季節は春
気持ち高ぶる季節
中年女子は
春にテンションアゲアゲとなる
普段もアゲアゲだが
更に
アゲアゲ
雪も溶け
家族で温泉に行こう
と
お出掛けした時の話だ
温泉と言っても
かなりの山奥にある温泉
何故にそんな山奥へ
実は~~~
そこには
ド派手なトカゲさんが
住んでいるのだ
そのド派手なトカゲさんを
息子たちに見せたくて
その温泉に行く事に決めたのだ
(やっぱりおかしな母親だった)
さてさて
車での移動は約2時間・・・
勿論
運転するのは夫
お菓子を食べる
お喋りをする
大声で歌う・・・
が
我が家のドライブ
歌う曲も
ちび助がいても
マキシマムザホルモン
だったり
ゴールデンボンバー
だったり
内容の濃い音楽となっている
その間
夫は静かに運転手をやってくれている
そんな騒がしい一行は
何事もなく
山奥に普通に到着する
シカさんくらい
ご挨拶に来てくれても
良かったのに
着いてすぐ
トカゲさんを探す
探す事
30分・・・
これまたご挨拶もなく
お会いする事が出来なかった
日頃の行いか・・・
山奥のため
温泉しかない
そのため
トカゲさんに会えなかった一行は
第二の目的温泉へ入る・・・
ちび助2匹は
女子風呂を拒否
メンズ3人で楽し気に温泉へ
中年女子一人寂しく
女子風呂へ
許されるなら
男子風呂でも
全く問題ないのだが・・・
法律が許してはくれない
(そういう問題ではないな)
普通の日曜日であったためか
山奥のせいなのか
お客さんは少なく
ほぼ貸し切り状態
のびのびと温泉を満喫
露天風呂にも行ってみる
その日に限って
温泉用の眼鏡を忘れ
景色はあまり見えていない
失敗した
しかし
なんて言っても
貸し切りだ
・・・
少し、いや、
かなり寂しい
騒がしくドライブしてきたから余計か・・・
そんな時
2人の少し訛りのある
おばあちゃまが
露天風呂に登場する
これはラッキー
寂しくはなくなった
お話もしてくれた
本州から旅行に来たそうだ
しかし、ここで
おばあちゃま1号
変なことを言い始める
あそこにおサルさんいるよ、ねぇ
猿(・・?
おばあちゃま2号
どこさ、あ、あれかい。おサルさんだねぇ
そんな言葉を残し
露天風呂から1号と2号は去っていく
猿(・・?
北海道に猿っていたっけ
一瞬
風と共に
動物園にいた
アメリカバイソンの
こおばしいかほり
が
漂った
臭いじゃないか
・・・
臭い
臭い
まさか
これが噂の
獣臭なのか
も、もしや
相手はおサルさんなんかではない
1号2号よ
それはだぶん
熊さんだ🐻
しかし
眼鏡を忘れた中年女子
何も見えない
その上
裸
裸眼に裸体
周囲を見渡すが
武器になるものは
桶のみ・・・
勝てる気がしない
ただ
露天風呂は
崖の上にあり
真下には流れの速い
川が流れている
さすがにここまでは
登ってこれはしないだろう
が
しかしだ
見えていないだけで
実は
ものすごく近くにいるのかもしれない
怖い
どうする
どうやって戻る
知らぬが仏
とはこういう事か
頭の中はプチパニック
とにかく
建物の中に戻らなければ
これが最大のミッションなのだ
生きて戻るために
眼の前にある桶を手に取り
360度見渡しながら
見えない敵に
背を向けぬよう
すばやく建物内へ戻る
命がけだ
北海道に住んでいながら
熊さんには
お会いしたことは
一度もない
お会いしたいとも
思わない
たぶん
それはあちら様も一緒
とにかく必死だった・・・
しかし
比較的
何事もなく
フツーーーーに
戻れた
自分が
アホみたいだった
無事に生還したが
今度は家族が心配になる
急いで着替え
休憩スペースへ向かう
無事だ・・・
今までのミッションを
若干興奮気味に
家族に伝える
が
伝わらない
「アメリカバイソンのかほり」
というワードが
伝わりにくくしているようだ
しかし
まさしく
あの匂いは
アメリカバイソンの匂いなのだ
この温度差に
命がけのミッションは
一体何だったのだ
と
ふと思ってしまう
想像して欲しい
裸体で見えない敵と戦う・・・
ことになるかもしれない
恐怖
プレデターもびっくりだ
帰り際
温泉のフロントの人の話を聞いた
あ、熊なら毎朝、ここの駐車場に出てきますよ
今朝は子熊もいました
笑顔で教えてくれる
ほらーーーーーー
やっぱりいるんじゃねぇか
誰も信じてくれなかった上に
こんな爽やかに報告されても
そうだよ
そうだよ
ここは熊さんたちのおうちで
人間さんはお客さん
熊さんのおうちにお邪魔したんです
いてもあたりまえ
匂ってもあたりまえ
熊さんのおうちですから
皆さま、最近、熊さんとの遭遇・事故が増加しております
特に山菜取りなどは要注意です
山は熊さんのおうちで
山菜も熊さんから
お裾分けしてもらっているのです
熊さんにも気を付けてもらって
私たち人間さんも
お邪魔します精神で
注意していきましょう