国立西洋美術館『ロンドン・ナショナル・ギャラリー展』 | ANNEX324

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都内在住30代。買いものや観劇の記録など

 

西洋美術館で開催中のロンドン・ナショナル・ギャラリー展に行ってきました。

ロンドンの美術館はミレーの「オフィーリア」が見たくてテート・ブリテンに行ったことはあるのですが、ナショナル・ギャラリーはないので楽しみにしていました。

 

 

「イギリスとヨーロッパの交流」がテーマの構成ということで、宗教画中心のルネサンス絵画に始まり、庶民が絵を発注するようになった時代のオランダ絵画、スペイン絵画の収集も、絵画史のエッセンスがぎゅっと集まっていて面白かったのですが、やっぱりイギリスと言えば、なヴァン・ダイク、レノルズを初めとした肖像画が興味深くて、じっくり眺めてしまいました。

 

 

トマス・ゲインズバラ「シドンズ夫人」

補足で音声ガイドに入っていた、マクベス夫人がいかに彼女にとって当たり役だったかのエピソードが面白かった。今回の音声ガイドは俳優の古川雄大さんですが、なんとなくこのシドンズ夫人の絵と似てる気がする…。笑 肝心の音声ガイドは正直あんまりナレーションは得意じゃないのかな、という印象。語尾の処理の仕方が雑で、ちょっと聞きづらい。声が本職の声優さんとか、経験豊富な舞台俳優さんの方がこういうのはいいですね。

 

 

ジョシュア・レノルズ「レディ・コーバーンと3人の息子」

背景の柱や服装等、古典の要素を取り入れて、まるで神話のなかの女神のような柔和さや格調の高さを演出したんだそう。確かに、一見すれば何かの女神と天使たちの絵なのかな、と思うくらい。現代だったら記念写真を撮るのにちょっときれいな恰好はするけど、ここまでコスプレっぽくしちゃうと遊びの感覚の方が強くなると思うので、随分感覚が違うんだなと思いました。

 

 

ジョヴァンニ・アントニオ・カナル「ヴェネツィア:大運河のレガッタ」

18世紀に「グランド・ツアー」というイギリスの上流階級の子女の間でイタリアなどヨーロッパの歴史、文明の発祥地を訪ねる旅行(修学旅行みたいなものですね)が流行ったことで、旅行の記念としてイタリアの風景や文化を描いた絵画もたくさん作成され、イギリスに持ち込まれたのだそう。

これは一番奥のリアルト橋が本来見えない構図なのに、お土産用としてあえて橋が入るように景色をゆがませているという演出が面白いなと思いました。

 

展覧会の最後はモネ、ルノワール、ゴッホのひまわりなど、近代絵画が集められているのですが、ここまでで十分お腹いっぱいだったのと、ナショナル・ギャラリーがイギリス絵画に特化したコレクションなわけではないことは分かっているのですが、ここでわざわざ印象派とか見なくてもいいな、と思えてしまってあんまり印章に残らなかった…ゴッホは去年上野の森でゴッホ展もあったので。

 

他にもザ・イギリス絵画なターナー、イギリスの人々が理想の風景画と考えたロランの絵画とか、どうしても当時のイギリスの価値観が伝わってくるようなキュレーション、解説が楽しかったし一番記憶に残りました。

なんだけど、グッズはひまわりとか一般受けしそうな絵画モチーフのものばかりで、いつもは展覧会を見た記念でマグネットを買うようにしているのですが、今回はこれっていうのが全然なくてグッズ売り場は素通りしてしまいました。