11月4日、日本大学芸術学部の学園祭でおこなわれたイベント、日芸特撮部 presents 伴大介&飯塚昭三トークライブ!に行ってまいりましたー!
 伴さんと飯塚さんといえば、言わずと知れた『人造人間キカイダー』におけるキカイダーとハカイダーをはじめ、『イナズマン』のイナズマンと帝王バンバ、そして『バトルフィーバーJ』でのバトルコサックとサタンエゴス・・・といった関係なわけで。このお二人だけでイベントをされるのは今回が初の試みということになります。
 イベントの開催にあたりまして、当初は伴さんだけでもよかったそうなのですが、日大OBである飯塚さんも一緒ではどうかという意見が出てオファーしてみたところ、飯塚さん側が快諾されたということで実現の運びとなったらしいです。


$大正生まれのブログ

 で、そのレポートをば書きたいと思うのですが・・・。
 その前に。
 じつはこの日、私的にはそれ以外にもプチイベントがあったのですよ。
 今年の2月に戸野廣浩司記念劇場でおこなわれた、初代タイガージョー=虎錠之介を演じておられた故・戸野広浩司さんにまつわる物語を描く舞台『トノ、何がしたいんだ?』を観劇したわけですが。
 その終演後、戸野広さんのフィアンセ=キクを演じておられた中川やたおさんと少しだけお話したことは以前のブログ記事に書いたとおりです。
 私がやたおさんのお芝居を観たのはその日だけだったのですが、それをきっかけに彼女のブログやツイッターを拝見するようになりましたところ、意外にも彼女のコミカルかつ少々自虐的な文章が私のツボにハマってしまいまして、さながら私にとってのブログの女王様になってしまったんですわ。
 劇中ではあわやタイガージョー未亡人な役どころだったやたおさんなのですが、じつはあのとき、まだ未成年だったそうなのです。で、日大の在校生とのことで。
 このたび伴さんのイベントが日大でおこなわれることもあり、やたおさんに当日の予定を伺いましたところ、キャンパス内にて、所属するバレー部で出店する焼うどんの売り場にいらっしゃるとのこと。せっかくの機会ですので「ご挨拶に行かなくては」と思った次第なわけです。
 それだけではありません。記事にも書きましたとおり舞台『トノ~』のとき、私は伴さんの隣で観劇していたんですけど。
 オープニングで、やたおさんが昭和の懐メロを歌っているシーンがありました。『爪』という曲なんだそうなんですが、その歌に伴さんはいたく感激したらしく、観劇後にお茶してたら「あの選曲はよかった!」「オレ忘れてたよ、あの曲!」「泣いちゃったよ!」と・・・まあ、さすがに泣いちゃったというのは誇張表現だとは思いますが(笑)、いささか興奮気味に絶賛されていたものです。
 なので「やたおさんと伴さんが対面する瞬間があったら面白いなー」なんて思っておったんですわ。


 さて当日。
 やたおさんは、ときどきトウモロコシの歌を突発的に連続ツイートしていなさるほどトウモロコシ好きだと思われ(?)、じゃあ差し入れしてあげようと近所のスーパーへ調達に行ったのですが、どこにも置いてなかったので断念。仕方なく適当にお菓子を買って電車に乗る。
 大学の場所は江古田。ここに来るのは10年以上ぶり。知り合いに日芸出身者がいて、その人が近くのアパート(というよりも「下宿」と表現したほうが近い、いかにも昭和な木造家屋)に住んでおりまして、いっぺん遊びに来たことがあったのですが、それ以来です。
 で、やたおさん曰く「門入ってすぐ右手」のところで出店されてるとのことでしたので、その場所で伴さん会幹事のSachikoさんと待ち合わせ。私が着いたころには既にSachikoさんはご到着でした。
 バレー部が出店するという焼うどん屋のテントを発見。呼び込みをしてる学生さんに近づいてみた。
「やたおさん、いますか?」
「やたおさん・・・まだ来てないみたいですねー」
 まあ、こっちが何時に行くとは伝えてなかったのでしょうがない。そのうちいらっしゃるだろう。他にも伴さん会の常連さんが何人もお越しなので、その待ち合わせ場所へ移動。

 まもなくしてSさん到着。Sさんは伴さん会の掲示板をチェックしていたのではなく、たまたま見ていた特撮系イベント情報のサイトでこの日のことを前日になって知ったのだという。
 だけど、この日のことは先月21日の南城竜也×伴大介×速水亮 トークショー!!終了後、居酒屋で話題に出てたんだけどなあ。じつは同席していたYさんが同日、早稲田大学で開催される『仮面ライダーBLACK』のトークショーへ死ぬほど行きたがってたのに行けないから、代わりにSさんに行ってきてほしいって懇願していたほどなのですが・・・よくわかってなかったのね(笑)。
 で、直前になってこっちのことを知り、Sさんの頭のなかではじき出した解答が「BLACK<キカイダー」だったようなのです。Yさん、ご愁傷さま。
 Sさんと私は、とっとと受付を済ませておこうと会場前へ。すると、いつものNさんやヱビス星人さん、さらには平山満さんを発見! やっぱり顔見知り率が高い(笑)。

 少し話をして、いったん焼うどんのテントへ戻る。
「やたおさん、いますか?」
「やたおさん・・・んー、昨日は来ていたんですけどねー」
 まぁいいか。焼うどん、いまのうちじゃないと時間がなさそうだから先に食べちゃおう。あ、味つけは塩でね。
 Sachikoさんや待ち合わせていた人たちは焼そばを買ってきていた。それを、何やら催しがおこなわれているステージ付近のベンチでモサモサと食べる。スピーカの真ん前ということもあって、かなり騒がしい。
「うちの部でやってる△△、買ってくださーい! ○○部の口座には、いま32円(?)しか残高ありません! (°Д°;≡°Д°;)」
 なんか必死です。マイク使ってるんだから、そんなに大声張り上げてしゃべらなくてもいいのに(苦笑)。


 焼うどんを食べ終えた私は単独、会場入り口へ偵察に。そしたら、さっきまでいたNさんとヱビス星人さんはどこかへ消えてて平山さんだけが座ってらっしゃった。開場の時間が近づいてきたので私と平山さんは入り口付近へそのまま移動。全席自由席のはずなのですが、チケットに記された整理番号順で並ぶことになっている。この番号って、予約順なのかな? 私の番号は1桁でしたので列の前のほうでした。
 開場。私はヱビス星人さん(平山さんを置き去りにして、いつのまにか並んでた)のすぐ後でして、二人して最前列を陣取る。これは先日の南城竜也×伴大介×速水亮 トークショー!!で、後方の席だったために出演者がまったく見えなかったという前例があり、さすがにあれを続けて食らいたくなかったからです。
 ですが、そんな心配は無用でした。ここの会場というのは大学ですから、もちろん講義室なわけです。すなわち話す人がよく見えることに特化した造りになっており、受講者用の座席は教壇を見下ろすような急傾斜になっているのです。だから、どこからでも見やすい。その点については、もしかしたら日本武道館や両国国技館より上かもしれません。

 座席を確保した私は、全席についている机が折り畳み式になっていることに気がついた。ところが、いったんそれを組み立ててみると元に戻すのが困難・・・というか、コツが要るのだ。
 いや、これはなかなか難しいぞ。日大生は授業ごとにコレをやっているのか。レベル高いな、おい。叫び
 だが、ようやく畳み方をマスターした私は面白くなって10回くらい組み立てたり畳んだりを繰り返した。レベル低いな、わし。しょぼん

 ヱビス星人さんが会場の外へ出られた。どうやら、まだ来てない誰かを待っているらしい。会場内だと携帯電話も繋がり難いそうで。
 で、開始時間ギリギリになって到着した方というのがムトウユージ監督(笑)! ここ数ヵ月に関していえば、ムトウ監督との遭遇率は伴さんよりも高いです。また面白いことになりそうだと予感する。
 ムトウ監督は、私とヱビス星人さんの間の席にお座りになった。

 フリーライター(?)の用田邦憲さん司会によりトークショーがスタート。まずはキカイダーのテーマに乗って伴さん登場。いきなり「チェンジ・スイッチオン!」をご披露。しばらくは用田さんと伴さんのみで、伴さんに関する基礎知識的な事がらを初めて見にくる方にもわかるようにトークが進められた。
 そして飯塚さんの登場なのですが、ここで使われた入場曲は『三郎のテーマ』であった。ベタに『ハカイダーの歌』ではなく、口笛の旋律で二枚目な登場を演出したナイスな選曲であった。




 伴さんは「飯塚さんはスゴい人。悪役の声優がみんな他界してるなか、最後のひとりなのが飯塚さん」と紹介。これに「次はオレの番だって意味?」とジョークで返す飯塚さん。なかなかアドリブが利く。
 いっぽうで、数々の世界征服計画を目論んできた悪の帝王ではあるが、「いまは“緑の地球”ではなくなったから、もう地球は欲しくない」という人類に対する失望とも戒めともとれるメッセージを発信。
 もっとも、ハカイダーの場合は「キカイダー命」だったので世界征服には興味がないという純粋なキャラだったんですけれども。

 飯塚さんは豪快な話し方をされる人で、大学の教授にもいそうな雰囲気をまとっていらっしゃる。聞けば声優塾の講師を務めているらしい。どおりで、じつに堂々としておられるわけで、これなら伴さんも楽だったことでしょう・・・というか、途中、伴さんを食ってしまうかのようなマシンガントークぶりも(笑)。来年で80歳になられるというのに、頼もしいかぎりです。

 また飯塚さんは、役づくりがスゴかった役者さんとして、プロフェッサー・ギルなどを演じた安藤三男さんと、女性では初代オバQの声や特撮では『電子戦隊デンジマン』ヘドリアン女王などを演じた曽我町子さんの名前を挙げられていた。
 曽我さんについては伴さんにもエピソードがあった。むかし、曽我さんがやっていたというお店(アンティークショップ?)に行ったことがあるのだとか。ただ伴さん的には曽我さんとの接点が思いつかなかったらしく、なんでそこへ行くことになっちゃったのかが未だにわからないのだという。
 このお店の場所については伴さんと飯塚さんで食い違いがあった。あとで調べてみたら、どうやら、もともとあった場所から国立市に移転したようなのだが、飯塚さんが「国立」だと言うのに対し、伴さんは「新宿(と私には聞こえたが、Wikipediaには“原宿”と記載)に行った」と主張。変なところでお互いが譲らない一幕(笑)。

 話題は、俳優と声優の違いはあれ、双方共通の作業であったアフレコの難しさに言及。画を見ながら台詞をあてていくという作業は、飯塚さんはその道の専門ですけど、俳優さんの場合は難しいのではないかと素人の私には思えてしまう。
 しかし『キカイダー』においては、みんな上手くできていたとか。ただ、安藤さんだけは気持ちで演るタイプだったこともあり、秒数が余ったり長かったりすることもあったそうです。
 これ、当時はアナログだから、いまと違って横着はできない。例えば30分尺の作品で、もしも先に自分の番が終わっても、最後で誰かがミスをすると最初からやり直しをしなくちゃならないから油断できない作業だったのだという。
 飯塚さん曰く、悪役として難しいところに「そのサジ加減をどうするか」という点が挙げられるのだそうだ。私なんかは悪なんだったら思い切り怖くやってほしいと思うのですが、あんまり怖くやり過ぎると視聴者から苦情が出てしまうのだとか。これは本来であると悪役としては「してやったり」なのでしょうが、その圧力が作品の存続をおよぼしかねないという事情が・・・。まったく、窮屈な時代ですね。
 つい最近もクレームが入ったことがあったそうで、飯塚さんは「なんだったっけ・・・」と、なかなか思い出せないでいる様子。そこへ伴さんは『宇宙刑事ギャバン THE MOVIE』のことではないかと訊くのですが、どうやらそれではないもよう。
「あっ、『クレヨンしんちゃん』だ!」
 これにはムトウ監督、思わず「うはははははは! ヾ(T∇T)ノ彡☆」。それも島崎和歌子笑いじゃ。その件に関しては、たしかに心当たりがあるという監督。もう笑うしかないわ。
 この日は何もせずしてオイシイところを持っていったムトウ監督なのである。
 また伴さんは、サジ加減についてはアニメと実写では違うように演るべきだという意見を述べられました。そういえば伴さんは、昨今の特撮番組を観て「マニア向けの作り方ではなく、もっと子ども目線の番組を作ったほうがいい」と思うようになったんだとか。「オレはとんでもないの(イナズマンF?)を作っちゃったけど」とか言いながら(笑)。


 この他、伴さんが話してくださったもので印象的だったのは「これは滅多に言わないことなんだけど・・・」と前置きしたうえで、「役者は誰でもできるものじゃない」という持論。これについては伴さんの著書『スイッチオン!人造人間キカイダー ジロー、旅の途中で』にも記述があったものだと思います。
 この言葉の真相を説明するにあたり、適当な言葉が見つからない様子の伴さんではありましたが、たぶん「努力して身につけれる性質のものではない」という意味ではないでしょうか。

 いっぽう飯塚さんは、台本にはカタカナの擬音しか書かれてなかったものを具現化したときのエピソードや、『電子戦隊デンジマン』でほとんどのベーダー怪物の声を担当したときの演じ分ける難しさ、果ては奥さんを選んだときの経緯や猫との上手なつき合い方まで、多岐にわたる話題を、ときにドルゲの「ルロロロロ・・・」(生ドルゲ!)、ときにマイナー怪人の鳴き声を交えながら雄弁に展開。
 なかでも猫講座(?)における「撫でるときは手のひらじゃなくて手の裏側で・・・」というアドバイスに、伴さんも「ナルホド!」といった反応をされてました。

 また、お二人とも入院先の平山亨さんのお見舞いに行かれています。客席で聞いていた息子さんの満さんに、お父さまの病状などを伺うといったやりとりもありました。 

 トークショーは終了。まだまだ話し足りない様子ではありましたが、それでも3時間くらいブッ続けでしたでしょうか。何度かの脱線を繰り返しながらも内容が充実していたこともあり、満さんも絶賛しておられました。

 このトークショーを聞きにきた人の面子は大半がキカイダー世代と思しき層だったのですが、気がつけば在校生らしき聴衆もチラホラいたようだ。
 私は講義室を出る前、後方でビデオ撮影をしていた女子部員らしい方に声をかけてみた。個人的に、その様子が気になって仕方なかったのです。というのも、ただ話すだけで動きのない画を1カメで撮るというのは難しい作業だからだ。あとで見ると、画的にすぐ飽きちゃうんですよ。
 案の定、その女子部員(?)の方は「難しいです」と仰った。しかし「でも、これ記録用ですので・・・」とのこと。ああそうか、見せる用じゃないのね(苦笑)。
 また、その方を含め何人かの部員の人に、私がいちばん気になってたことを質問してみたんですよ。それは「ここの部員の方々は『キカイダー』を知ってるのか?」ということ。いまのトークを聞いていて、どれくらいわかるのだろうかというのが。
 そしたら「特撮部といっても、その知識については各々で違う」そうで・・・しかし作品を観たことがないという人でも名前だけは知っており、私が話した部員さんも「ぜひ観てみたいです」と興味は持っているようだ。
 それにしても、よく現代の学生が昭和のレジェンドに白羽の矢を立てようという発想をしてくれたよな~と感心してしまう。そこらへんの経緯、日大生の方でご存知の方がいらっしゃいましたら教えてくださ~い。


 会場の外では伴さん会のメンバーがしばらく談笑しています。途中から来場してた人もいて、「あれぇ、来てたの!」「どこに座ってたの?」・・・なんて会話になったり。
 また、このあと上映されるという『銀河超速キャプテリオン』なる特撮部制作作品の受付けをしている場所で、部員さん(?)らと談笑するムトウ監督ら。ムトウ監督が『クレヨンしんちゃん』の本物の監督だと知り目を丸くする部員さん(アレ、OBの人だったかな?)の驚いた顔が面白かった。

 特撮部制作作品も観たかったのですが、これから我々は伴さんを囲んでのお楽しみ会・・・そうです、ミニ伴さん会の開催なのです。
 おっと、その前に・・・!

 私はまた、バレー部のテントのところへ行きました。
「やたおさん、いますか?」
「やたおさん・・・いないですねー」
 仕方ないので差し入れのお菓子をその人に預けることに。
「これ、やたおさんに渡してください」
「はい。お名前は・・・?」
「フッ、名乗るほどの者じゃありませんが・・・全温度チアーさんです」
「全温度チアーさん・・・ですか (^_^;)」
 こうして日大を後にしましたとさ。




 我々は伴さんとともに居酒屋へ直行・・・のハズが、予約したお店がなかなか見つけられずに一同ウロウロ。じつは駅の反対側にあることが判明し、苦笑いしながら移動します。
 入店し、お疲れさまの乾杯。伴さんも珍しくビールを飲まれる。そして、そこで繰り広げられるのは、恒例のぶっちゃけトーク!
 私は伴さんからは最も遠い席にいたため、伴さんの話は聞き取れない箇所も多かったのですが、それでも他では“言えない”“聞けない”“書けない”の3ない系統の内容であることは空気でわかります。もちろん、ここにも書けません! 聞いてみたい人は、伴さん会に来るしかないのです(笑)。

 駅でお別れです。皆さん、帰りは上り方面なのですが、私だけ下り方面なんですよ。だから単身、もういっぺんだけ大学へ行ってみることにしました。
 もう暗くなっています。バレー部のテント前まで歩きます。
「やたおさん、い・・・」
 いません。すぐわかりました。やたおさんは女性ですが170cmの長身。それっぽい人は限られますので。部員さんがテントの解体作業をしているところでした。
 こんどは独りで駅への道を戻ります。

♪祭りのあとの 淋しさが
 いやでもやってくるのなら~♪


 後ほど聞いた話ですと、やたおさんはこの日、急にオーディションが入って行けなくなったんだとか。
 こりゃーしょうがない。何げに売れっ子女優さんだったんですね(笑)。

 そういえばねー。さっき店を出る際、伴さんは私に「ヨロシクね」って言われたんだよねー。これは私に「掲示板への書き込みを任せたぞぃ」という意味なんだと思うんですよ。
 なんか、レポート提出の宿題を出された学生になったみたいな気分です(笑)。これは、他の皆さんが書かなすぎるのも要因です。最近は全温度チアーさんくらいしか書き込みしてる人がおらんのじゃ。
 おーい、みんなも書いてくれよー! オーイ!! L(゚ロ゚L ;)(; 」゚ロ゚)」 オーイ!!


カメラこの日のもようは公式ホームページ・写真館に画像が掲載されています。