プロ野球はシーズンオフになりますと、各選手の契約問題の話題ばかりが持ちきりになりますね。野球そのものを楽しみたい向きからすると、選手の生活面まで心配させられるのは如何なものかと思う人もいるのではないでしょうか。
 そんななか、来シーズンの予想を立てるというのはファンとして健全なお楽しみのひとつといえますよね(選手の契約問題等も込みで考えていくものではありますが)。

 当ブログでも順位予想、やってみましょう。でも、ただ来期の予想をするだけではよそでもやってるし、正直なところ近年の野球には興味が薄いのです。なので、あえてここでは日本一遅い順位予想をやってみたいと思います。

 抽選の結果、今回はセントラルリーグ昭和50年度編にします。
まず、今シーズン(昭和49年度)を振り返ってみましょう。
 

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 ペナントレース

1位 中日ドラゴンズ    70勝 49敗 11分 勝率.588 ゲーム差-
2位 読売ジャイアンツ   71勝 50敗 9分  勝率.587 ゲーム差0.0
3位 ヤクルトスワローズ 60勝 63敗 7分  勝率.488 ゲーム差12.0
4位 阪神タイガース     57勝 64敗 9分  勝率.471 ゲーム差14.0
5位 大洋ホエールズ     55勝 69敗 6分  勝率.444 ゲーム差17.5
6位 広島東洋カープ     54勝 72敗 4分  勝率.429 ゲーム差19.5


 個人タイトル
・最優秀選手:王貞治(巨人)
・最優秀新人:藤波行雄(中日)
・首位打者:王貞治(巨人) .332
・本塁打王:王貞治(巨人) 49
・打点王:王貞治(巨人) 107
・盗塁王:中塚政幸(大洋) 28
・最優秀防御率:関本四十四(巨人) 2.28
・最多勝利:松本幸行(中日)/金城基泰(広島) 20
・最多奪三振:金城基泰(広島) 207個
最多セーブ:星野仙一(中日) 10

 

 ベストナイン
・投手:堀内恒夫(巨人)
・捕手:田淵幸一(阪神)
・一塁手:王貞治(巨人)
・二塁手:高木守道(中日)
・三塁手:長嶋茂雄(巨人)
・遊撃手:藤田平(阪神)
・外野手:G.マーチン(中日)/末次利光(巨人)/若松勉(ヤクルト)

 

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 主なスタメンオーダー
CD日ドラゴンズ
④高木守道
⑧J.ウイリアム
⑦井上弘昭
⑨G.マーチン
③谷沢健一
⑤島谷金二
②木俣達彦
⑥広瀬宰
①-
 

 

巨人読売ジャイアンツ
⑧柴田勲
④上田武司
⑤長嶋茂雄
③王貞治
⑦柳田俊郎
⑨末次利光
②吉田孝司
⑥河埜和正
①-
 

 

ヤクルトヤクルトスワローズ
④武上四郎
⑥永尾泰憲
⑦若松勉
⑧ロジャー.R
⑨山下慶徳
③中村国昭
⑤船田和英
②大矢明彦
①-
 

 

HTマーク阪神タイガース
⑨B.テーラー
⑦川藤幸三
⑥藤田平
②田淵幸一
③遠井吾郎
⑧池田祥浩
⑤後藤和昭
④中村 勝広
①-
 

 

横浜大洋ホエールズ大洋ホエールズ
⑧中塚政幸
⑨江尻亮
③松原誠
④J.シピン
⑦江藤慎一
⑤C.ボイヤー
②伊藤勲
⑥米田慶三郎
①-
 

 

広島東洋カープ広島東洋カープ
⑨水谷実雄
⑤上垣内誠
⑧山本浩二
③衣笠祥雄
⑦J.ヒックス
④M.マクガイア
②水沼四郎
⑥木下富雄

 

 

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今シーズンの主な動き
・昨シーズン(昭和48年)まで9年間セ・リーグ優勝を続けていた読売ジャイアンツがV10を逃し、ついに準優勝に終わる。
・この年よりセーブ記録が採用、同時に最多セーブ投手賞が制定された(10セーブ以上)。

 

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 チーム別備考
CD日ドラゴンズ

 勝利数では巨人に下回りながらも、勝率で辛くも優勝を遂げた中日。
 まず投手陣で注目なのは、なんといっても最多勝を獲得した松本。20勝のうち、じつに9勝を阪神から挙げるキラーぶりであった。
 しかし、さらに称賛したいのが星野である。先発・リリーフと大車輪の活躍を見せ15勝9敗10S、初の最多セーブ投手と沢村賞も獲得してしまった。おそらく王が三冠を獲らなければ年間MVPは星野であったことであろう。
 攻撃面では捕手・木俣の打撃。もともとは典型的な長距離打者であったがゆえに粗さが目立ち、打率も低い打者であった。それが今シーズン、リーグ2位の打率.322をマークし、守りだけではなく攻撃面でも大きく貢献した。かねてから取り組んでいたマサカリ打法が花開いた結果といえるが、これは今後も大いに期待できるであろう。
 監督の与那嶺は対巨人となると闘志をむき出しにし、1972、1973年と勝ち越して常勝巨人を苦しめていたのだが、ついに勝率でも上回り、宿敵・川上巨人を引きずりおろした様相である。

 

 

巨人読売ジャイアンツ
 ついに連続優勝から陥落した巨人。王が三冠王を獲り、投手でも堀内が選ばれるなど、選手の個人レベルでは覇者中日にも決して引けをとらなかったにもかかわらず、である。
 低迷となった最大の要因として挙げられるのは長嶋の衰えに尽きる。近年では王と交代を繰り返しながら4番の座を任されてきたが、今シーズン長嶋が4番に座れたのは5月当初までで、ご祝儀的に入れられた最終戦を除けば、そこから後は王へ明け渡してしまった様相だ。.244・15本・55打点の成績では無理もなく、とうとう今シーズンで引退となってしまった。
 以上のことから、ここにひとつの時代が完全に終焉を迎えたシーズンであったといえる。
 いっぽうセカンド土井の著しい衰えによりポジションを奪うかたちとなった上田であるが、他にも富田、高田らを使うなど、2番打者がなかなか定着しなかったのもネガティブな要素であった。
 だが明るい素材もある。ショートのポジションをほぼ手中にした河埜である。この選手は守備がいい。また打率こそ低いものの二桁本塁打を記録。将来はクリーンアップを任せられる長距離砲として期待したい。
 

 

ヤクルトヤクルトスワローズ
 なんとかAクラス入りを果たしたヤクルトではあるが、借金もあり、まだまだ課題の多いシーズンとなった。
 著しい衰えの目立つ東条に代わり、6月から武上がトップバッターを務めることになったものの、いまいちパッとしない成績である。既に中堅選手となっている武上ではあるが、このへんは得点能力向上のためにも更なる飛躍に期待したいところである。
 ルーキー時代から4年連続で3割をマークし、すっかり3番に定着した若松。だが、その後を打つ太平洋から移籍してきたロジャーの低迷がマイナスに作用。25本塁打を放ちながら打点はわずか54。年間を通じて4番を務められなかったのが痛かった。
 投手陣では17勝を挙げ、堂々としたエースっぷりを見せつけた松岡が今年も突出した活躍。また、ここへきて5年目の西井が11勝を挙げており、来季は期待が持てる。 
 

 

HTマーク阪神タイガース
 まずは野手。左手関節挫傷、左前腕打撲、右肘関節挫傷などに見舞われながらも45本塁打を放った田淵は、さすがにミスター・タイガースと呼ばれるに相応しい活躍を見せた。
 だが夏まではスタメン出場としての出番も多く、強肩・好守で足も速い外野手として期待された川藤が足を怪我。今後の出場機会が危ぶまれる。
 代わって終盤、1番ショートでスタメン出場の機会が増えたルーキーの掛布に注目。いまいち頼りないタイガースの次期トップバッターとしての飛躍に期待したいところだ。
 投手では、エース・江夏の先発回数をやや減らし、リリーフにまわす起用法が増えた。新境地の開拓かと思われるが、いまのところは往年のピッチングが影をひそめた印象だ。
 また前年22勝を挙げた上田であったが、今年は7勝(13敗)止まりと大きく成績を落とした。来季は名誉挽回となるだろうか? 代わって15勝(10敗)を挙げた古沢がエース級の活躍を見せ、規定投球回数不足ながら6勝(8敗)を挙げた3年目の山本が来季への好素材である。
 なにはともあれ、中日・松本に9敗も喫してしまう負け癖を克服するのが急務である。
 

 

横浜大洋ホエールズ大洋ホエールズ
 3年連続の5位に甘んじたシーズンであったが、野手では好成績を残した選手もいる。まずは中塚の盗塁王が光る。また江原、シピンとともに4番を争った江藤が、ついに初の3割をマークした。
 巨人の長嶋が引退という判官贔屓もあってかベストナインの三塁手部門に選ばれてしまったが、公平に考えれば.282、19本、65打点を挙げダイヤモンドグラブ賞をも獲得しているボイヤーこそが、本来ならばベストナインに選出されて然るべき活躍であった。
 投手陣では5年目の間柴がついに初勝利を挙げ、リリーフ中心ながら5勝をマーク。来季にも期待が持てる。
 だが、江藤が太平洋クラブライオンズに兼任監督として移籍することが決まってしまった。来季へのマイナス素材とならなければいいが。
 

 

広島東洋カープ広島東洋カープ
 今シーズン最も目を引いたのは自己新の28本塁打を放った山本。夏場は衣笠に代わり4番を任された時期もあり、今後も大砲として大いに期待される。
 いっぽうで昨シーズンの活躍で期待されていたマクガイアが不振に終わり退団に。
 投手陣では外木場が300イニングを超える活躍を見せるいっぽう、その外木場を上回る20勝を挙げた金城が一躍、新エースの座に名乗りを上げる。
 来シーズンは外国人の監督が就任することが噂されており、これが実現となると選手とのコミュニケーションに弊害が出来ることは必至。また山陽新幹線開通により一見して移動が楽になるように思えるが、この乗り物はまだ未知数の部分が多く安全面で信頼がおけないため試合への影響に不安が残る。3年連続最下位となっているが来シーズン以降も明るい素材は少なく、あるいはこのチームは永久に優勝争いには絡めない運命の下にあるのかもしれない。
 

 

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 ――ということで昭和50年度の順位予想は以下のとおり。

1位:読売ジャイアンツ
2位:中日ドラゴンズ
3位:大洋ホエールズ
4位:ヤクルトスワローズ
5位:阪神タイガース
6位:広島東洋カープ

 

 川上哲治に代わり長嶋茂雄が監督に就任し、「クリーン・ベースボール」をキャッチフレーズに抱える巨人が優勝を奪還することでしょう。
 中日は優勝こそ逃しても安定の強さを保ちます。ヤクルト、阪神、大洋はどれも不安要素を感じるのであるが、うまくいけば躍進しそうな大洋をAクラスにしてみた。
 カープ? ここはダメです。永久に無理だと思います。

 

 皆さんの予想はどうですか?
 なお、私は予想を外したら切腹します!刀  武士に二言はありませんぞよ。