2月の半ば
知り合いのケアマネージャーさんから
メッセージが入りました。



「大人のかた一人だけに
絵本を読むということはできますか」



そのかたは、Yさん(80代女性)。
特別養護老人ホームにいらっしゃるかた。

食事や排泄も自力では難しく
ベッドから動くことがほとんどない、と。
Yさんは、本が好きでよく読んでいたという
ご家族からの情報があり
ケアマネさんは
Yさんが少しでも楽しい時間がもてないかと考えて
私に問いあわせてくださったのです。



やったことないけど、やらせてください!

と、即答(*´∀`*)



2月末に、ケアマネさんと一緒に初めてお伺いしてから
週に1度、Yさんの元を訪れ
数冊の中から気になる絵本を選んでいただき
私がゆっくり読んだり
おしゃべりをしたりしながら
1時間ほど過ごしました。

Yさんのご両親のことや
ご兄弟のことなどのお話も聞きました。

Yさんは、女性コーラスもなさっていたとのこと。
絵本と共に『童謡・唱歌200』という本を持って行って
様々な歌を歌いながら
「これは知ってる」
「歌ったことがある」
などという話を聞いたり
本当にたまにですが
一緒に口ずさんだりしました。




Yさんの反応や、そのときの話を思い出しながら
次に何をご紹介するか選ぶのは
私にとって、とても頭を使う
楽しい時間でした。


着物を着ていく私を覚えてくれていて
いつも喜んでくれました。
「妹も”さとこ”という名前なの」と言って
着物のさとこさん、と呼んでくれました。






3月半ば

Yさんは体調を崩し
1ヶ月ほど、訪問することができなくなりました。

心配でしたが
4月終わりごろにケアマネさんから連絡がきて
連休明けから、またYさんの元に伺いました。




Yさんは
お話しすることも難しくなっていました。
絵本を選ぶのもきつそうだったので
私がご紹介したいものを数冊だけ読むことにして
様子を見ながら短めに切り上げました。


5月15日に訪れたときは
前回よりも言葉がはっきりして
力強くなっていました。
5月22日は私は山形から出かけてしまうため
「また29日に来ますね」と伝えていました。






25日、私が神戸にいるとき

お昼頃に
ケアマネさんからメッセージが入りました。






「Yさんが 昨夜永眠なさいました。

金子さんのおかげで
点滴とケアだけの普段とは違う
笑ったり
驚いたり
歌ったり
思い出したりという
心が動く豊かな時間を持つことができたと思います。

毎週本当にありがとうございました。」





ホテルに戻って

一人になってから

声をあげて泣きました。





心が動く、豊かな時間を持てたのは
私のほうです。

Yさんと出会えたおかげで

たった一人のかたに
ただただ喜んでもらうために
絵本を選び、読むという体験ができました。





5月29日に、Yさんのところに
着ていこうと思っていた着物。

今日はそれをまとって
自分のために絵本を選ぼうと思います。



-------------------------

 ☆メールマガジン ほぼ毎日配信中

「毎朝元気をもらいます」

「聡子さんの好き!が伝わってきて、

メルマガを読んでいると

こちらまで楽しくなり、

届くのがとっても楽しみです」

と、好評をいただいてます。

 

-----------------------------

☆LINE@気まぐれ配信中

私が大好きな絵本の中の「心に響いたことば」を

かる~く紹介しています。

ちょこちょこやりとりできたら嬉しいです♪

 

@sbi9033x で検索してくださいね

 

友だち追加

 

QRコードでも追加できます

------------------------------

 ☆ただいまご提供中のメニュー一覧☆(4/15更新)

「大人のあなたと絵本をつなぐ」

 

IMG_20180214_085258377.jpg

Make&Hairmake by 山本雅子

Photo by岸 千鶴