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【きみはポラリス】著 三浦しをん
夏休み入って1発目の読書感想文が、夏休みが始まって7日目の今日となってしまったことには反省するほか弁明の言葉などないのですが、まず1冊目です。
きみはポラリス。三浦しをんの恋愛小説ばかりを集めた11編の短編集です。
物語にはそれぞれ核となるお題があり、それに沿って個性豊かな登場人物が生活の一部を覗かせてくれます。さすが、と言わざるを得ない比喩表現は本当に身につけたい繊細な美しさがあります。(比喩でいったら巻末の中村うさぎさんの解説も凄い良かった。押し花の喩えは本当に鳥肌ものでした)
読書感想文というものは普通、内容の紹介と個人の見解を書くものだと理解していますが、内容の紹介など気になる方はアマゾンなり楽天なりで調べてみるのが一番早い。ここで私がどうのこうの言っても仕方ないとすら思う。だから、好き勝手に思いつくままに見解のみを書き綴ると致しましょう。そして、それによって本を読んだ気になどさせてはいけないので購買意欲は煽るだけ煽らせて頂くこととしよう。
三浦しをんの専売特許ともいえるのは、ユニークな登場人物にあると思う。居そうで居ない、いや絶対に居ない個性豊かな登場人物たち。特にこの短編集では1人が変というよりは、出てくる登場人物になかなかの魅力がある者ばかりだったように思う。
1つ例を挙げることにしよう。自分お題「結婚して私は貧乏になった」まさかこのお題からあのストーリーが生まれてくるとは思いもしないだろう。貧乏になった様子が、満足に入れられないお湯の嵩で表現されているのもまたいい。夫になるという男の謎の言動、行動、振り回されるうはね。そして我々が気になった、うはねの名前の由来もきっちり回収してくれるという有り難いネタばらしの数々。我々は頭の中に、松の木を描き、田舎の風景を思い、そうして都心のアパートに2人で帰る様を思い描くのだ。うん、いいねぇ。
1つ1つの物語に恋愛だけではないユーモアを散りばめて、読者を飽きさせない。しかし流れる空気感は穏やかで、まったりとした午後を楽しく過ごさせていただいたことを感謝しようと思う。面白いだけではなく、やはり読後感は「読書っていいなぁ」と思わせる。そのような1冊を作り上げるために、やはりまだまだ文章を磨かねばならないと決意も新たに文章を終えることにしよう。