「日本は狭い。」

彼はよくそう言っていました。


出会いから数ヶ月、

ブログを通して言葉を交わしながら、

私たちの距離は少しずつ近づいていきました。


最初は、ただの“ブログの友達”。

きっとこのまま、顔の見えないまま、

程よい距離で関係が続いていくのだろうと思っていました。


――けれど、いつの間にか

ほんの少し気になるような、

心が静かにざわつくような感覚が生まれていました。


そんな頃、

彼の後輩が私の地元仕事で来ることになり、

「お店にも寄らせてもらいます」と連絡がありました。


まさか彼に会うより先に、

彼の後輩に会うことになるとは思ってもいませんでした。


後輩と会ったその日、

初対面なのに、初めて会った気がしませんでした。

お茶を飲みながら、ゆっくり話をして、

自然な時間を過ごしました。


仕事の間、

その後輩とは友達のようにお茶をしたり、

気取らない関係が続きました。


そしてある日、彼がこう言いました。


「後輩も行ったんだから、そろそろ会いましょうか。」


この言葉がなければ、

私たちはきっとすれ違ったままだったと思います。


2度目の離婚のあとに訪れた出会いでした。

もう、誰かと付き合うことも、

何かを始めることも、

絶対に嫌だと思っていた時期でした。


けれど、

友達のように始まったこの出会いは、

私にとってとても新鮮でした。


行ったことのない場所の話、

見たことのない世界の話を、

たくさん聞かせてくれました。


そして、ついに彼は――

私のところへやって来ました。


宙の便 COCORO舎