姫君の輪郭を思い描き
目でそれをなぞる
すぐさまその輪郭は別の顔へと変化する
姫君の目元を思い描き
目でそれをなぞる
すぐさまその目元は別の顔へと変化する
姫君の鼻筋を思い描く
目でそれをなぞる
すぐさまその鼻筋は別の顔へと変化する
結局
求めていたのはあなたであったと思い至る
イデアの上では
あなたはどちらに近いのだろうか
姫君なのか今のあなたか
それとも私が見えているその色だけで姿も容もないのか
いずれにせよ
砂浜に絵を描くが如く
ほんの一瞬呼び覚まされた
あなたへの幻想
和音の雫が
零れ落ちる
数秒後に水滴が跳ねた
透明なミルククラウン
静かに右足を横に
そのまま後方にまわす
太陽を孕んだ雲を妬むように
層状の雲は光を拡散し複雑な模様を描く
女性が長い髪を梳く
永遠のような連続性でもって
回転ののちに大地に跪く
雲は太陽をかかえたまま、
海に身を投げようとしている
女性は髪を梳いている
涙の筋はまだ乾かない
すべて長い死の間で
ほんの僅かに点滅している
その点滅でもって宇宙を動かしている
零れ落ちる
数秒後に水滴が跳ねた
透明なミルククラウン
静かに右足を横に
そのまま後方にまわす
太陽を孕んだ雲を妬むように
層状の雲は光を拡散し複雑な模様を描く
女性が長い髪を梳く
永遠のような連続性でもって
回転ののちに大地に跪く
雲は太陽をかかえたまま、
海に身を投げようとしている
女性は髪を梳いている
涙の筋はまだ乾かない
すべて長い死の間で
ほんの僅かに点滅している
その点滅でもって宇宙を動かしている
見つからない
見つからない
時間はあの時止まったままで
僕らが笑いあっていた世界はもう居なくなっていた
すべてはそのForbiddenの奥に行ってしまったのか
光の布のように
手に残る微かな感触を忘れないように
歩いていかなければならないのか