『東洋経済』のオンライン版に以下の記事が出ていた。津波の犠牲者が数万人に達するのではないかと恐れていたが、それどころか、十万人規模になるようである。

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犠牲者は10万人規模のおそれ、厳しい状況認識を持ち長期的支援体制を(1) - 11/03/27 | 18:25

 戦後最悪の災害となった東日本大震災。3月13日から26日まで福島県いわき市や宮城県気仙沼市で医療活動支援にあたった、永田高志医師(日本医師会救急災害医療対策委員会委員、九州大学病院救命救急センター特任助教、姫野病院勤務)に、被災地での医療支援の状況について聞いた。

――現場の医療支援活動の状況はいかがですか。

 いわきでの支援活動のあと、3月24日の朝に気仙沼に入りました。日本医師会災害支援活動(JMAT)としては支援を被災地にランダムに送るのではなく、拠点ごとに集中して支援を投下する必要があると考えています。気仙沼はそのひとつで、私は適正な支援をするための情報収集の役割もありました。
 
 気仙沼には東京医師会をはじめ、関東の大学病院など各地域からの支援チームが入り、気仙沼市民病院を拠点に医療活動を展開しています。東京医師会のチームが中心に、統率力を持って支援活動を円滑に運営していると感じました。
 
 大震災発生から約2週間たって、もっとも厳しい時期は脱しつつあるようです。しかし、10日以上たった24日でも、気仙沼から仙台に向けて患者さんを広域搬送する必要があるなど、これまでの災害時にはこれだけ時間がたって広域搬送を要することはなく、それだけ状況が厳しいといえます。
 
 気仙沼の厳しいところは、市街地が広範囲に被災し、医療活動にあたるべき地元の医師・医療関係者も被災してしまったことです。まずは、地元医師が自らの診療所を立て直さなければ医療活動に携われません。地域医療のことは地元の医師がもっとも知っています。患者さんもかかりつけの医師のほうが安心です。徐々に活動は回復していますが、通常であれば、外部からの緊急支援は、徐々に地元の医療機関に引き継いでいくのですが、こちらでは2~3カ月は外部の支援が必要になると思います。


――これから必要になる医療活動はなんでしょうか。
 
 いま懸念していることのひとつは、医療支援が届いていない場所が多数あるということです。三陸地域は小さな集落が広範囲に点在しています。今の体制ではこうした小さな集落を回りきれていません。これを解消する必要があります。
 
 今回、私は通常の緊急災害支援時の2倍の期間にあたる約2週間活動をさせてもらいましたが、それでも広大な被災地に対して何も出来ていないという「ある種の無力感」を感じています。
 
 もうひとつ、日常の薬を届ける必要があることです。2週間が経過し、日常的に飲んでいる薬が切れてしまった人が増えています。こうした被災者たちを探して薬を届けていかなくてはなりません。
 
 避難所の環境もとても危惧しています。過密、衛生状態により、インフルエンザや胃腸炎を起こすノロウイルスなど感染症が懸念されます。


私が訪ねた避難所のひとつは、公民館でしたがスペースに比べて人数が多すぎました。避難所では1人あたり4平方メートル以上のスペースが必要とされていますが、遥かに不足しています。トイレも大幅に足りません。また手洗いやお風呂など衛生用の水が圧倒的に不足していました。洗う水が不足していますから、アルコールで殺菌していますが、ノロウイルスはアルコールでは死にません。感染者が出ても隔離するスペースがありません。女性の生理用品の不足も問題です。
 
 通常時であればさほど懸念するようなことがないことが問題になります。衛生環境の確保には保健師が努力していますが、医師にもトイレの数や密度など避難所のざっくりとした状態に注意してほしいとお願いしています。これらの感染症問題は普通の生活環境を取り戻せれば自然になくなります。水の供給や仮設住宅の建設などを一刻も早く進めるしかありません。
 
――気仙沼といわきで必要な支援に差はありますか。

 やはり被災地の置かれた状況により差はあります。いわきは沿岸部の津波被害は厳しいですが、市域が広く、被災の程度が低い医療機関もあり、そうしたところでの対応ができました。しかし、水道が不足し、また物資も拠点となる集積所から、各避難所などに届ける末端の物流が混乱するなどの課題がありました。ただ、現時点では状態はよくなっています。一方、気仙沼は電力・通信も途絶し、街全体が被災したため、地域だけでの対応が困難です。
 
 阪神淡路大震災は被災地域が狭かったので、必要とされる支援の内容がある程度似ていました。しかし、今回は被災地が非常に広い地域にわたっているので、地域ごとに必要なことが大きく違います。地域のニーズを把握して支援する必要を強く感じました。
 
 いわきで特徴的だったのは、原発事故による放射線被曝問題です。被爆そのものが問題になる環境ではもちろんないのですが、一時現地には原発の情報がはっきりとは伝わらず、支援スタッフにも動揺がありました。私自身、専門的な教育を受けているにもかかわらず、恐怖を覚えました。医師として、平常心を保ち、正しく情報を得て的確に判断する重要性を改めて感じました。いわきは一時的に非難していた人たちも戻り始め、支援のシステムはできていると思います。
 
 また、目立たない活動ですが、災害時には亡くなった方の死因を特定して死亡を確定する検案もとても大きな仕事になります。気仙沼で検案に当たっていた法医学の先生によれば、震災後3~7日ごろがピークだったそうですが、私が行った24日にも断続的にご遺体が運ばれてきました。
 
 先生によれば、気仙沼では90~95%が溺水、5%が焼死だそうです。家屋の倒壊などいわゆる地震による被害がほどんどなく、津波の被害が圧倒的だったことがわかります。
 
 復旧作業が進むにつれ、まだまだご遺体は見つかると思います。この状況では、私の経験では、10万人規模の方が犠牲になっていると想定するのが妥当だと思います。現地で活動している方に取材してもその程度という認識を持つ方が多かった。

  救急医療にはオーバートリアージという考えがあります。緊急を要する場合には、症状を悪い方に想定し、治療を施すという考え方です。結果的にそんな治療までする必要はなかったとしても、治療が手遅れになるよりはいいということです。震災発生直後から大規模な救援体制を投入していればもっと救えたのではないかと残念です。 

 東京では死者・行方不明者で3万人弱という災害規模の認識があるように感じますが、そうした認識では被災地の支援・復旧活動が不十分になる恐れがあります。今までの災害の経験は通用しないような厳しい状況という認識で対応に当たる必要があります。細く長い支援を継続していかなければなりません。
(聞き手:丸山 尚文 =東洋経済オンライン)
毎時1シーベルト以上の放射線というのは、とんでもないことである。もう絶対に人は近づけない。これは何を意味するかというと、冷却ポンプを回復する工事ができない、ということである。既に何度か指摘したように、本格的な冷却系を回復できない限り、炉心の溶融は進んでいく。

何れかの原子炉から放射性物質がもろに漏れ出す事態になれば、いずれの原子炉にも近づけなくなる。人間が近づいて、冷却し続けてやらない限り、原子炉は暴走する。チェルノブイリでやったような、コンクリートの石棺で固める用意を始めねばならないのではなかろうか。

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福島第1原発:2号機の水で高い放射線量 排出作業を中断

 東京電力は27日、福島第1原発2号機のタービン建屋地下で見つかった汚染水の水面から、毎時1000ミリシーベルト(1シーベルト)以上の放射線量が検出されたと発表した。測定限界を超えたため正確な値が分からないという。3号機でも水面の放射線量が毎時750ミリシーベルトと高い値だった。東電はこの日、2号機の汚染水を復水器へ排出する作業を始める予定だったが、放射線量が高いため作業員の安全確保が困難と判断し、作業を中止した。再開のめどは立っていない。【酒造唯、足立旬子、山田大輔】

 汚染水から検出された物質の放射能濃度は放射性のヨウ素131(半減期8日)が1300万ベクレル、セシウム134(同2年)とセシウム137(同30年)がそれぞれ230万ベクレルなど(単位は1立方センチあたり)。いずれもウランやプルトニウムが核分裂してできる。

 毎時1000ミリシーベルトという放射線量は、人が浴びると吐き気などの症状が表れる高い数値。3000~4000ミリシーベルトで約50%が死亡、6000~7000ミリシーベルト以上で99%以上が死亡するとされている。2号機では今月15日、原子炉格納容器につながる圧力抑制プールで爆発が起き、同プールの圧力が急激に低下。同プールが損傷して穴が開いている可能性がある。

 27日会見した東電の武藤栄副社長は高い放射線量が検出された原因について「原子炉由来だと考えている。原子炉格納容器や圧力容器が破損しているとは考えにくく、弁やポンプが高温高圧で損傷した可能性が高い」と話した。東電によると、1~4号機のタービン建屋地下全てで放射性物質に汚染された水が見つかり、通常運転時の冷却水と比べた放射性物質の放射能濃度は1、3号機が約1000倍、4号機はほぼ同程度。水面での放射線量は1号機が毎時60ミリシーベルト、4号機が毎時0・5ミリシーベルトだった。

 また、東電は27日、福島第1原発1~4号機の放水口南側約330メートルで26日午後に採取した海水から、基準の約1850倍もの放射性ヨウ素131を検出したと発表した。前日に採取した海水より数値が上昇している。

 他に、セシウム134が約197倍、セシウム137は約133倍などで、いずれも前日より高かった。

 保安院は「海の生物が放射性物質を吸収した後、人が食べるまでには希釈されることから、健康上の被害を考える必要はない」との見解を示した。


毎日新聞 2011年3月27日 20時34分(最終更新 3月27日 23時01分)
 保安院の発表によると、ヨウ素131などの他に第1原発の放水口付近ではモリブデン99(半減期66時間)が、3号機タービン建屋地下で見つかった水たまりからはバリウム140(同13日)やランタン140(同2日)など、半減期が比較的短い放射性物質が検出されている。

とのことだが、半減期が66時間の放射性物質が放水口付近の海から見つかるということは、原子炉から海へと直行しているということではないだろうか。

これはつまり、冷却水がどこかで大きく漏れている、ということである。可能性が高いのは冷却水の循環パイプのどこかが亀裂を生じているということである。あんな複雑でやっかいなシステムなのだから、地震と津波と爆発とで、そうなっていない方が不思議なので、当然といえば当然だが、非常に恐ろしい事態である。

>定住している海藻類は問題が生じるかもしれないが、一般に広い海域を回遊している魚では無視できるレベルだとは思う

と眠たいことを平気で言う、野口邦和・日大専任講師(放射線防護学)の神経が恐ろしい。

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東日本大震災:福島第1原発事故 海水汚染、損傷燃料が発生源か--専門家分析

 ◇モニタリング強化へ
 東京電力福島第1原発の放水口近くで25日に採取した海水から基準の約1250倍の放射性物質、ヨウ素131(半減期8日)が検出された問題で、枝野幸男官房長官は26日、海水の汚染状況の調査を強化する考えを示した。また、海水などから検出されている放射性物質の種類から、専門家は発生源を「原子炉の燃料が損傷したもの」と分析している。

 枝野氏は26日の記者会見で、「より広範な地域で海水のモニタリングは強化しなければならない」と述べた。ただ、「海洋生物に影響を及ぼす可能性は低い」と強調した。

 24日午前に同じ地点で実施した調査結果は、ヨウ素131は基準値の103・9倍で、1日で10倍以上に急増している。枝野氏は「1日で同じ地点の放射線量が大きく伸びていると報告を受け、東電、原子力安全・保安院に検討、分析をお願いした」と述べた。

 また、国の原子力安全委員会は26日の会見で、「ただちに健康に影響するものではない」とする見解を示した。

 保安院の発表によると、ヨウ素131などの他に第1原発の放水口付近ではモリブデン99(半減期66時間)が、3号機タービン建屋地下で見つかった水たまりからはバリウム140(同13日)やランタン140(同2日)など、半減期が比較的短い放射性物質が検出されている。

 これらの放射性物質は核分裂によって生成されるため、11日の原子炉の緊急停止以降は減り続けている計算になる。

 野口邦和・日大専任講師(放射線防護学)は発生源について「モリブデンやバリウムなどあまり外に出ないものまで検出されている。明らかに原子炉の燃料が損傷し、冷却水と混ざったものだ。定住している海藻類は問題が生じるかもしれないが、一般に広い海域を回遊している魚では無視できるレベルだとは思う」と話している。

 東電は「放射性物質を含んだ水が海水に漏れだしている可能性が高い。(1~3号機のタービン建屋地下で見つかった)水たまりから出ている可能性も否定できない」とし、海水の調査を1日1回から2回に増やす。

 福島第1原発では26日、1、2号機を中心に復旧作業が進められた。2号機では中央制御室の照明が点灯、原子炉に注入する水の真水への切り替えにも成功した。【小山由宇、日野行介、河内敏康】


毎日新聞 2011年3月27日 東京朝刊


広瀬隆はむかしむかしから、こういう事態が起きることを指摘してきた人である。ケーブルテレビでのみ、こういう見解が出ていることは、全く許しがたい事態である。
この方の見解は、説得力があると私は考える。

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「放射能被害を過小評価」 ロシアの科学者 福島原発を懸念
2011年3月27日 00:10

 旧ソ連で1986年に起きたチェルノブイリ原発事故について、人や環境に及ぼす影響を調べているロシアの科学者アレクセイ・ヤブロコフ博士が25日、ワシントンで記者会見し、福島第1原発事故の状況に強い懸念を示した。博士の発言要旨は次の通り。

 チェルノブイリ事故の放射性降下物は計約5千万キュリーだが、福島第1原発は今のところ私の知る限り約200万キュリーで格段に少ない。チェルノブイリは爆発とともに何日も核燃料が燃え続けたが、福島ではそういう事態はなく状況は明らかに違う。

 だが、福島第1はチェルノブイリより人口密集地に位置し、200キロの距離に人口3千万人の巨大首都圏がある。さらに、福島第1の3号機はプルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料を使ったプルサーマル発電だ。もしここからプルトニウムが大量に放出される事態となれば、極めて甚大な被害が生じる。除去は不可能で、人が住めない土地が生まれる。それを大変懸念している。

 チェルノブイリ事故の最終的な死者の推定について、国際原子力機関(IAEA)は「最大9千人」としているが、ばかげている。私の調査では100万人近くになり、放射能の影響は7世代に及ぶ。

 セシウムやプルトニウムなどは年に1-3センチずつ土壌に入り込み、食物の根がそれを吸い上げ、大気に再び放出する。例えば、チェルノブイリの影響を受けたスウェーデンのヘラジカから昨年、検出された放射性物質の量は20年前と同じレベルだった。そういう事実を知るべきだ。

 日本政府は、国民に対し放射能被害を過小評価している。「健康に直ちに影響はない」という言い方はおかしい。直ちにではないが、影響はあるということだからだ。

=2011/03/27付 西日本新聞朝刊=

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レベル6以上と海外専門家 スリーマイル超す事故(3/25 17:31)

 【ワシントン共同】福島第1原発事故で、経済産業省原子力安全・保安院は国際的な評価尺度で「レベル5」の事故とする暫定評価結果を発表した。だが、周辺への影響は同レベルの評価を受けた米スリーマイルアイランド原発事故を既に上回っており「最終的にレベル6以上になるのは確実」との見方が海外の専門家に広がっている。
 レベル5は、0から7までの8段階の尺度のうち上から3番目。「発電所外へのリスクを伴う事故」を意味する。
 スリーマイル事故では、半径80キロ圏内に住む人が受けた放射線量は平均10マイクロシーベルトとされ、一般人の年間被ばく限度、千マイクロシーベルトの100分の1。健康に与えた影響は小さかった。
 一方、福島では、周辺の水や食物などから国の基準を上回る放射性物質が検出されていることから、外部に漏れた量はスリーマイル事故を大きく上回るとみられる。事故後3~4日の間に放出されたセシウム137の量は、レベル7の評価を受けた旧ソ連チェルノブイリ原発事故後10日間の量の20~50%に相当するとの試算もある。
 このため、フランス原子力安全局のラコスト局長は「レベル6の事故であることは明らか」と強調。米シンクタンクの科学国際安全保障研究所(ISIS)はレベル7に達する可能性もあるとした。
 チェルノブイリ事故の人や環境への影響を調べたロシアの科学者アレクセイ・ヤブロコフ博士は「福島事故はチェルノブイリ以上に深刻な事故になる恐れがある」と指摘。その理由として、燃料がチェルノブイリよりも多いことや、毒性の強いプルトニウムを含んだ燃料を使った原子炉があることを挙げている。

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下の記事は日経新聞の「三つの可能性」という様式に従った解説記事である。ここでは可能性を以下の三つに分類している。

■可能性(1)消防ポンプ継続
■可能性(2)冷却機能が回復
■可能性(3)燃料棒溶け出す

しかし、これはおかしいのではないだろうか。というのも、消防ポンプによる循環だけでは、炉心の燃料棒を完全に水に浸すことはできないからである。圧力容器のなかの、熱くなった燃料棒に水をかけると、直ちに蒸発してしまう。すると、容器内の圧力は非常に高くなり、水を入れようとしても入らなくなる。それゆえ、どんなに頑張ろうとも、消防用ポンプでは、燃料棒のかなりの部分が露出する。露出すると、燃料棒は溶解する。それゆえ、

可能性(1)=可能性(3)

のはずである。

ところが、下の記事を読むと、消防ポンプで頑張っている限りは燃料棒が溶けず、それが止まると溶け出して大変なことになる、という印象を受ける。正確に言うなら、消防ポンプが止まると、燃料棒の全体が露出して、急激に溶ける、ということだと思う。それゆえ、三つの可能性とは、

■可能性(1)消防ポンプ継続=燃料棒の溶解が徐々に進む=その間、放射能汚染が広がり続ける
その1=幸運にも徐々に冷えて安定する。(1ヶ月以上掛かる)
その2=不運にも燃料棒の溶解によって圧力容器・格納容器が破損する
■可能性(2)冷却機能が回復=燃料棒の溶解が止まる
■可能性(3)燃料棒が急激に溶けて圧力容器・格納容器が破損する

ということになる。



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汚染水が状況好転阻む 福島原発、3つの可能性
2011/3/27 4:00 日経新聞

 東日本大震災で甚大な被害を受けた東京電力福島第1原子力発電所では、冷却に使っていた海水を真水に代え、外部電源の復旧作業も少しずつ進んでいる。ただ、タービン建屋内に放射性物質に汚染された水がたまるなど作業環境は過酷さを増しており、計画通りに作業できず関係者にはいらだちも募る。膠着状態は続くのか、打開のきっかけはつかめないのか。今後の展開を考える。

■可能性(1)消防ポンプ継続

 2号機で26日、原子炉冷却用の海水を真水に切り替え、25日から真水を注入している1、3号機と併せ、緊急停止した1~3号機すべてが本来の冷却の姿に近づいた。原子炉が備える多重の冷却系の稼働へわずかに前進したが、放射線量は依然として高い。これらの冷却系に電源を通じさせる作業は好転せず、燃料棒の過熱をかろうじて抑える現在の状況が当面、続きそうだ。

 冷却水を真水にした点は不安材料の一つをなくせる。海水だと蒸発後に塩が残り弁や配管に詰まったり電気配線をさび付かせて電気を通した際にショートを起こしたりする心配があった。出光一哉・九州大学教授は真水への切り替えは「海水による悪影響を抑える望ましい対策」と解説する。

 だが、ほかの作業が滞っている。外部電源を受ける体制は1~3号機で整い中央制御室の照明もついたが、その先へ電気を通す作業は進んでいない。特に冷却水を循環させるポンプの再稼働が遅れている。3号機のタービン建屋でその作業を進めようとした矢先に、たまった水から高い放射線量が検出され、除去する必要が生じた。

■可能性(2)冷却機能が回復

 排水作業はいつまでに終えられるのか見通しが立たない。しばらく消防ポンプで冷却するぎりぎりの状態が続きそうだ。

 期待される次の段階は、外部電源とつながった冷却用のポンプが復帰し、圧力容器内の温度を下げる体制が整うことだ。原子炉内の水は膨大な熱量をもつため、消防ポンプで水を送り込むだけでは簡単に冷えない。まず、強力な冷却系の回復を関係者は望んでいる。

 さらに外部電源が復活し様々な計器類が動作すれば、事態の好転に弾みがつく。一部の計器で炉の状況がつかめるだけでも大きい。「どこが壊れているのかを明確にできれば、次の戦略を立てる際にも有効」(出光九大教授)という。このためにも建屋内にたまった水の除去が不可欠だ。

■可能性(3)燃料棒溶け出す

 最も懸念される事態の可能性もまだ残る。燃料棒が溶けて放射性物質が外部に漏れ出すことだ。京都大学原子炉実験所の宇根崎博信教授は「消防ポンプの停止などのトラブルが起きれば圧力容器の温度が急に上がる恐れもある」と指摘する。その場合は格納容器の温度も高まり、水蒸気を逃がさなければならず、放射性物質を大気中に放出する事態を避けられない。

 厚い金属製の圧力容器は頑丈なので溶けた核燃料が外部に漏れる恐れは極めて低い。だが、これまで経験したことのない事故の連鎖で、厳しい局面を迎える可能性も否定できない。
私がもしも首相だったらどうしたか、について書いておこうと思う。後知恵と言われかねないが、事故が起きた直後から、私は同じことを考えていて、知り合いには話していた。

(1)福島瑞穂議員を「原子力事故担当大臣」とする。彼女は「原発事故が起きる起きる」と以前から騒いでいた人だからである。それに、こないだまで大臣をやっていたのだから、適任であろう。小沢議員を「原子力事故担当大臣補佐」に任命する。このくらい豪腕の人でないと、役に立たないであろうから。なぜ小沢氏を補佐にするかというと、福島氏を補佐にしたのでは、小沢氏は言う事を聞かないからである。それから、原発が津波でやられる、と予言していた吉井英勝衆議院議員を同じく補佐にする。

(2)原子力委員会、原子力安全委員会に、熊取六人組をはじめとする、「原発事故が起きる」と主張していた学者を入れて、原子力安全欺瞞言語を操る人々と半々にする。双方の議論を首相と原子力事故担当大臣・補佐が聞いて、意思決定する。

(3)日本全国の原子炉を停止させる。そんなことをしてどうするのかというと、作業員を調達したいのである。一人当たり250ミリシーベルトにしようが、500ミリシーベルトにしようが、作業員は恐らく、急速に払底するので、日本中から、原子炉に詳しいひとを掻き集める必要がある。

(4)原子炉OBを集める。老人は被曝しても影響が低いので、彼らを主役にする。

(5)福島原発の処理に当たる人には、1ミリシーベルト当たり、10万円くらいのボーナスを奮発する。100ミリシーベルトで1000万円もらえるなら、頑張るだろう。もちろん、東電持ちである。

(6)IAEAに直ちに救援を依頼して、世界中の原子炉技術者、作業員で、福島第一原発と同型の原子炉に精通した人々を日本に呼び集める。作業に必要な資材も持ってきてもらう。彼らは、1日、100万円くらいのボーナスを払う。もちろん、東電持ちである。

(7)アメリカからスリーマイル島の経験者を、ウクライナ・ロシアから、チェルノブイリの経験者を呼び集める。

(8)アメリカ、中国、ロシアから、原子炉の作業員を掻き集める。彼らにも、1ミリシーベルト10万円くらいの賃金を払う。もちろん、東電持ちである。

(9)福島第一原発から出てくる数値は、すべてリアルタイムでインターネット上に公開する。

(10)放射線などの状態から、炉心内部を推定することのできる物理学者を掻き集めて、常時解析させて、現場に伝える。おそらく、勝手にネット上でやってくれるのではないかと想像する。

(11)100キロ圏内から子供と妊婦と若者を移動させる。

(12)退職した老人を再雇用して勤務してもらって、都市機能を維持する。

こういうことを、事故初日からやって、なんとか事態を収拾できるかどうか、というレベルの話だと私は思っていたし、今も思っている。