梅雨ですね。いや、もちろん厳密には梅雨じゃないんですが、雨ばっかり降ります。洗濯物が外に干せない日が非常に多い。
 思えばこの夏、うちのマンションが塗装工事をおっぱじめまして、7月いっぱいは窓もろくに開けられない状態が続いていました。うちは上の階なのに作業員がベランダに侵入してきて外から窓を閉められる、というドッキリ現象も経験しましたよ。
 さいわいにして暑い日が少なかったため、そこの部分だけは助かったのですが、唯一、作業がなくて洗濯チャンスになるはずの日曜日がことごとく雨天。ホント、あれには参りました。
 工事は終わったものの、天候のほうはそんな状態がいまだに続いているのです。昨日もまた、外出先で傘を忘れてきました。きっと今年は傘忘れの新記録を作ったことと思います。雨
 
 
 では本日の「よいこのデンジャラスセレクション」は【雨】にテーマを絞って展開していきたいと思います。いま、どういうわけか我がPCではInternet Explorerでの動画の埋め込みコードが表示されなくなってるため、違うブラウザを同時に立ち上げながらの記事作成です。不安です。
 なお今回は「そんなに陽のあたらない名曲」にしてはヒットしたものも扱っていますが、それでも多くの人が忘れているのではないかと思われるものに抑えてますのでカンベンしてください。
 
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音譜ディック・ミネ『或る雨の午后』<作詞:和気徹作/作曲:大久保徳二郎>
 
 1939年、作詞家の島田磬也(和気徹作)、作曲家の大久保徳二郎、そして歌手のディック・ミネがメンバーに名を連ねるチームで、第二次世界大戦前のテイチクレコードのヒットメーカーだったディック・ミネ・エンド・ヒズ・セレナーダスの演奏によって生まれた曲。これのレコードではB面の『上海ブルース』もかなり有名である。
 SPレコード時代のサウンド、ジャズのテイストは、現代のJ-POPとは明らかに一線を画すものとして耳に入ってくる。やたらとハイテク技術に依存しがちな現代音楽にはない、心洗われるような空気が、ここにはある。これこそが「昭和歌謡」、あるいは「流行歌」「懐メロ」と呼ばれるべき音楽なのだろう。さらにはタンゴのリズムであり、ダンスミュージックに分類されるべき楽曲でもある。
 内容的には「或る日の午後」にあった出来事を歌ったものであるが、どっちかというと午前中に聴きたくなるような気分にさせられる。午後の紅茶を午前に飲むようなものか?
 つい先日まで藤田まことが同曲を歌っている動画を見かけたものですが、残念ながらもう消されていました。
 
 
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音譜石毛恭子『レイン・ドロップス』<作詞:中村しのぶ/作曲:Burt Bacharach>
 
 初期の当ブログで、映画『明日に向って撃て!』を扱った記事を書いたことがある。何度も何度も動画が削除され、そのたびに新しいのを探して貼り直している記事です。
 同映画の劇中歌として有名な『雨にぬれても』が使われていたシーンは、非予定調和で主人公らが悲劇的な末路を遂げることの多いアメリカン・ニューシネマのなかで、まるでそこだけが違う世界のように牧歌的で平和な空気に満ちあふれていた。 ※厳密には『雨にぬれても』にアレンジを加えた仕上がりになっており、サウンドトラックには『二人の自転車』と表記されている。
 

 本記事にて紹介いたしますのは、この『雨にぬれても』に日本語の歌詞をつけたカヴァー版。それを『ママとあそぼう!ピンポンパン』にて恭子おねえさんが天地真理式歌唱法を使って(?)歌っていたもの。『雨にぬれても』は多くの歌手によってカヴァーされている曲ではあるが、アメリカン・ニューシネマ発の同曲が幼児向け番組でもブレイクを果たすパターンは他にあるのだろうか?
 なお『ピンポンパン』はアイドルアナウンサーの登竜門だった側面もあり、歴代おねえさんはフジテレビの若手女子アナが担当していたもよう。恭子おねえさんももともとはアナウンサーの人で、ピンポンパンのおねえさんとしては2代目にあたる。
 さて、あらてめて本曲を聴いてみますと・・・・・・歌詞が字余りばっかりじゃねえか(笑)! そんなに情報を詰め込んでどうする? これを恭子おねえさんは強引に歌い上げているのだ。
 好意的に見れば「一つ 二つ 三つ 四つ♪」のくだりならまだ「ナルホドね」と解釈できなくもないが、そのあとの「針千本飲みます 約束します♪」の箇所は何かの罰ゲームでもやらされてるのかと気の毒になってしまう。もう許してあげてくれと。本当は違う曲につけようとした歌詞なんじゃないかとも思った。 (;^_^A
 歌い手に優しくない歌と言いますかね。よくもまぁこんな詞をつけたもんだと思わずにはいられないが、この無茶ぶりソングを笑わずに歌い切ってしまう恭子おねえさんはやはりアナウンサーとしての素質もあったということなんだろうな。
 

 
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音譜レピッシュ『水溶性』<作詞:上田現/作曲:上田現>
 
 ハッキリ言って音楽的には趣味ではない。ただ、歌詞が素晴らしい。
「僕の彼女とってもかわいいんだけど」「ちょっと変な病気」「水をかけたら溶けちゃう」「雨の日外に出かけられない」「まともにシャワーも浴びれない」・・・。
 だから「水溶性」なんだそうだ。「風呂には入れよ」「頭洗えよ」というくだりもあるが、そこは加トちゃんに歌わせてみたかった。
 それでもこの彼女は「海に行きたい」「泳いでみたい」という願望はあるらしく、歌詞中の登場人物らは防水スプレーを用意のうえ海に出かけるのだ。最終的に彼女は・・・。
『天才バカボン』の登場人物に出てきそうなキャラですね。
「なくなっちゃった」「消えちゃった」という言葉の軽さ。この不条理さが高いインパクトを放つ。
 ちなみに作詞と作曲を担当した上田現氏は
レピッシュのキーボーディストでもあったそうだが、2008年にわずか47歳で夭折されたのだそうだ。
 
 
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音譜風『通り雨』<作詞:伊勢正三/作曲:伊勢正三>
 
 かぐや姫の伊勢正三と、の大久保一久により結成されたフォークデュオ=の曲で、3枚目のアルバム『WINDLESS BLUE』に収録されていたもの。
 フォークソングのスタンダードともいわれる『22才の別れ』でデビューした風であったが、この『WINDLESS BLUE』では従来の叙情的なフォーク・ロックから趣向を変え、ジャズ・フュージョンやソウル・ミュージックを基調としたシティ・ポップ色をより濃くした楽曲が多く提供される運びとなった。
 この『通り雨』も、アコギサウンドというよりはエレキやキーボードが支配している。だが、それでも本曲から伝わる、なんともせつない郷愁の香りは心揺さぶるものがある。
 福山に住んでいたころ、知人を誘って映画ごっこをしたことがあった。劇中、世間に蔑まれるアルバイターの主人公が、ある日、寝坊する場面がある。前の日にも遅刻で勤め先の従業員からこっぴどく叱られたので「明日こそは」と万全を期す主人公。ところが朝早く起きて出勤するつもりが、時計の針が指していたのは夕方の5時すぎであった。
 ブルーな気分で勤め先へ愛車を走らせるが、その途中で「やめたー」と言って方向を変え、向かった先の海(たぶん笠岡がロケ地)で「バカヤロー!」と叫びます。その道中、BGMとして使ったのが本曲でした。もちろん一般上映はしませんが・・・私はこのころから既に社会不適合者の味方だったんですね(笑)。
 映画ごっこで撮影していたのは主に夏の時期で、その年も今年以上に雨ばっかりでした。撮影機材としてはセミプロが使うような肩にかつぐタイプの8㎜ビデオカメラを使っていましたが、雨天のせいで頻繁に故障。一応、撮影時には傘でカメラを覆うようにはしていましたが、どうやらそれだけではダメなようでした。そのたびにかかる高額な修理代。私の雨に泣かされる人生も、既にこのときから始まっていたようです(涙)。
 それにしても、です。「かぐや姫」にしろ「猫」にしろ「風」にしろ、彼らの携わったところは、文字で表記するだけだとグループ名とは気づかれないから、それ相応の補足もつけなくちゃならない。面倒くさいですな。
 
 
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音譜イモ欽トリオ『雨のライダーブルース』<作詞:松本隆/作曲:細野晴臣>
 
 2つ前のアメンバー限定記事を読んだ方にしかわからない話で恐縮ですが、そこに書きました知人Nが、私の所持するイモ欽トリオのアルバム『ポテトボーイズNo.1』を「ダビングさせてくれー」と、顔を合わすたびに懇願してた時期がありました。何年にもわたってです。それを私は拒否して逃げまわっていたのですが。
 イモ欽トリオの『ハイスクールララバイ』は当時、超売れっ子だった松本隆による作詞と、イエロー・マジック・オーケストラ(Y.M.O.)で鳴らしていた細野晴臣の作曲により生まれた大ヒット曲。2枚目のシングル『ティアドロップ探偵団』、3枚目の『ティーンエイジ・イーグルス』まで、このトリオのシングルA面曲はすべて松本&細野のコンビによって作られていた。とくに細野色の印象が強かったためか、音楽ファンのあいだでは「イモ欽トリオといえば“テクノ歌謡”」と呼ばれることもあるほどで。
『ポテトボーイズ~』は『ハイスクール~』のヒット後に発売されたアルバムで、その『ハイスクール~』も収録されていましたが、他にも松本&細野コンビで作られた曲が数曲ありました。加えて井上大輔、南高節(南こうせつ)、吉田拓郎・・・などなど、錚々たる顔ぶれの作家陣が参加していたのであります。アルバムのなかではイモ欽トリオとして3人で歌うものはもちろん、各々がソロで2曲ずつ歌ってるものも収録されるかたちをとられていました。長江健次は吉田拓郎作品、山口良一は南高節作品、西山浩司は井上大輔作品・・・という具合に。
『雨のライダーブルース』はイモ欽トリオとしての曲です。イモ欽トリオの場合は長江健次がリードヴォーカルをとるのが基本スタイルですが、この曲だけはリードヴォーカルを西山浩司が担当していたようです。そしてこれも松本&細野コンビによる作品。ただし、編曲担当には細野晴臣の他に鈴木慶一の名前が入っているのです。ここがポイント。
 鈴木慶一といえばムーンライダーズのヴォーカル兼リーダー。彼が参加することで、細野氏のYMO的サウンドに加えムーンライダーズの音楽にみられるジメッとした気だるさのようなものまで味わえる仕上がりに。単なる雨降りなだけではなく、湿度まで上昇したかのような気分になれると思います。
 Nはテクノ音楽が好きでした。だからあんなに『ポテトボーイズ~』を求めていたのはイモ欽トリオそのものよりも、純粋にテクノ音楽を聴きたがっていたということだったのかもしれません。また、RCサクセションなどのロックミュージックも大好きなところがありましたので、ムーンライダーズ的な世界にも興味を示していた可能性も考えられます(Nがムーンライダーズの話をしていたかはハッキリと憶えていませんが)。しかも『ポテトボーイズ~』収録曲の主な演奏はムーンライダーズだったらしいのです。
 いまになって気づくとは・・・ね。
 
 
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 以上5曲。今回は毒が少なめでしたけど、まぁたまにはこんなこともあります。
 

かお

 

かお

 

かお

 

かお

 

かお

 
 ――ってカンジで終わりにしたかったんですが、雨がテーマとあらばどうしても外せない一曲があるのを思い出しました。
 なので、もうちょっとだけおつき合いください。
 
音譜José Feliciano『雨のささやき(レイン)』<作詞:José Feliciano,Hilda Feliciano/作曲:Jose Feliciano,Hilda Feliciano>
 
 もうずいぶん昔のこと。テレビを見てたらCMで日本語じゃない歌が流れてきましてね。それが、ものすごく大人の世界をイメージさせる曲調だったんです。当時はそのCMが繰り返し流されてたんですけど、たぶん歌ってる歌手の来日コンサートを告知するものだったと思うんです。
 CM枠なので、時間にして30秒くらいだったのではないかと予想します。そこで耳にしたのは歌い出しの箇所だけでした。なのに、いつまでもいつまでも胸に残って仕方がない。誰の何という曲なのかもわからない。洋楽に詳しい人に訊こうとしても「どんな曲?」と訊き返され、歌詞もわかんないし曲の雰囲気なんて言語化するのは至難の業なので説明のしようがない。まさか「歌の合間に『ヒョロヒョロヒョロヒラリ~♪』っていう音が入ってた」で通じるとも思えず。だからCMで耳にしたあの曲とは、もう遭遇することはない幻の一曲に終わるだろうと諦めていました。
 ところがです。前の記事でボロクソに書いたイエスノー世論に、この曲を扱ったトピックが出題されていたのです。動画サイトへのリンクが貼りつけられていました。それを聴いた私は・・・・・・!
クラッカー 近年、こんなに感激したことは非常に稀なことでして。
 早速、調べてみました。例の曲のタイトルは『Rain』、歌っていたのはホセ・フェリシアーノというプエルトリコ出身の盲目のギタリストだそうで。そして、なんと今年も日本公演をされてるとのこと。
 おそらく同曲は世界的には有名なんだろうとは予想していましたが、日本でも1969年に大ヒットしていたらしい。きっとこの記事をご覧になってる方々は「そんな名曲も知らんのか」と呆れておられると思うのですが、事実、私はあのCM以外で聴いたことがなかったのです。だから実感もまったくないのです。
 この曲がヒットした当時の空気を知ってる方、またはこの曲にまつわるエピソードをお持ちの方がいらっしゃいましたら是非ともお聞かせいただきたいと思います。どうぞヨロシク、どうぞヨロシク。 <(_ _)><(_ _)>
 

 

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 こーれでおしまーい こーれでおしまい んんんーんーん~♪

 演歌が入ってなくて、正直スマンカッタ。