見ず知らずの他人に、あっさり事後なのを見透かされて、相葉はギョッとしてしまう。
自転車のハンドルをきつく握りしめ、相手の意図がつかめず見つめるしかない。
至近距離で視線が絡んでも、相手はまったく動じない。
どこか挑むような眼差し。
でも不思議と敵意や悪意は感じない。
もちろん、性的なものも……。
そこで、ふと気が付いた。
同じなのだ。
……オメガ性。
彼も自分と同じオメガだ。
めったに同族には合わない。
あのハーレムみたいな管理された病院の中でくらいしか……。
アルファに愛される資格のあるモノ。
「先にあんたに会いに来て正解だったかも」
「そ、それはどういう意味?一体、何者なの?」
「俺、実は櫻井さんに会いに来たんだよね」
相葉の心臓がいきなり跳ねた。
薄々分かっていたことだが、言葉にされると心に刺さる。
「さ、櫻井さんに?」
「そっ、じゃなきゃ、こんな日本の片田舎にわざわざ来るわけないじゃん」
上等な服の裾を翻すように、身体を踊るように揺らす。
とても絵になるその様子に相葉は瞳を逸らしたくなるのを必死に堪えた。
胸がざわざわと煩い。
「だって、あんなアルファ、滅多にいないもんね」
瞳を輝かせ、どこか遠くを見やる。
そこに、彼の深い思いを感じ取る。
同じオメガだから……。
彼の渇望を、その望みを。
「彼を奪いに来たの?」
「奪うも何も、あんたさ、自分が彼に相応しいと思うの?」
「君は何者なの?」
相葉はつい語気を強めてしまう。
「俺は、タツヤ・ウエダ。以後、お見知り置きを」
そういって、タツヤと名乗った男は優雅に頭を下げたのだった。
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やったー!
やっとこ更新出来た~!
翔ちゃんのドラマ、結構好きです、ハマってます。
何か良くない?得体のしれない底の見えない男。
最近は、ストレートに感情を出す役が多かったから、楽しくて楽しくて!
ではでは、皆様、暑い日が続きますが、お体ご自愛くださいませね。