神戸から草木ダム下は、はなももさくらの真っ盛り!春うらら路には撮り鉄が溢れ車もままならぬほど、手作りのお弁当持って親しきものの花見の宴、いやぁいいものです!
♪春の うららの 隅田川
上り 下りの 船人が
………
多少歳は重ねたとは言え姉妹による二重唱は美しい!歌声は若き日のこだま、静かに空気を震るわせて蘇ってくるもの、思い出という未来に近づいて行くもの………
その隅田川だけど、往時の桜の頃の賑わいがどんなに凄かったか、この「花」という歌からも伺えるが、谷崎潤一郎の短編『幇間』のそれはもっと面白い!
青く晴れ上がった隅田川、さくらの土手は蟻のような群集がぞろぞろ、川は物見花見の船の列で犇めいている。たゆたう水面の一艘に突如現れたのが異形のろくろ首!……女の目鼻を描いた大きな風船玉に、恐ろしく細長い紙の頸が、風にふわりふわり風雅音曲に合わせて道化踊りをしている。家の軒を、すれ違う船の船頭を掠めたり、橋上の黒山の人の顔を舐めたり、かと思えば一転青空に翻ったりと、媚びるが如き痴態のろくろ首は益々快演、見物人は遠くも近きもみな拍手大喝采である。
誰だいあれは?幇間の三平よ。元は立派な相場師、好きが高じて今じゃ太鼓持ち。唄が上手で話が上手い、どんなに羽振りが好くても勿体ぶらず、ひたすら友達や芸者衆に笑われるのが愉快でたまらない。低くみられ馬鹿にされても怒らず、むしろ嬉しくさえ感じる。尊敬とか恋慕の情を人に起こさせない、一種温かい軽蔑や憐憫の情で親しみ可愛がられる性分なのだろう。
ところが、そんな彼も恋に悩むのだが………。
