夏の日差しを一身に浴びて歩いていたら、ひまわりが咲いている。
太陽に向かって咲く花。
日陰だとしても、より多い光に向かう花。
ひまわりで思い出した人がいる。
学生のころ。
気になってた期間はわずかだったけど、
通学途中でルートが一緒になる男の子がいた。クラスが一緒になったことがないから、ほとんど話したことのない人。
わりとかっこよくて、スポーツもできるから人気がありそうなものなのに、なぜかあまり人気がなかったように思う。
一つ上の学年からの方が人気があったように思う。疎かったからよくわからないけど。
ちょっとバカなキャラだったからかもしれない。実際、あまり成績がよくないとよくきいた。
しかし、登校中はとても静かで、
一人で騒ぎながら登校するほうが変だが、その寡黙な雰囲気が似合っていた。
他の人気のある子たちより、
彼は「陰」の気が強かった。
暗くないし、よくしゃべるし、
ネガティヴではないけど、
静かにそうしてるほうが圧倒的に魅力的だった。
私は彼のそういう、冷たい静かな感じが好きだった。
下を向いたときに、切れ長の目と睫毛が絶妙な角度を作って美しいなとも思っていた。
身長差がかなりあるので、
いつも彼に追い越されてその距離は大きくなっていた。
いつも背中をみていた。
それでも通学中に2、3回話したことがある。何を話したかは覚えていない。
一生懸命、早足で追いついて、
話した。きっと息切れしてただろうな。
気のせいかもしれないけど、
それから少しだけ、ゆっくりめに歩いてくれていた気がする。
とはいえ、
学生時代はほぼ音楽のことしか考えていなかったから、恋愛に本気になったこともなく、彼のことはいつの間にか、
好きじゃなくなっていた。
数年後、私たちは一度再会した。
高校卒業をあと数日後にひかえたある日の、駅に向かう電車だった。
久しぶり、のあと話すことがなく
少し沈黙。
卒業したらどうするの?と
彼からきいてきた。
県外の大学に行くことを伝え、
ききかえしたら、地元で就職すると答えた。
また沈黙が訪れた。
今までの中で一番近い距離だったから、とても緊張していた。
ひんやりした静けさが二人の間にあって心地よい。
電車が駅について、私たちは別れた。
がんばってね、またね!
そういった。
彼がそのときどんな顔をしていたか、
覚えていない。
真上には浅葱色の空
天上のその上のような
水の底のような
ここは地の果て
奈落の底
見わたすかぎり色とりどりの花が咲く
あなたがいれば
あなたがいるから
それはどこでも楽園となり
美しい世界となる
この宇宙には最高も最低もなく
そのジャッジは
脳がおこなっているに過ぎない
花が咲き乱れる園で
あなたがこちらをみて笑っている
風はぬるく通り過ぎる
気づけば私は誰かの手を握っている
それはあなたであり、彼であり、
彼女であり、あのひとであり、
あの子でもある
いつでもそこにアクセスできるから
私の中にあなたがいる
私の中に宇宙がある
だから、私は
どこにでもいける
世界中に未来に過去に
天上のその上のような
水の底のような
ここは地の果て
奈落の底
見わたすかぎり色とりどりの花が咲く
あなたがいれば
あなたがいるから
それはどこでも楽園となり
美しい世界となる
この宇宙には最高も最低もなく
そのジャッジは
脳がおこなっているに過ぎない
花が咲き乱れる園で
あなたがこちらをみて笑っている
風はぬるく通り過ぎる
気づけば私は誰かの手を握っている
それはあなたであり、彼であり、
彼女であり、あのひとであり、
あの子でもある
いつでもそこにアクセスできるから
私の中にあなたがいる
私の中に宇宙がある
だから、私は
どこにでもいける
世界中に未来に過去に
何かを思い立つと
すぐに別の私があらわれて
反対意見を述べる
その反証を別の私が行う
螺旋に進む時間の中
私はこの狭い狭い枠の中で
たくさんの自分を生み出し
戦わせ
ただ一人を探そうとする
あなたに話す前にはその戦いは終結していて
あなたの話す言葉に影響されない勝利者がいる
私の頭の中
私の外側の世界
様々な人が行き交う
伝えることばなんているのだろうか
伝わることばなんてあるのだろうか
私は私を固定化しているはずなのに
あなたに伝えることばなどもうないくせに
どうしてあなたにわかってもらいたいんだろう
どうしてあなたには見てもらいたいと思うんだろう
ずいぶん遠いところまできてしまった
戻れるのだろうか、私は心地よかった場所へ
戻りたいと思うのだろうか
透明な螺旋はいまも回転している
すぐに別の私があらわれて
反対意見を述べる
その反証を別の私が行う
螺旋に進む時間の中
私はこの狭い狭い枠の中で
たくさんの自分を生み出し
戦わせ
ただ一人を探そうとする
あなたに話す前にはその戦いは終結していて
あなたの話す言葉に影響されない勝利者がいる
私の頭の中
私の外側の世界
様々な人が行き交う
伝えることばなんているのだろうか
伝わることばなんてあるのだろうか
私は私を固定化しているはずなのに
あなたに伝えることばなどもうないくせに
どうしてあなたにわかってもらいたいんだろう
どうしてあなたには見てもらいたいと思うんだろう
ずいぶん遠いところまできてしまった
戻れるのだろうか、私は心地よかった場所へ
戻りたいと思うのだろうか
透明な螺旋はいまも回転している