のべにして30年ほど書に携わり、

自分の作品がたくさんあるゆみちゃん。


でも、今回の初個展では

「どうしても、新しく書きたい」と譲らなかったそうで・・・

(その3・最終)です。

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もともと、3月末に開催予定だった個展を、

ゆみちゃんの体調で延期していたこともあり


会場のサロンオーナーのようこちゃんは、

「これまでの作品を展示すれば、

ゆみちゃんの負担も軽くなる」と思ったそうです。



でも今回、ゆみちゃんは

新しい作品を次々と書き上げました。


高松を出る日の午前中、ゆみちゃんに地元を案内してもらいながら


なぜこれまでのではなく、新しい作品にしたかったのかを質問してみました。



「私なあ、これまでは、

高校の時からお世話になっている先生からお手本を書いてもらって

それを書いたものを、出品してたんよ。


そうしなければいけないもんや、って、思うとった。


でもな、ある年に、

同じ先生にならっている先輩が、

お手本以外の字を書いて出品しているのを見てな。


私も自分で書きたい!書きたい字がある!

っていう気持ちがどんどん出てきてな。


次の年の展覧会の準備の時期に、

先生が留守電に「手本を取りにくるように」って入れてくれてたのを

私、聞き漏らしていたみたいでな。



どんな紙に書こうかな、

この字がいいな、あの字もいいな、と、大体決まったころに、

初めてその留守電に気づいたんよ。


それで、先生に「どうしても自分で書いて出したい」って言って。


やっぱり嫌な顔されたけど、


書くことができたんよ。


そのとき、嬉しくってなあ~。



今回、「これまでの作品」って言われたけど、

それは、手本を元にしたものなんよ。


どうしても、それは嫌だったんよ。


私は、自分で、


書きたいものを書いて、


それを見てほしかったんよ。


ああ、だから気持ちよかったんかなあ(*´∀`*)」



私は、その話を聞きながら

すでに半泣き状態でした(´;ω;`)ウゥゥ


「でもなあ、やっぱり書って、自分と向き合うんよなあ。


紙も、筆も、用意するんよ。

でもな、書けないときには、墨がすれん。

紙の前に座ったまま、どうしていいかわからんようになって、


5時間、そのまま座っていたこともある。


大きな作品なんかは、乾かす時間も考えると

もっとこうしたい、っていう気持ちはあるのに、

もう、このとき書いたものを出すしかない、と思って、へこんで、


ようこちゃんに泣きついたんよ。


ようこちゃん、こんなへっぽこな作品でええんやろか。

ようこちゃんの顔に泥ぬってしまうってな。



そうしたらようこちゃんが

『へっぽこで上等やないか!何があかんの!?』って、


どーんと構えてくれたんよなあ。


ほんまに、ほんまに、ようこちゃんのおかげやなあ。」




そう言って笑うゆみちゃんの隣で


私は、まさに、今しかない、

素晴らしい時間に立ち会えたんだなあ、と


この空間を味わうことができて


こんな素敵なエピソードを本人たちから聞くことができて


なんて幸せなんだろう、と


嬉し泣きでした。



私の友達は、本当に、本当に、素敵な人たちです。

 

 

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