坊や~よい子だカネ出しな♪

 時代劇専門チャンネルでは7月から『まんが日本昔ばなし』の放送が始まるそうですね。
 よく言われるように、同番組はトラウマを受けるような内容のものが多々あったといわれております。これには異論ありません。たしかにそれらの要素はあっちこっちに散りばめられていたと思います。

 そういえば以前、世論サイトのほうで『ゲゲゲの鬼太郎』の怖いと評判の回と『~日本昔ばなし』の某回の動画を見比べ、どっちが怖いかを問うトピックが立ったことがあります。
 このときの私見では「もしかしたらストーリーだけならいい勝負かもしれないが、作品としての出来は、絵のタッチ、音楽、声優陣、演出・・・すべてにおいて『日本昔ばなし』に軍配。アニメ『鬼太郎』は、初期のものも含めて作風が明るくて怖さは皆無。スタッフの力に差が出た様相」といったものでした。まぁ、そこらへんに関してはアニメ『鬼太郎』には圧勝するほどの差がありましたわ。

 ただ昨今では、やれ子どもたちがトラウマになるようなものは見せてはダメだとか、どうしても温室育ちにしなければ気が済まぬオトナたちの横行により、ちょっとでも刺激的なものにはどんどんフタをしたがる風潮が出てきました。

 では当の子どもたちはどうでしょうか。案外オトナたちが思っているより逞しいもので、むしろ惨酷なものや汚いものには貪欲だったりするのがふつうです。その欲望は、どこかで発散させてあげなくてはいけません。
 そもそもトラウマを負うことは悪いことだと決めつけてるのがおかしいのです。トラウマというのは、すなわち考えることです。感じることです。そのときだけ楽しいものよりは、後々まで尾を引き、じっくり時間をかけて考察できるほどの作品に出会えることのほうがよっぽど有意義でありましょう。
 かの絶望名人フランツ・カフカは言いました。「ぼくは、およそ自分を咬んだり、刺したりするような本だけを、読むべきではないかと思っている。本は、ぼくたちの内部の凍結した海を砕く斧でなければならない」と――。

 というわけで今回の動画は『まんが日本昔ばなし』から、個人的にパッと思い浮かぶトラウマな回のやつをみんなで観ていただきましょう。

 

 

「キジも鳴かずば」放送日:1976年05月15日

 

 


 

●グルッパーのうた

 

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 さて、今回はこれで終わりではありません。もうちょっと書いときたいことがありますんで。それは、おそらく国内を代表する昔ばなしであると思われる「桃太郎」についてです。
「桃太郎」につきましては諸説ありますが、私的には、何らかの事情で近隣のとある島にたどり着いた外国人の姿を、鬼と勘違いした村人が逃げ出し、このとき持ち物を勝手に放り出したにもかかわらず「鬼に奪われた」と触れまわったために誕生した鬼伝説――というのが好きです。
 そこには、異形なる者に対し生じる恐怖や差別という、人間の持つ残念な部分を結果的ににおわせる格好となっている点。しかし、これを問答無用で退治するという勧善懲悪モノとして描くことで桃太郎がヒーローになってしまっているという皮肉。
 掘り下げていくほど、いままでヒーローだと思っていた桃太郎が、じつは大悪党だったのではないかと懐疑的になっていく面白みがあるんですね。
 そういえば、みうらじゅん氏が昔の人が曙を見たら鬼だと思うよと言ったそうですが、たしかにそう考えるとリアルな話に思えてきます。
 私はこういうのが大好きなんですよ。もっとも、『~日本昔ばなし』における「桃太郎」は多分にもれず明るい作風でしたけどね。
 
 
 ところがです! 新世紀型の桃太郎は、ちょっと違いますよ。
 次の動画の声優は温水洋一さんが、ひとり全役を担当しておられます。それは本家・常田富士男さんにも負けない熱演で、正直、温水さんがこんな大役をこなせる方だとは思ってなかっただけに少々驚いてしまった次第なんですが。
 先ほど子どもたちを温室育ちにしたがるオトナについて書いてみましたけど、こっちのは温室育ちならぬ「温水(ぬくみず)育ち」なんであります。ただし、これはこれで観れば、あるベクトルを指す才能が育まれる可能性を秘めた作品となっております。どうぞご覧ください。


●バカ昔ばなし「桃太郎の部屋」


 とりあえず、めでたしめでたしじゃ。
 それでは皆さん、ごきげんよう。 (θωθ)/~

●この記事エンディングテーマ「桃太郎ソング練習中
byインコの黄太郎

 

 

 

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