彼は、こちらへ帰ってくる前に、
いつも小さな嘘をつきました。
たとえば、年末。
「いつ帰ってくるの?」と聞くと、
「25日になるかなぁ?」
そう答える。
私はその言葉を信じて、
25日に向けて準備を始めます。
家の掃除をして、
彼が泊まる布団を季節に合ったものに替えて、
年越しに着る新しい衣類を用意したり。
ちょうどその時期は、
お店では福袋の準備が重なり、
私自身も一年で一番忙しい頃でした。
そんなある日のこと。
もうすぐ閉店、という時間に
カランカラン とドアの音がして、
ふと顔を上げると——
そこに、彼が立っていました。
あれ?
25日って言ってなかった?
……やっぱり、1日早かった。
24日に来たのね。
嬉しい。
本当に嬉しい。
でも同時に、
布団も、家も、心の準備も、
まだ整っていない。
そんな小さな戸惑いが、
時々、イライラに変わってしまうこともありました。
それでも、心の底ではわかっていました。
本当は、ものすごく嬉しかった ということを。
彼は比較的、
休みをゆっくり取れる仕事をしていたので、
遠距離でありながら、
ほぼ毎月のように私のもとへ通ってくれました。
「会えること」が、
だんだん当たり前になってくると、
嬉しさの中に、
小さな不満やすれ違いも生まれてきます。
移動にかかるお金のこと。
どの交通手段で来るのか。
少しでも節約したい私と、
楽に移動したい彼。
そんなことで、
よく喧嘩をした気がします。
今となっては、
本当に、取るに足らないことばかり。
でもその時は、
どれも必死で、
どれも真剣で、
どれも「一緒にいたい」からこその衝突でした。
皆さんは、
どんなことでパートナーと喧嘩をしますか?
そして、
どんなふうに仲直りをしていますか?
よかったら、
また聞かせてくださいね。
宙の便 COCORO舎