• 当日の朝

月曜日の朝、起きて腹痛を感じトイレへ→便が出ない、と思った次の瞬間にはトイレ前の廊下に四つん這いになって動けなかった「いた〜い、え、いた〜い」と力なく声を出すことしかできない
流石に夫が数分後私を発見、「救急車呼ぶか?」→ちょっと待って…一旦ロキソニンを持ってきて…(これで何ともなかったらかなり恥ずかしいと思った)
冷静に考えると
【突然発症-suden onset-の痛み】血管性(破裂、塞栓、解離) 破裂 捻転
患者にも「急に痛くなりましたか?」→みんなYesと答えるけど正しくは「ある時を境に、1分以内に痛みがピークに達しましたか?」が正しい、この時の痛みは正にそれ
下腹部の突然発症の痛み、年齢と既往から1に婦人科疾患、2に尿路結石、3に腸がなんか破裂した?とか絞り込んでChat GPTに
「33歳女性 突然発症の強い下腹部痛で体動困難。最終月経は20日前。鑑別は。」と相談
→もしこれが国家試験や救急初期対応の問題なら、「卵巣捻転 vs 黄体出血」が最も典型的。子宮外妊娠否定はできないけど可能性は低いね。あとは尿路結石、虫垂炎。
やっぱそうだよな。卵巣出血くさいよな!(捻転するようなサイズの腫瘤は元々ないし、外妊は早すぎるよね!)と確信を強める。
ならやっぱり救急車はやめよう…何とかくの字で歩けそうなので、タクシーで職場へ向かって婦人科に相談しよう…にしても卵巣出血ってこんなに痛いのね…と思っていた。
  • 病院へ
夫が付き添ってくれてタクシーで職場へ。救急外来のエコーで思っていたより大量腹水を見る。よし、流石に何か出ている。これで胸を張って婦人科にかかれる。研修医に採血・点滴を取ってもらって、ついでにエコーを見せてあげる(ちょっと引いていたと思う)
婦人科の先生に電話「卵巣出血疑いの33歳女性で、経腹エコーで結構腹水ありまして…いや、自分なんですけどハイ…」
夫に婦人科に見てもらうことになったから、帰っていいよと伝える。
  • 婦人科外来へ
すぐに経膣エコーしていただく。「確かに左卵巣周囲に出血ありますね。けど、血腫になってきてそう」と言われる。さっき経腹エコーで見た時はまだ全然フレッシュな液体だったけどな??もうこんなに固まるもんなの??
けど、卵巣出血で良さそう、自然に止まることが多いけど、心配だったら入院してもいいよと言われ
「いえ、であれば家で様子見ます」と伝える。
ちなみにここで「妊娠可能性はないです?」と言われて「最終月経20日前で、予定通りで正常量の生理きてました!妊活中なので今回ヒットしている可能性は0ではないけど…(外妊は)ないと思います!!」と元気に回答
ほな、点滴落として帰ろうかーーー婦人科外来で横になって休ませてもらうこととなった。
 
妊娠はないーー私は妊活中で、5ヶ月が経つところだった。今回も月経がガッツリきて、ガッカリしたばっかりなのだ。あと、LHサージチェッカーを使っていた 1週間前に使用した際に、陽性で出ていた!私は知らなかったのです。hCGでも偽陽性になりうることなんて…
しかし自分にも振り返ると

「とにかく面倒臭い」その理由で基礎体温もちゃんとつけていなかった。

妊活中で、タイミング法をやっていて、毎回卵胞サイズをエコーで見ていた。ただ今回だけは忙しさにかまけてエコーを受けておらず、LHサージも来ているようだったのでエコーなしでタイミングに臨んだ。

などと圧倒的に理由があった。

何より中途半端な知識で「毎回エコーで卵胞確認してるが、LHサージでわかるならもういいかな」などと判断したのが間違いなのだ

  • 人生初のLOC

点滴が終わった。起き上がったら嘔気がしたので、トイレに行かせてもらうことにした。

元気な看護師さんが付き添ってくれて、トイレに向かう。長く寝ていたせいか何だか両肩が痛い。

トイレに入ったらとにかく気持ち悪くて、便器にしゃがんでしまった。外から看護師さんが声をかけている。すみません、気持ち悪いんでちょっと待ってください、と言えたのかわからない、なんか大声で話しかけられながら車椅子に乗せられたところでブラックアウト。

気づいたら仰臥位で両足挙上し医師が3人看護師3人ぐらいに囲まれていた。婦人科の部長がボルベンを握りしめている。

やってしまった、コードブルー鳴っちゃった!?と思ったけど婦人科外来の中での出来事だったみたい。

わかる??????とさっきの元気な看護師が私の頬をずっと叩いている。なんて原始的な声かけ。

わかります、すみません。血圧70台、と言われて「元々低いです、当直明け78くらいだったことも…」といらない見栄を張る

さっき見てくださった婦人科の先生に「入院しようね?」「流石に入院させてください」と答える

  • 病棟へ

そこからは頭を起こすと嘔吐、を繰り返してしまった

恥ずかしながら痛みでわごっているのだと思っていた。

そしてどんどん肩が痛くなってきた。下腹部の痛みは何なら自制内になってきた。

後程Chat GPTが教えてくれたが、両肩の痛みは腹腔内出血による横隔膜神経刺激で起こる放散痛であった。

あまりに体も起こせないのでバルーンを入れてもらうことにも同意。

バルーンは入れる時はそんなだけど、入れた後の膀胱炎の時みたいな残尿感が不快だった。でもこれで床上排泄や…と安心する。

夫に入院になった、と連絡。

病室に上がった時、婦人科の先生が念の為hCG出していい?と言われてもちろん、とお答えする。

優しい看護師さんが荷物を持ってきてくれる。お昼に食べようと持参していたお弁当どうする?と言われて、夫にあげようかと思ったけど、なぜか惜しくなり自分で食べると答える

チンまでしてくれる優しさ。卵焼きを二つ食べて、やはり気持ち悪くてそれ以上進まなかった。

この辺で肩の痛みについて調べて、嫌な予感がしていた。

  • 子宮外妊娠の診断

hCGは3500くらいだったと思う。

泣いた。子宮外妊娠や、Opeですね。と言ったけどまた胎嚢が確認できていない。

正常妊娠+卵巣出血の可能性もなきにしもあらずなのか、と僅かな希望があったけどそんなわけなかった。

MRIを撮る、となって同意書書いて、時間がないからエコーもう一度当てようとベッドサイドで経膣エコー。

経膣エコーって、診察台じゃなくてもやっぱりできるよね?????と思ったりした。

左の卵巣に胎嚢らしきものがありそう、となり、子宮外妊娠確定する。

研修医に滴下の悪い正中のルートを取り直してもらいながらボロボロ泣いてしまった。

私がぼんやりしているせいで、気づかないうちに死んでしまった私達の赤ちゃん。なかなか妊娠しないと思っていたけど、来てくれていた赤ちゃん。気づかなくて本当にごめんね。

手術への不安。卵管が無くなると妊娠はしづらくなるだろうな。卵巣を取ることになるかもと言われていた、AIHただでさえ少し低いのに、心配だな。

 

帰宅した夫に緊急手術になると思う、と連絡する。夫としてはは???という感じだったという。

麻酔科の先生に最終食事を聞かれて、さっき、卵焼きを2つ…と答える。自分の食い意地を恨む。

  • 肩が痛い

さっきから言っていたけど肩が痛い。腹部より肩がどんどん痛くなってきた。

機序も分かったので泣いたり喋ったりすると横隔膜が震えて肩が痛い。

両肩を内側から差し込まれるように痛い。クリリンのコトカァーーーーー!!!の痛み(ドラゴンボールをちゃんと読んだことがない)

となると結構出血量多い。子宮外妊娠と確定すると途端に怖くなってきた。

さっっきの失神も出血でだ。どのくらい出てるんだろう?

輸血のクロスマッチ用の採血まだだけど、手術前に準備しなくていいのかな???

ていうか肩が痛い。肩が痛すぎる。

Opeに向かうことになる。この時には肩の痛みが最高潮に達している。

Ope室の前で夫が待っていて、頑張ってね、などと声をかけてくれる。

ここでまた嗚呼ごめんね、私たちの赤ちゃんに気がつかなくてごめんね、と悲しい気持ちになり泣いてしまったら、

肩が痛すぎて涙が止まらなくなる。

我々の熱い時間と勘違いした看護師さんが空気を読んで少し席を外してくれる。

違う、違うんです。今は肩が痛くて泣く→横隔膜が震えて肩が痛いの無限列車なんです。早く私をOpe室に連れて行って。

 

  • 手術室

痛くて手術台に自力移動ができなかった、よっこいしょ、で移してもらったけどあまりの痛さで涙が出る。

お腹痛いね!?と聞かれていや、肩がすごく痛いんです!!と答えたら婦人科の先生は肩?みたいな感じだったけど

麻酔科の先生が「そうか、結構出てそうだね」と呟いたのが聞こえてそう!!そうなんです!!!と思う。

研修医は顔見知りだけど、私が普段旧姓で仕事をしているせいで気づいてくれていない。

全身麻酔は無論初めて。吸入麻酔を嗅ぎながら、横隔膜の痛みで深呼吸がうまくできない、と伝える。そのうち眠くなってきたので「アッ、眠くなってきました!」と自己申告したのち術後へ飛ぶ。

  • 術後

普通に寝起きの感覚で、でも「終わったんだ!」とすぐに状況が理解できる不思議な感じだった。

何より鎮痛麻薬のおかげで、なんの痛みもない空間に浮かんでいる、みたいな時間が数分あった。

レミフェンタニルか?Offする音がして数分後から全ての苦痛が体を襲う。

まず挿管チューブ、水中で窒息しているようなのに、なぜか息はできていて生きている、みたいな感じでとても辛い。無論声を出せないせいもある。若い患者が何人か自己抜管してしまったことがあるけど、これはしかねない。

胃管を抜かれる感覚がある。おおお、と思うけど声は出ない。

腹が痛くなってきた。誰かがお腹は腹直筋鞘ブロックもしているよ、と教えてくれる。なんか、確かに鈍い感じがする。

離握手など確認してついに抜管いただく。

抜いた後の喉の痛みに悶絶する。かなり痛い。数時間で良くなりそうだけど、これはキビシイ。

左の卵巣を半分取ったけど半分残せたということ、卵管は触ってないこと、出血量は1.3L程度、手術時間は3時間、開腹には移行していないと教えてもらう。無事終わってほんまによかった。こんな時間までありがとうございます…。

何より肩が痛く無くなっている気がする。

これから輸血をする、と言われ寒さを感じる。体感のHb6位。翌日の採血で8台、術後3日目に7台に落ちてもう一回輸血したのでそんなもんな気がする。寒くて奥歯がガタガタし始めた。

夫以外に母と妹も来ていた。もう19時近かったので病室には上がれないと言われる。お礼を言わなきゃ、と思って「アリガトウ…」と力なく伝えた。後程あまりに力なかったのでかわいそすぎた、と妹。

  • 術後の夜

院内関係者ということで個室に移動していた。まあ、2、3泊くらいは個室にさせてもらうかーーーと思った。

寒くて寒くて仕方がなかったけど、すぐに電気毛布をかけてもらって、輸血が始まって、暖かくなってきた。

腹は痛かった。術直後のアセリオが少し効いたけど、1時間後には痛かったのでロピオンを入れてもらう。

看護師さんがロピオンしか勝たん派の人で、意気揚々と繋いでくださった。

この日の看護師さんがかなりのベテランと思われる方で、私の様々なわがままに飲水禁だけど口だけは湯すげるように吸飲みとガーグルベースン、術後の酸素もどうしても口が渇くのでSpO2モニターつけてれば外していいか当直医に掛け合ってくれたりと本当に助かった。

水が口に含めるようになった時は本当に助かった。痛み止めは2回程度使った気がするけど、思っていたより眠れたと思う。

朝には飲水、朝には飲水と楽しみにしていた。

 

  • POD1

飲水どころか昼には流動食が出た。流石に2割も食べられなかった。

頭をベッドアップした時、昨日の、あの肩の痛みが再度襲ってきて、アーーー〜ー!!となった。

主治医によると気腹後の症状として肩とか背中の痛みが出るとのこと。

こっわ、怖くてベッドは5度ずつしか動かせなくなった。

室内のトイレに満身創痍で移動した。個室じゃなかったら外のトイレに行くの??無理すぎるんだが??

 

  • POD2
オムツの楽さ加減に震える。生理ナプキンは優秀だけど、オムツの安心感といったらない。
お腹が張っていて、普通のパンツが履けるようになる想像ができない。
オムツが良すぎて手放せない気がする。
ゆっくり立って、室内を歩いたりできるようになった。
夫は毎日面会に来てくれる。職場の後輩(エコーを無理やり見せた)も来てくれて、色々いただく。
  • POD3
なぜか昨日より体調が悪い。嘔気がかなりある。
採血で、Hb7.8なので輸血してもいいかと聞かれて是非オネシャスする。
献血は3、4回しかしたことないけど本当に本当にありがたい。ていうか医療は素晴らしい。
  • POD4
食事も食べられるようになってきて気づいたけど、当院のご飯が美味しすぎる。
見た目こそ豪華ではないけど、一品一品味付けが凝っているし全体的な食べ合わせが素晴らしい。献立表には一言美味しかったですなどと書くようになった。
廊下を歩いた。亀より遅い。祖母の着替えや歩行が遅すぎてイライラしたことがあったけど、
人には人の動ける速度があるんだ、これ以上は無理なんだと実感する。
  • POD5
風呂に入った。退院が近い。妹が面会に来てくれた。
  • POD7くらい
退院した。以降10日間?自宅療養した。