新聞のチラシの中に、おいしそうなケーキの写真があった。
母の日のための広告だった。
そうか・・・もうすぐ母の日だ
お墓に行ってこようかな・・・
若い頃、私は母の日に、大きな試験に挑戦した。
母が、応援のために、上京してくれた。
試験が終わったのは、午後五時・・・帰る途中、乗り換え駅である池袋のデパ地下に、ケーキを買おうと立ち寄った。
母の日のこの時間には、どのウィンドーのケーキも残りわずかとなっていた。
なんとか、おいしそうなショートケーキをいくつか買って、母の待っているアパートに帰った。
ところが帰ってみると、母もショートケーキを買って、待っていてくれたのだ。
ふたりで買ったショートケーキは、合わせて十個・・・狭いテーブルいっぱいに並べて大笑いした。
その日の夕飯は、もちろんこの十個のケーキ・・・
母の日にまで、心配ばかりさせて、母の日らしいこともしてあげられなかったけど、母とふたりで食べたケーキは
とてもおいしかった。
忘れられない、母と私だけのケーキの日であった。