彼の旅行は「どこかをゆっくり観光する」というより、とにかく移動して、美味しいものを食べて、また移動するそんな旅でした。
関西から 倉敷で一泊。姫路城を見て、
しまなみ海道を通り、
途中で海沿いのとても綺麗な島に立ち寄りました。
「はかたの塩」で有名な島。
水が驚くほど透明で、
ここに一泊してみたいなぁ
そう思うほど素敵な場所でした。
でも、
その“ゆっくりした時間”は、
だいたい 10分くらい。
讃岐うどんで有名な香川県。
まさか、半日で2軒もうどんを食べる とは思いませんでした。
「みんな、そんなに食べるの?」
と、正直びっくり。
その後は、
こんぴらさん へ。
本当は、登りたくありませんでした。
でも、
年配の方々が
「ご利益、ご利益」と言いながら
一生懸命登っている姿を見てしまって——
「やめよう」と言えなくなってしまったのです。
結果、
登ってよかったと思いました。
ただ数年後、
私たちが登ったのは、実は半分までだった
と知った時は、
「ガーン…」でした。
「リベンジしようね」
そう言って、
二人で笑っていました。
その後は 徳島で一泊。
ご当地の 徳島ラーメン を食べて、
彼は夜中になると、なぜかラーメンが食べたくなる人で、
また徳島ラーメン。
そして翌日は、
淡路島を回って帰る というコース。
移動中、
「ここにはこんなのがあるんだね」
「これは有名なんだよ」
そんな会話をすればいいのに、
私は車に乗ると すぐ寝てしまう癖 がありました。
気づけば、到着。
それでも彼は、
怒ったりしませんでした。
怒っていたのは、
むしろ私の方。
もっと、ゆっくりした旅行がしたい。
そう思っていました。
でも今考えれば、
十分すぎるほど、
いろんな場所に連れて行ってもらっていました。
私が寝さえしなければ、
きっともっと楽しかった。
彼は、
本当にいろんなことをよく知っている人で、
私がふと聞いたことにも、
必ず何かしら答えてくれる人でした。
土地のこと、歴史のこと、
何気ない疑問。
尊敬できる部分であり、
好きなところでもありました。
宙の便 COCORO舎