チェルノブイリの1割というのは、想像を絶する値だ。しかもたった3日とか10日の話である。既に、極めて高濃度の放射性物質を含む水が膨大に発見されているので、放出量は更に増えているはずである。事態をまったく収拾できないでいるので、放出量はこれからも増え続けることであろう。

少なくとも、チェルノブイリと比較しうるほどの放射性物質が、落ち着くまでに放出されると見たほうが良いであろう。人類と地球とに対する、深刻な犯罪を我々は犯してしまった。そのことをしっかり認識する必要がある。もちろん、最大の被害者は、日本列島とその近海に住む、人間を含む生命の子供と胎児・卵である。

=============

放射性物質放出、チェルノブイリ1~2割の試算

福島原発
 ウィーンの気象地球力学中央研究所は、東日本巨大地震被災直後の3日間(12~14日)に、福島第一原子力発電所から大気中に放出された放射性ヨウ素は、チェルノブイリ原発事故の10日間で放出された量の約2割に相当するという試算結果を公表した。


 核実験全面禁止条約機構(CTBTO、本部=ウィーン)が、群馬県高崎市など世界各地に置いた監視拠点24か所で検知した放射性物質データをもとに分析した。

 一方、フランス放射線防護原子力安全研究所は、日本国内の観測データをもとに、12~22日に同原発から放出されたヨウ素やセシウムなどの量は、チェルノブイリ事故の放出量の1割との暫定値を公表している。同研究所の声明によると、試算は米原子力規制委員会や欧州の技術安全ネットワーク、フィンランドの原子力当局とも議論をしたうえで行われた。

(2011年3月28日14時42分 読売新聞)

==============

土壌汚染「チェルノブイリ強制移住」以上 京大助教試算

 東京電力福島第1原発の事故で、高濃度の放射性物質が土壌などから確認された福島県飯館村の汚染レベルが、チェルノブイリ原発事故による強制移住レベルを超えているとの試算を、京都大原子炉実験所の今中哲二助教(原子炉工学)がまとめた。

 飯館村は原発から北西約40キロ。今中助教は、原発の状況が分からず被災地各自の事情もあるとした上で「避難を考えた方がいいレベルの汚染。ヨウ素やセシウム以外の放射性物質も調べる必要がある」として、飯館村で土壌汚染を調査する方針だ。

 文部科学省の調査で20日に採取した土壌から放射性のヨウ素1キログラム当たり117万ベクレル、セシウム16万3千ベクレル、雑草からヨウ素254万ベクレル、セシウム265万ベクレルが確認された。土壌中のセシウムは通常の1600倍以上だった。

 今中助教は、土壌のセシウムで汚染の程度を評価した。汚染土を表面2センチの土と仮定すると1平方メートル当たり326万ベクレルで、1986年の旧ソ連チェルノブイリ原発事故で強制移住対象とした148万ベクレルの2倍超、90年にベラルーシが決めた移住対象レベルの55万5千ベクレルの約6倍だった。

 今中助教は「国は原発周辺の放射性物質を詳細に調べて分析し、ただちにデータを公開すべきだ」と話している。セシウムは半減期がヨウ素(8日)と比べ30年と長く、汚染の長期化が懸念されている。

【 2011年03月28日 15時52分 】
http://francemedia.over-blog.com/m/article-70296514.html

本家アメリカを除くと、日本と双璧の原発大国であるフランスのル・モンド紙の記事がネット上で翻訳されている。ここで指摘される「原子力ロビー」の情報統制にあっさり洗脳されるほど、愚かなことはない。

============
福島原発 「東電の罪」と「原子力ロビー」(仏ル・モンド紙報道)
3月26日 23時45分(日本時間27日7時45分)

 仏日刊紙ル・モンドは26、27日版紙面で福島原発の状況と東京電力に関する特集記事を掲載している。「日本人は原子力災害を意識し始めているものの、未だ事故の重大性には気づいていないようだ」と冒頭で同紙の東京特派員は語る。特派員によれば、「新聞、民放テレビ局、インターネットのブログなどで語られる原子力専門家の話を聞いていると、この一連の悲劇の背景に「原子力業界のロビー活動」が見え隠れしている」という。

日本の「原子力ロビー」

 この「原子力ロビー」には原子力事業を総括する経済産業省と同省の管轄である原子力安全・保安院、電力各社、電気事業連合会(電事連)、そして発電所を建設する東芝や日立といった産業界の大企業が関与し、「非常に大きな資産と影響力」を誇っているという。また、原子力関連の官庁からの天下り社員が送られることにより、完全な「情報統制」を行うだけでなく、出版やテレビ局を通じて大規模な広告キャンペーンを繰り広げ「原子力は100%安全である」という神話を築いて来た。さらに、現在の与党民主党は原子力エネルギー業界出身の組合員が多い労働組合「連合」を支持層にしているため、2009年の政権交代後もこの状況に変化はなかった。同紙は、「この行政、監督官庁、原発建設企業そして電力会社間の緊密な関係が原発反対派を黙殺し、さらに原子力に関するあらゆる疑問を回避してきた」と指摘。電力各社は「1970年代以降から度重なる原発事象を隠蔽、改ざんし続けて来た。当時最も批判が集中したのは東京電力である」と付け加える。

安全よりもコスト削減

 ル・モンド紙は未確認の情報とした上で、「電力各社は長期的な原発の安全性よりも短期の利益勘定を優先し、世界で最も地震と津波が多い日本国土の危険性を考慮していない」という東電元社員の証言を紹介。福島原発は1956年に発生したチリ地震をモデルにして5,5メートルまでの波にしか耐えられるように設計されていなかったたため、地震発生時原子炉は自動停止したものの、冷却システムは津波の影響で完全に機能を失ってしまった。東京新聞では福島原発の建設に関わった当時の東芝の技師が「設計時の耐震基準が低すぎた」と告白している。

 経済産業省は「この危機が落ち着いた段階で東京電力の処遇を決める」としているが、「それまでの間、一体何人の被害者が出るのだろうか?」と同紙は問う。

 「日本が直面しているのは自然災害ではなく、人的災害である」という東芝元社員の証言、「福島原発は異常事象と作業員の被曝が日本で最も多い発電所」という共産党吉井英勝議員の告発、さらに原発保全作業は下請会社の経験乏しい作業員が行い、今現在大災害の現場で戦っているのもその作業員達である事実も判明している。事故後の対応の遅さに加え、地震と津波が発生してから2日間、周辺住民への被害よりも設備の保全を優先させていた経緯も厳しい批判を受けて当然だ。実際、地震の際に福島原発に派遣されていたフランス原子力企業アレバ社の8名は危険性をすぐに察知して真っ先に退避している。

過信した大企業 東京電力

 今日3月26日は東京電力が福島原発1号機の操業を開始して丁度40周年を迎える。
原子力エネルギーに着手して40年目の今日、東京電力は重大な原子力災害を引き起こす直前の状態にまで追いつめられている。さらに、事故後の対応が批判に晒されているにも拘らず、ガス価格の値上げを理由に4月の電気料金を値上げすることを発表。事故発生から29時間後に行われた記者会見以降公式の場に姿を現さない清水正孝社長にも批判が集中している。
 東京電力は従業員3万8千人と(2009年度)売上げ5兆円と1337億円の純利益を誇る世界4位の大電力企業である。
「原子力安全・保安院と経産省を始めとする原子力推進ロビーに支えられ「奢り高ぶった」企業の体質が、原発内の事象や技術報告の隠蔽を生み出した温床ではないか」と同紙は問う。
 しかし今回の事故により東電グループは解体の危機にあり、同社の原子力計画も中止を余儀なくされるだろう。ましては2012年に予定されていた新規原子炉2機の工事着工などは夢の話だ。

参考記事
"Silences coupables", Le Monde, 26-27/03/2011
"La compagnie d'électricité Tepco, arrogante et dissimulatrice", Le Monde, 26-27/03/2011
「柏崎刈羽原発の閉鎖を訴える科学者・技術者の会」というものがある。

http://kkheisa.blog117.fc2.com/


そもそも私はこの会のことを知らず、更には、柏崎原発の事故が、これほどの重大なものであったということを、全く認識していなかった。不明を恥じざるを得ない。この事故を例によって隠蔽と強圧によって無視したことが、今回の悲劇を招いたのである。このことを日本国民は、はっきりと認識しなければならない。

同会が3月23日に福島原発事故についての見解を公表していた。重要なので読むべきだと思う。


http://kk-heisa.com/data/2011-03-23_kkkenkai.pdf
山口県立大学国際文化学部教員の安渓遊地(あんけい・ゆうじ)という方のHPに、原発に関する重要な情報が沢山出ているのを発見した。特に以下の記事は重要である。

http://ankei.jp/yuji/?n=1051

================
毎日新聞福島版から引用
 http://mainichi.jp/area/fukushima/news/20100618ddlk07040183000c.html

福島第1原発:2号機トラブル 原子炉水位が低下 11年半ぶり自動停止 /福島
 運転中の福島第1原発2号機(大熊町)が17日、発電機の故障で自動停止したトラブルは、原発を安全に停止するために必要な外部からの代替電力の供給が行えず、原子炉の水位が約2メートル低下する深刻な事態だった。東京電力は同日、県と原子力安全・保安院にトラブルを報告したが、復旧のめどは立っていない。

 東電によると、同日午後2時50分ごろ、タービン建屋内の主発電機を制御する「界磁遮断機」が故障し、発電機とタービンが停止。タービンを回す蒸気の発生を止めるため、原子炉も停止した。原子炉本体に問題はなく、放射能漏れなど外部への影響はないという。同原発の自動停止は98年11月の3号機以来、約11年半ぶりだった。

 原子炉が止まった場合、外部の送電線から発電所内の電力を供給するが、切り替え装置が機能せず、2号機全体が停電。このため、原子炉内に冷却水を給水するポンプが動かなくなった。十数分後に非常用のディーゼル発電機が起動し、代替ポンプで水位を回復させた。

 水位の低下は炉心の燃料棒を露出させ、原発にとって最も危険な空だき状態を引き起こす恐れがある。原子炉は停止しても、停止直後の燃料棒には熱が残っているため、重大な事故になる可能性がある。今回も水位の低下が止まらなければ、緊急炉心冷却装置が作動していた。【関雄輔】
================

この記事について安渓氏は次のようにコメントしている。

================
 ・発電機が止まった後、外部電源への切り替えに失敗したのはなぜか?
 ・非常用ディーゼル発電機の起動に時間がかかったのはなぜか?
 ・水位が2メートル下がったというが、正確に把握できているのか?
 ・緊急の炉心冷却は今回で3度目だが、炉の急冷による影響はどうなっているのか?
 ・隣の福島第一原発3号機をはじめ同型炉にも同じ問題があるのではないか?
 ・東電のプレスリリースでは事故の深刻さは伝わらないのではないか?県や国にはきちんと伝わっていたのか?

 福島第一原発のような沸騰水型原発では炉内の水位の把握が難しく、水位計の信頼性については前から議論がありました。緊急炉心冷却系の作動は設計では、生涯で3回以内だったように思います。もちろん、同型炉の3号機でのプルサーマル実施などもってのほかです!!!
================

二号機の圧力容器や格納容器が早々と壊れたのには、十分な理由があったのだ。
ロイターのHPを見たら、二年ほど前の東電の清水社長の記事がよく読まれていた。面白いので引用しておいた。

http://president.jp.reuters.com/article/2009/07/07/4DD780F0-6524-11DE-B9B8-AF183F99CD51.php


==========
嵐になれば現場にみんな駆けつける。パブリックユーティリティであるという点が会社のDNAです。その組織の原動力となる人材には高い倫理観や社会的使命感が求められます。
==========

もし東電が、本当に「高い倫理観や社会的使命感」を持っていれば、決してこんな事態を惹起しなかっただろう。現場にみんな駆けつけているようにも見えない。社長は本社で寝込んでいた。

ぜひ、今こそ、高い倫理観と社会的使命感を発揮して、現場にみんなで駆けつけて欲しい。東電のみならず、世界と人類の未来まで掛かっている。



=============
安定志向はノー。チェンジ、チャレンジ|東京電力社長

「いる社員、いらない社員」有名社長のわが本音

プレジデント 2009年3.16号
変革期には「3Cの精神」が大切。チェンジ、チャレンジ、そしてコミュニケーションです。

小山唯史=構成 的野弘路=撮影

発電のための燃料となる原油の価格は昨年前半に暴騰。2007年夏の地震以来、柏崎刈羽原発は停止したまま……厳しい状況のなか、昨年6月就任したのが清水正孝社長だ。従来のトップたちの経歴とは異なる異色ぶりが注目を浴びた。


写真を拡大
東京電力 清水正孝社長●1968年、東京電力入社。資材部長、常務、副社長を経て、2008年6月より社長。「組織が大きくなると、縦割りの弊害が出てくる。その際、組織を横断する『串刺し』の考え方が大事になります。人の交流や組織の運営で『串刺し』を徹底的に行えば、全体最適が生まれるのです」
――現在の経済状況をどう見ますか。御社の業績に与える影響は?

電力の需要という窓口から世の中を見てみますと、昨年12月は異常なほどの落ち込みです。産業用大口電力の需要は、日本の全電力会社の合計で対前年比10%以上も減っています。とくに鉄鋼や機械の落ち込みが顕著です。

過去にも減少期は第一次石油危機、第二次石油危機、円高不況、バブル崩壊、金融危機とありましたが、減少から回復まで12~18カ月かかっています。その経験則に当てはめれば、現在の状況は最低1年は続くと思わざるをえません。

しかも、今回の落ち込みは、過去の減少期に比べ異常なほど大幅です。「100年に一度」という表現が、あながち誇張とは言えないほど。当社の業績を左右する最大の要因は電力の需要動向なので、非常に厳しいです。一方、原油価格は昨年秋口から下落に転じましたが、燃料代の上下は、長期的に見れば業績への影響はニュートラルです。タイムラグはあっても電力料金に反映されるからです。

――こういう時期に、経営者やビジネスパーソンにとって大切な心構えや資質は何だとお考えですか?

私は以前から「看脚下」という禅の言葉が好きで、社員にも折に触れ話してきました。暗闇でも足元をしっかり見ろ、ジタバタするな、原点を見失うなというほどの意味です。この言葉を今こそ噛みしめたい。社員たちにも、そうあってほしいと思っています。

――社長自身、出向も経験され、人材としては異色だと評されてきました。

40代でケーブルTV会社に出向し、大変なカルチャーショックを受けました。外に出てみて初めて東京電力がいかに「お役所」かということに気づいたのです。前例主義、たらい回し。コスト感覚も、メーカーから出向してきたほかの同僚とは全く違う。これまでのやり方は通用せず、ちょっと慌てましたね。

そのときにも、前述の禅の言葉を思い返して、「いや、仕事の表面上のやり方や職場の体質は違っても、仕事の基本は変わらないはずだ。今自分がすべきことは何か」と自分に言い聞かせました。ジタバタしそうなときほど足元をしっかり固めることが大切だと痛感しました。

変革期に必要な「3Cの精神」とは

――かつては役所的な体質だったとのことですが、現在の東京電力が求める人材像はどんなものですか?

00年に電力の自由化が行われたため、これが最大のインパクトとなって、求める人材像が変わってきました。

自由化とは、当社にとって、規制産業だったものが市場のメカニズムによって競争するようになるということです。そのため仕事を徹底的に見直す必要がありました。自由化に向かう時期、私は資材部長として発電所施設の部品・部材の一品一品の価格や調達方法まで徹底的に調べる方向に舵を切り、コスト削減を図りました。それまでは必要なコストを積み上げてから利潤を上乗せして料金設定していたので、コスト削減といっても従来とは内容が全然違います。

現在では、こういった自由化・市場化の時代に向けた人材が求められるようになっています。

ただ、企業像を考えた場合、うちは公益事業であることが最上位にきます。電力の安定供給。嵐になれば現場にみんな駆けつける。パブリックユーティリティであるという点が会社のDNAです。その組織の原動力となる人材には高い倫理観や社会的使命感が求められます。

そのうえで、自由化が求めるエクセレントカンパニーであるためにチャレンジングな精神も欠かせない。これらを兼ね備えた人材の揃うエキサイティングカンパニーでありたいと考えています。

とくに変革期には「3Cの精神」が大切。チェンジ、チャレンジ、そして、臨戦態勢になるほど重要性が増すコミュニケーションです。社内研修でも一つの柱として「変革リーダー研修」というものを階層別に行っています。従来の延長線上にこだわらず、物事を変えていく変革型リーダーの養成です。

――自由化の「前」と「後」とでは、入社する側の意識も変わっていますか?

明らかに違いますね。昔は「東京電力に入りたい」という安定志向が強かったのは否めません。現在は、「東京電力に入って、こういう仕事をしたい」と職種に対する意識が明確です。燃料調達など「商社的に国際舞台で活躍したい」とか「自分の専門の法務の仕事を」など答えが具体的です。昔は「何をやりたいの?」と聞くと、「まあ企画あたりを」などと漠然としていましたからね。

――自由化以降、人材確保で力を入れている分野はありますか?

さまざまな分野において、プロやベテランを通年採用(中途採用)の形でかなりの人数を獲得しています。たとえば、販売分野では現在、IHやヒートポンプなど提案営業を重視していますので、各種業界の営業経験者やゼネコン出身、コンピュータ関係者など幅広い世界から。ダイバーシティ推進室長には外資系化粧品会社からプロを招いたり、PR施設には飲料会社から転職した女性、あるいは料金不払いの世帯に対する債権回収のプロ等々も採用しています。

現業技術の部門でも金属絶縁の分野で学会レベルの人材も多数いれば、土木や建築技術にも女性が進出しています。

――今回の景気悪化による人材像や採用数の変化はありますか?

当社の採用のトレンドを申し上げますと、「失われた10年」と呼ばれた1992~2003年の長期不況期に、最高の人数を採用しています。減らしたのはむしろ回復期に入ってから。

つまり、不況を理由に採用数や人材像は変えてはいません。変化の最大の要因は前述のとおり事業環境の変化、すなわち自由化です。

今回の不況期も、製造業などは採用減の方向なのでしょうが、当社は逆です。今後の事業展開、成長戦略、環境問題対策を考えたとき、人材確保の必要性は高まっています。原子力分野や海外展開(コンサルティング事業や案件投資)などのための要員増が見込まれます。
頭がクラクラするニュースが立て続けに出ている。

現状を整理すると、

(1)圧力容器に穴があいており、
(2)そのために水がたまらないで炉心が半分むき出しの状態で、
(3)格納容器も完全にはとじておらず、
(4)高濃度の放射能をもつ水があふれてはタービン室に膨大に溜まっており、
(5)その上、その水は周辺の溝にも溢れている。
(6)多分、海にも流れ出している。

という事態である。これはもう大変なことだと私は考える。一刻も早く、石棺か何かしらないけれど、何らかの方法で外部への放射性物質の漏出を防ぐ大規模な対策をとるべきである。このままチンタラやっていたら、とてつもない規模の放射能汚染が生じ、全員、撤退になってしまいかねない。

=========
福島原発、建屋外の水たまり 高い放射線量
2号機地下通路、1000ミリシーベルト以上
2011/3/28 17:58 (2011/3/28 18:39更新) 日経新聞

 東京電力は28日、福島第1原子力発電所1~3号機のタービン建屋の外に水たまりがあり、2号機付近で表面から毎時1000ミリシーベルト以上の放射線を確認したと発表した。

 水たまりはタービン建屋とつながる地下通路にあり、放射線管理区域の外側。放射線量は1号機付近では同0.4ミリシーベルト。3号機はがれきなどがあり、測定出来なかったという。

 東電によると、水たまりが見つかったのは27日午後3時半ごろで、同日中に放射線量を測定した。目視では水位の変化は確認できないという。水たまりが出来た経緯などは調査中としている。

 地下通路は各号機の冷却用にくみ上げた海水を送る配管が敷設され、人間も通れる。タービン建屋から地下を通って海側出入り口につながる構造で、両端は立て坑。通路の長さは1号機が162メートル、2号機が76メートル、3号機が74メートル。深さはそれぞれ1号機が16.1メートル、2号機が15.9メートル、3号機が25.7メートル。

 放射線量は海側出入り口に近い通路で測定した数値という。

 福島第1原発を巡っては、26日の調査で、2号機タービン建屋地下のたまり水からも毎時1000ミリシーベルト以上の放射線量を測定している。
とんでもなく恐ろしい知らせだと私は思うが、なぜか東電は平気な様子である。信じられない。燃料棒を閉じ込めている圧力容器に穴が開いているなら、もう半ば露出しているようなものである。しかも、下の方に空いていれば、水を入れるとどんどん溢れて、汚染された水が出てくる。それがタービン室の下や周辺の溝に溜まっているようである。

穴が開いている理由は二つ挙げられている。ひとつは、

===========
底部には、計測装置などを外部から差し込む貫通部などがある。その周辺から漏れている可能性が考えられる。
===========

である。もうひとつは、

===========
東電は、水面から露出した核燃料が過熱して損傷した可能性を認めている。専門家によると、核燃料を束ねた燃料棒が損傷して崩れ、圧力容器下部に落下してかたまりになると、表面積が小さくなって効率よく水で冷やせなくなる。極めて高温になった燃料が圧力容器の壁を溶かして穴を開けた可能性もある。
===========

これはいわゆるひとつのメルトダウンというやつである。

圧力容器に穴が空いていれば、冷却装置を作動させても、水が漏れるので、きちんと冷やすことはできない。圧力容器の穴を塞ぎに行くような、危険な作業は決してできないだろう。

極めて危機的な状態にあると言わざるを得ない。どこをどう考えたら「健全性は維持」などと言えるのか、私には理解できない。



=============
東電、核燃料の圧力容器損傷に言及「健全性は維持」
2011年3月28日15時0分  朝日新聞

燃料棒とペレット、たまり水の場所
 東日本大震災で被害を受けた福島第一原発1~3号機について、東京電力は28日未明の会見で、核燃料を入れた鋼鉄製の圧力容器が損傷して容器の外と通じた状態になっている可能性を認めた。東電は「穴が開いているイメージ」と説明。燃料を冷却するために注がれた水に放射性物質が溶け込み、外部に漏れ続けているとみられる。

 1~3号機は津波で非常用の電源が失われ、圧力容器内の水を循環させて冷やすシステムを動かせなくなった。このため圧力容器につながる配管にポンプを接続し、水を注入する作業が続いている。核燃料を水没させ、発電停止後も出続ける崩壊熱を直接、冷やすのが狙いだ。

 しかし1~3号機いずれでも、圧力容器の水位計の数値は思うように上がっていない。東電は28日未明の会見で、注水しても圧力容器が満杯にならない原因を、「(圧力容器の)下の方に穴が開いているイメージだ」と認めた。穴が開いた理由は「わからない」という。

 圧力容器は燃料ペレット、燃料被覆管、格納容器、原子炉建屋と合わせた5重の放射能閉じ込め機能の中で、最も重要な位置づけだ。福島第一原発の圧力容器は厚さ16センチの鋼鉄でできており、底部には、計測装置などを外部から差し込む貫通部などがある。その周辺から漏れている可能性が考えられる。

 東電は、水面から露出した核燃料が過熱して損傷した可能性を認めている。専門家によると、核燃料を束ねた燃料棒が損傷して崩れ、圧力容器下部に落下してかたまりになると、表面積が小さくなって効率よく水で冷やせなくなる。極めて高温になった燃料が圧力容器の壁を溶かして穴を開けた可能性もある。

 東電は一方で、内部の圧力が大気圧より高く保てているため「(圧力容器は)完全に壊れているわけではない」とも説明。「チェルノブイリのように破裂して(燃料が)外に出ている状態ではない」とし、容器の「健全性」は保たれている、という見解は変えていない。

 この状態で注水を続けた場合、放射能を高濃度に含む水の外部流出が長引く可能性があるが、東電は、核燃料を冷やすには注水しかないとの立場だ。汚染水を外部に流すのではなく、本来の循環による冷却システムを再起動させる作業も進んでいるが、電源の確保などで難航している。

 一方、原子力安全委員会(班目春樹委員長)は28日午前、臨時会を開き、2号機のタービン建屋地下1階にたまっている通常の10万倍の濃度の放射能を含む水について、一時溶融した燃料と接触した格納容器内の水が、何らかの経路で直接流入したと推定されると発表した。

 ただ、屋外では極端に高い量の放射線は計測されていないとし、今後も水の漏出が続くとしても、炉心に注水し、蒸気を放出して冷却するという現在の冷却方法は継続可能と結論づけた。
天野事務局長の、

「福島第1原発の原子炉の炉心と使用済み核燃料棒が冷却のための水に浸っているかどうか、当局がまだ確認できていない」

という発言は重要である。これが出来ていなければ、燃料棒がむき出しになっていることを意味するからである。

=============
福島第1原発事故、終息には程遠い状況=IAEA事務局長
2011年 03月 28日 09:07 JST

 [ニューヨーク 26日 ロイター] 米ニューヨーク・タイムズ(NYT)紙によると、国際原子力機関(IAEA)の天野之弥事務局長は、東日本大震災で被災した東京電力福島第1原子力発電所について「事故の解決には依然程遠い」状況との認識を示した。NYTの電話インタビューで明らかにした。原発の危険な状況があと数週間は続く可能性を示した。

 天野事務局長は、NYTに対し、福島第1原発の原子炉の炉心と使用済み核燃料棒が冷却のための水に浸っているかどうか、当局がまだ確認できていないと述べた。

 電力系統が一部回復したことを数少ない「前向きな兆候」と評価したうえで「事故終息に向けさらなる努力が必要」と指摘。ただ、日本の対応を批判しているわけではない、と述べた。

 天野事務局長は、冷却用プールにある使用済み核燃料棒の状況を最大の懸念要因に挙げ、プールへの給水作業の効果は分からないとしている。

 プールに十分な水があっても、冷却システムが復旧しなければ「温度が上がり」、新たな放射線漏れの恐れがあると指摘した。
未だに、「原発事故なんか、たいしたことはない」とお考えの方が多いのに驚きます。そういう人に説明する必要を感じたので、以下にまとめておきました。

私が事態を憂慮している理由は、以下の三点です。

================
(1)放射能が健康に与える被害は、放射性物質が拡散しても変わらない。
(2)燃料棒は冷却し続けない限り、暴走する。
(3)現在対応している人々は、正常な言語を用いていない。
================

この三点から、私は非常に恐ろしい事態が生じると恐れています。

(1) 第一点は放射能の健康に与える被害に関してです。

(1-1)放射性物質が人に与える被害は、拡散しても変わらない、と考えるべきなのです。

http://ameblo.jp/anmintei/entry-10831487863.html

で詳しく説明しましたが、放射線から病気になるのは、放射線が遺伝子に当たってそこを壊してしまうからです。これには「安全な下限」というものはありません。たとえば、次の3つの場合を考えてみましょう。

===========
(1)1人に1シーベルトの放射線が当たった場合
(2)1000人に1ミリシーベルトの放射線が当たった場合
(3)百万人に1マイクロシーベルトの放射線が当たった場合
===========

当たり前のことですが、いずれの場合も、破壊される遺伝子の数は同じです。遺伝子を破壊された細胞が大人しく死んでくれれば問題ないのですが、細胞は遺伝子を無理にでも修復して生き延びようとします。運が悪いと細胞が変な修復をしてしまい、それが癌細胞になります。ですから、破壊された遺伝子から癌死などが生じる確率もだいたい同じです。つまり放射能が拡散して薄まっても、被害の確率が下がるだけで、被害の総数は変わらないのです。少なくとも、遺伝子に対する被害は厳密に同等です。

この場合、どんなに一人当たりの放射線被曝量が少なくとも、人数が多くなれば被害は生じます。それゆえ人間が放射線の悪影響を防ごうと考えて行動する場合、

「ある程度以下なら安全と考えてはならない」

というのが科学的に合理的な行動基準です。実際、ICRP(国際放射線防護委員会)の2007年の勧告も、この立場を維持しています。詳細は、

http://ameblo.jp/anmintei/entry-10832471175.html

を御覧ください。これは保守的な基準ですが、放射能の長期的影響がわからない以上、この基準で判断するのが合理的なのです。

(1-2)この基準を採用すると、原発から離れて放射性物質の濃度が下がっても、全然、安心できません。なぜなら、拡散して濃度が下がっても、ただ広がるだけですから、被害に合う人の数が増えてしまうからです。宝くじ一枚一枚の確率が下がっても、発行枚数が増えたら、当たりの金額が同じなのとまったく同じ原理で、放射性物質は拡散しても、まったく安全にならないのです。誰が当たったかが、わからなくなるだけです。首都圏に薄い放射性物質が広がると、三千万人が宝くじを買わされるので、被害は拡大します。また、子供の宝くじは当たり率が大人よりも遥かに高いのです。

「健康に影響はない水準です」

というのは、

「健康に影響が出てもバレない水準です」

の意味です。

(1-3)これは、生態系についても同じことが適用されます。たとえば、海に落ちた放射能で汚染された水は、拡散してもダメなのです。

(1-4)被曝には、外部被曝と内部被曝とがあります。身体の外にある放射性物質から出てくる放射線を浴びるのが外部被曝で、この場合は離れれば良いのです。しかし、身体の内部に放射性物質を取り込んでしまった場合、逃げようがありません。身体は至近距離から放射線を浴び続けます。

(1-5)公衆の健康に関する問題は、内部被曝が問題です。ごくわずかの放射性物質を、鼻や口や傷口から取り込むだけで、長期にわたって放射線を浴び続けてしまうことになれば、長期的には身体に悪影響があります。

(1-6)自然に存在する放射性物質からも、我々は外部被曝や内部被曝を受けており、健康に悪影響を生じています。それ以外の人工放射性物質から余計な放射線を浴びるのは、たとえ微量でも、余計な死の宝くじを買わされることになります。


(2)第二は、燃料棒の状態です。

(2-1)原子炉の炉心は、運転時の1%くらいの発熱を何年も何十年も継続します。福島第一発電所には、3機の原子炉が使っていた核燃料(千本以上)のほか、6機の原子炉が溜め込んだ、一万本の使用済み核燃料があります。100万キロワットの原発は、効率が悪くて三割しか電気になりませんので、300万キロワット相当の熱量を出します。稼働中の三つの原子炉の合計で600万キロワットの熱量を、千本程度の燃料棒で出していました。その1%は6万キロワットで、一本あたり、ざっと60キロワットくらいあるわけです。ということは、60キロワット×1万本=60万キロワットというオーダーになります。計算はいい加減ですが、だいたいの桁数としてはあっているはずです。

こんなすさまじいものを、マッチポンプでいつまでも冷やし続けるのは無理です。使用済みといっても、未使用のウランや生成されたプルトニウムがたっぷり入っているので、持っているエネルギーはさほど変わりません。

(2-2)ですから、冷却系を回復しない限りは、原発は落ち着きません。しかし、原子炉のような複雑なシステムが、地震と津波と水素爆発でやられたのでは、どう考えても復旧は困難です。

(2-3)その上、タービン室周辺は高濃度の放射性物質を含む水で汚染されてしまい、人が近づけないので、ポンプなどの修理も困難です。

(2-4)以上のことから、いずれかひとつの原子炉あるいは使用済燃料プールが、再臨界などの事態になる可能性は排除できません。そうなると、放射能濃度が急激に上昇するため、すべての原子炉に接近できなくなります。できなくなったら、すべての燃料棒・使用済み燃料棒が加熱して暴走します。

(2-5)菅首相が25日の会見で「悪化を防ぐという形で対応しているが、予断を許す状況にはなっていない」と言いましたが、これは、そういう事態が起きないと保証できない状態だ、という意味だと私は解釈しました。


(3) 第三に、原子力安全欺瞞言語を恐れるからです。これは、テレビをご覧になっていただければわかりますが、みんな、きわめて欺瞞的な言葉を使います。

(3-1)彼らは、

「事故」を「事象」と言います。
「爆発」を「爆発的事象」と言います。
「危険性」を「安全性」と言います。
「健康に被害があっても原発のせいだとバレません」を「健康に影響はありません」と言います。

こういう欺瞞的な言葉を使っていると、頭の作動が狂ってきて、マトモな思考ができなくなります。原子力関係者はほぼ全員、この異常な言語で思考するので、あたまが作動しなくなっていると私は考えます。みんなウソツキであると言わざるを得ないのですが、ウソツキにこんな深刻な事態を収拾できるとは思えません。

(3-2)なぜ彼らがウソツキになったかというと、原子力の利用が正気の沙汰ではなないからです。使用済み核燃料のなかに含まれるプルトニウムは、極微量で人を殺す危険な物質ですが、その半減期は2万6千年です。数万年にわたって強い毒性を持つ物質を創りだして、それを「安全に管理」するのは不可能です。古くなった原子炉を廃炉にしようとしても、原子炉も格納容器もパイプも、放射線を浴び続けて放射性物質となっていますから、処理をしようにも容易に近づけません。こんなものを作り出しながら、電気を取り出して、それで楽しく暮らす、というのは正気の沙汰ではありません。それを、「原子力は今後も、安定的かつクリーンなエネルギー源」(国際原子力機関(IAEA)の天野之弥事務局長)などと言わないと、原子力は使えません。それゆえ、原子力は存在そのものが、ウソツキを産み出してしまうのです。

(3-3)事故が起こったときには、こういうウソツキに対応してもらうしかありません。それはとんでもなく恐ろしいことです。