ふたりずっとずっと溶け合って
甘いあまい世界
あたたかい永遠の春の世界
思えば瞬時に君に伝わって
僕らはふたつだけどひとつだった
いつの日かその世界の壁が
すべて無くなって
冷たい、外の世界に投げ出されて
思っていても、何もつたわらない
君と僕はもう溶け合えなくなった
君と僕の違いが明確にわかってしまった
君の手が僕にふれる。
それでも僕らが
寄り添う理由はなんだ?
君の手を握りかえす僕はなんだ?
あの頃にもどりたいのか、
この世界の果てまで進みたいのか
あいまいな空が世界をとり囲む
雨音
電気でも通ってるんじゃないかと
そう思うほど、ピリピリした声で
彼女は言った。
「あの、さ。
抱いてもいい?」
2秒ぐらいの間をあけて、
「うーん、いいよ」
そう答えた。
彼女と私は行為の「役割」が
同じ志向だから、
通常こんなことはしない。
ただ、とても落ち込んでいるのは
今までの話でわかってるし、
気が紛れるならいいや、と思った。
今回に限らず、私には
悲しみを背負った人が多く寄ってきた。
いつも言葉を振り回しているくせに、
こんなときに言葉がでてこない質なものだから。
大抵は抱きしめて頭を撫でて
なし崩しに関係をもって、
その人は少しだけすっきりして
去っていった。
つまり、一夜だけの関係が非常に多い。
そういうのに慣れっこだったし、
彼女はいい子だから、
それならいいかな、って思った。
せっかく気が合う友だちだったけど
しかたがない。
髪を撫でられて接吻をされた。
どちらかというとする方だから慣れない。
いつもゲームしたり
マンガを読んだりしている部屋が
異空間にみえる。
かなり緊張していた。
唇が下へとおりていく。
手が震えてるみたいだから
握ってあげた。
また、唇にもどる。
しばらくそれの繰り返しをしてるうちに、
「やっぱできない」
そう言って彼女は背を向け、毛布を頭からかぶった。
途中から泣いているのには気づいていた。
背中ごしに毛布ごと彼女を抱きしめた。
普段はかっこつけて威勢がよくて、ビシッとした子だけど、今は泣きじゃくる年下のただの女の子だった。
「今日は雨だし。神様みてないから。
みてるの私だけだから、
素直に泣いてもいいんじゃない」
そう言って頭を撫でた。
しばらくして彼女はこちらを向き、
涙が涸れるまで泣いた。
軽く寝たら夜が明けかけていた。
帰るね、と言うと寝ぼけた声で、
ん、と返事をした。
右腕の痺れがなかなかとれなかった。
彼女にはそれから会ってない。
数日して、大好きな人を追いかけて
東京に行ったというメールがきた。
二人がどうなったかは分からないが、
彼女なら幸せに暮らしてるんじゃないかと思ってる。
電気でも通ってるんじゃないかと
そう思うほど、ピリピリした声で
彼女は言った。
「あの、さ。
抱いてもいい?」
2秒ぐらいの間をあけて、
「うーん、いいよ」
そう答えた。
彼女と私は行為の「役割」が
同じ志向だから、
通常こんなことはしない。
ただ、とても落ち込んでいるのは
今までの話でわかってるし、
気が紛れるならいいや、と思った。
今回に限らず、私には
悲しみを背負った人が多く寄ってきた。
いつも言葉を振り回しているくせに、
こんなときに言葉がでてこない質なものだから。
大抵は抱きしめて頭を撫でて
なし崩しに関係をもって、
その人は少しだけすっきりして
去っていった。
つまり、一夜だけの関係が非常に多い。
そういうのに慣れっこだったし、
彼女はいい子だから、
それならいいかな、って思った。
せっかく気が合う友だちだったけど
しかたがない。
髪を撫でられて接吻をされた。
どちらかというとする方だから慣れない。
いつもゲームしたり
マンガを読んだりしている部屋が
異空間にみえる。
かなり緊張していた。
唇が下へとおりていく。
手が震えてるみたいだから
握ってあげた。
また、唇にもどる。
しばらくそれの繰り返しをしてるうちに、
「やっぱできない」
そう言って彼女は背を向け、毛布を頭からかぶった。
途中から泣いているのには気づいていた。
背中ごしに毛布ごと彼女を抱きしめた。
普段はかっこつけて威勢がよくて、ビシッとした子だけど、今は泣きじゃくる年下のただの女の子だった。
「今日は雨だし。神様みてないから。
みてるの私だけだから、
素直に泣いてもいいんじゃない」
そう言って頭を撫でた。
しばらくして彼女はこちらを向き、
涙が涸れるまで泣いた。
軽く寝たら夜が明けかけていた。
帰るね、と言うと寝ぼけた声で、
ん、と返事をした。
右腕の痺れがなかなかとれなかった。
彼女にはそれから会ってない。
数日して、大好きな人を追いかけて
東京に行ったというメールがきた。
二人がどうなったかは分からないが、
彼女なら幸せに暮らしてるんじゃないかと思ってる。
明るい琥珀のような液体に
適度にミルクを注ぐ
ミルクは一度、琥珀の底に沈み、
そこから水面に向かってとびあがる。
急速に発達した雨雲って
こんな感じなんだろうか。
それから、あてもなく
煙のように広がっていく。
琥珀を支配したと思ったら、
ゆっくり沈んで消えていく。
まだ琥珀と煙が対流して
絡み合っている。
実に飽きることがない。
角砂糖を入れる。
ぷくぷくと泡がたった。
細かなあわが
生まれては消え、生まれては消え、
誰に指示されているのか
泡の集団を形成していく。
大きな泡がはじけた。
ぽっかりとそこだけ穴があく。
でも数秒後には他の泡が入り込み、
その穴は跡形も無くなり、
どこにあの大きな穴があったのかわからなくなった。
人間みたいだと思った。
重みのある金色のスプーンで
それらをかき回す。
不透明なベージュになった。
だけど分子的には、
結合したわけじゃないから
それぞれの細かい分子が入り組んで、
混ざり合ってるようにみえるだけだ。
人間みたいなものだ。
カップの水面にふと、
サマードレスを着た彼女が浮かんだ。
今日は彼女のことを
考えないでいようと努めていたから、
不意打ちであらわれた姿に
心を奪われてしまった。
一気に飲んだミルクティは
砂糖もミルクも足りなかった。
適度にミルクを注ぐ
ミルクは一度、琥珀の底に沈み、
そこから水面に向かってとびあがる。
急速に発達した雨雲って
こんな感じなんだろうか。
それから、あてもなく
煙のように広がっていく。
琥珀を支配したと思ったら、
ゆっくり沈んで消えていく。
まだ琥珀と煙が対流して
絡み合っている。
実に飽きることがない。
角砂糖を入れる。
ぷくぷくと泡がたった。
細かなあわが
生まれては消え、生まれては消え、
誰に指示されているのか
泡の集団を形成していく。
大きな泡がはじけた。
ぽっかりとそこだけ穴があく。
でも数秒後には他の泡が入り込み、
その穴は跡形も無くなり、
どこにあの大きな穴があったのかわからなくなった。
人間みたいだと思った。
重みのある金色のスプーンで
それらをかき回す。
不透明なベージュになった。
だけど分子的には、
結合したわけじゃないから
それぞれの細かい分子が入り組んで、
混ざり合ってるようにみえるだけだ。
人間みたいなものだ。
カップの水面にふと、
サマードレスを着た彼女が浮かんだ。
今日は彼女のことを
考えないでいようと努めていたから、
不意打ちであらわれた姿に
心を奪われてしまった。
一気に飲んだミルクティは
砂糖もミルクも足りなかった。