 
 当ブログでは何度も採用しました坂田晃一作品のひとつ。
 その日も坂田作品を漁っておりましたところ、たまたまみつけたのがコレ。小坂恭子の代表曲である『想い出まくら』の次にリリースされたシングル曲で、1975年のテレビドラマ『野わけ』の主題歌だったそうだ。ギターはクロード・チアリが演奏してるらしい。
 小坂恭子はシンガーソングライターだから、基本、楽曲制作は自身がおこなう。だが、この曲は珍しく非オリジナル曲であったもよう。ドラマ全般の音楽を坂田晃一が担当したため、カラーを統一する狙いがあったのかもしれない。
 それでも小坂恭子の歌唱は抜群であり、坂田作品ともマッチする。
 しかしながら、この曲を歌う彼女の声は鋭利な刃物のように冷たい。歌に登場する幸せに飢えた女性から、その希望をナイフのごとく削ぎ落してしまうかのよう。まったく光明を見出せないでいる女の姿しか思い浮かばないのであります。
 きっとこの女性は不幸から抜け出せないまま生涯を送ることになるに違いない。
 

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音譜志賀勝『<作詞:賀川幸生/作曲:賀川幸生>
 
「久し振りでんな、志賀勝や!」
 はい、お久し振りです。2016年7月以来です。そして当ブロブでは3回目の登場ですよ、志賀勝。この曲だって何度も出そうとは思ってたんですが、そのたび動画が削除されてしまうこともあって現在に至りました。
 このたびも心配でした。たぶん動画がカラオケ用の映像(本人出演!)みたいなんです。まさか、よくある素人の「歌ってみた」シリーズでガッカリするやつかと危惧しましたさ。
 でも声を聞いて安心。この鼻濁音、そして素人離れした巻き舌は、まさに志賀勝先生ご本人のもの。これは有難く拝見しましょう。
 志賀先生の歌は初期こそしっとりと真面目路線で走ってたものですが、このころになるとすっかりコミカル路線に突入してしまったようです。
 当曲にしてもそう。最後に関西風の大オチが待っていました。とりあえずズッコケましょう。 ミ(ノ_ _)ノ=3 ドテッ!!
 
 
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音譜香山リカ『リカちゃんのタンゴ<作詞:若木香/作曲:松井ひさし>
 
 リカちゃん人形が絶頂にあった1960年代終盤から1970年代初頭にかけて、その業界ではある変化が訪れた。この人形に、歌手としての生命体を与えようという動きが始まったのである。
 当初は18歳だった女性がその役をこなしていたようだが、1971年、ついに当時9歳の少女が「実存する生身の生命体」の香山リカとして姿を現すことに。
 ただしジャケット写真を見ておわかりのように、この香山リカは人形と同サイズの小ささなのであった。
 そして肝心の歌唱のほうですが・・・なんだか、ものすごいことになっております。9歳の少女へ歌わすにしては少々背伸びした歌唱スタイル。加えて音源が音割れ効果を発揮。その結果、ちょっとしたホラーな歌声にしか聞こえなくなってしまっているのだ。
 とりあえず「小さくても女は女」を表現している、という意味では成功かと思われる。
 あと、人間体の香山リカが大山のぶ代似なのもよくわかりました。
 

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音譜應蘭芳『ドラマチック・ブルース<作詞:佐伯孝夫/作曲:鈴木庸一>
 
 これも久しぶり、2014年10月以来になる應蘭芳さんの登場です。あの放送禁止歌曲指定となった『痛い痛い痛いのよ』には、いまだ体のどこかが痛いときにはお世話になっております。みなさんもぜひ、お試しください。
 さて本曲。女・・・というよりは「メス♀」ですね。鼻を衝くメスの臭気がプンプンしてくるような仕上がりでございます。これを『銀座カンカン娘』『有楽町で逢いましょう』『いつでも夢を』などで知られる佐伯孝夫が作詞、そして『東京ドドンパ娘』『伊勢佐木町ブルース』などを手がけた鈴木庸一が作曲という陣容にて誕生。『痛い痛い~』のときとおなじコンビである。唯一、編曲者のみが近藤進に・・・と、これまでにはなかった作家に変更されている。
 が、本曲には歌唱がない。すべて語りというか、しゃべりのみ。これをムードたっぷりの音楽が包んでいる構成。当ブログでは2018年7月にupした記事で紹介しました、桑原幸子が出したレコードのそれと同類のものに属する。
 ではこの曲の使用用途が何に適してるのかと問われれば、私はこう答える。牛乳を口いっぱいに含ませて互いが見合い、にらめっこするゲームがあるじゃないですか。そのときのBGMに使うのがいいと思いますよ。
 そういえば應蘭芳と桑原幸子は『プレイガール』繋がりなんですよね。
 

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音譜Emi-chan(マジカルエミちゃん)『おっぱいでかなりたいなのは☆<作詞:ながつきあいか/作曲:ながつきあいか>
 
 当コーナー史上、トップクラスでヘビーなやつなので心してお召し上がりくだされ。
 ここに登場しますEmi-chan(マジカルエミちゃん)なる歌手(?)、地下アイドルなんだそうです。“永遠の17歳”と謳ってますが実年齢は不詳で、正直、オバサンなのかオジサンなのかもよくわからない。
 地下アイドルとはいえ、彼女(?)をご存知な方もおられると思う。あの『探偵!ナイトスクープ』への出演実績があるからだ。それは「歌手の口パクを見破る男」という回でした。タイトルどおり、歌ってる人を見ただけで口パクかどうかを見破れる素人さんを検証するという企画。これのサンプル歌手として白羽の矢が立ったのが、なぜかEmi-chanだったのです。
 ところが番組を見ていくうちに実験結果はどうでもよくなってゆく。Emi-chanなるアイドルのキャラクターが強烈なのと(ライブのもようも映っていたが、トークになるともっぱら相撲か将棋オンリーになるらしい)、本曲の脳内リフレイン率の異常な高さがインパクト大でありました(探偵の石田靖いわく「中毒性高い」とのこと)。
 あらためて動画で聴いてみたところ、その破壊力はやはり尋常ではありませんでした。曲の変則的な構成、オッサンの屁まで楽器の一部として採り入れてしまう大胆さ、そしてEmi-chanの神をも畏れぬヴォーカル・・・想定外にもホドがある。
 聴いた私がアホだったのか? これは私だけがこんな想いをするのはシャクなので、ぜひ、みなさんにも聴いていただきたいと思うに至った次第であります。苦情は受けつけません。

 
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 以上、5曲。お気に入りはありましたか?
 では本日は、これにて閉店ガラガラ。
演劇
 
かお
 
かお
 
かお
 
かお
 
かお
 
 ・・・と思ったのですが、さすがにこれで終わってしまっては良心の呵責に苛まれてしまいます。
 なので急遽、毒消し効果を求めて一曲追加したいと思います。どうかどうか、これで許していただけないでしょうか。
 
音譜森進一『世捨人唄<作詞:岡本おさみ/作曲:吉田拓郎>
 
 たまたま見た歌謡ポップスチャンネルの『70's80's JUKEBOX B面コレクション』という、発売年別ランキング上位10曲のB面に収録されていた曲を流す番組で、1974年度編として紹介されていた曲。岡本おさみ&吉田拓郎のコンビで誕生し、レコード大賞受賞曲にも選ばれた『襟裳岬』のB面曲であり、こちらも岡本&吉田のコンビで作られている。
 ただし関係者のあいだで『襟裳岬』の前評判がよくなかったため、当初は『襟裳岬』のほうがB面扱いだったらしい。これを森の熱意で事務所スタッフの反対を押し切り、両A面という扱いに変更して発売したという経緯がある。
 どちらかというと「女ごころ」じゃなくて「男ごころ」寄りの内容だと思う。それも、まだ女性に幻想を抱いていられる男性の歌かと。だが、女ごころの迷走・暴走ぶりを食い止めるには男ごころを投入して中和するのが適切であろうと思い、これをチョイスしてみました。
 どうですか、しみじみと聴いていられますねぇ。さすがは拓郎音楽の情緒担当=岡本おさみの歌詞は文学的。拓郎の作曲、馬飼野俊一の編曲も、いちいちツボに心地いい。現代の日本の音楽が忘れてしまったものが、この曲にはある。
 ちなみに『襟裳岬』も『世捨人歌』も拓郎みずからが歌った版が存在する。個人的には『襟裳岬』は吉田版のほうが好きだが、この『世捨人歌』は森版のほうが好きだ。
 
 
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 森さんと「おっぱいでかなりたい~」を同列に扱うのは大正生まれのブログだけ! \(^o^)/
 もし「予想が当たった!」という方がいましたらご申告ください。ココ山岡のダイヤをプレゼントしちゃいますよ。 (゚д゚)ノ⌒
宝石紫
 

 

 

 

 

 

 

 

 

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