関西は実は、首都圏よりはるかに危険である。すぐ近くの若狭湾に原発群があるからである。若狭湾沿岸には、

敦賀発電所に2基、
美浜発電所に3基、
大飯発電所に4基、
高浜発電所に4基、
もんじゅ 1基、

計14機の原子力発電所が集中している。もんじゅは高速増殖炉という極めて危険な原発で、現在、危機的状況が続いている。

琵琶湖はすぐ近くであるから、少しでも放射能が出てしまえば、近畿圏は飲み水が無くなる。飲み水と電気とを引き換えにするというのは、クルクルパーだと私は思う。


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避難者も「原発No」 大阪・ミナミでデモ

http://www.asahi.com/special/10005/OSK201105080025.html 朝日新聞

「原発いらない」と声を上げながら御堂筋を行進する市民=7日午後4時22分、大阪市中央区、丸山写す
 福島第一原発の事故を受け、市民約千人が7日午後、脱原発を訴えて大阪・ミナミの繁華街をデモ行進した。放射能汚染の心配から、東北・関東地方から関西へ避難してきた家族らも参加した。

 原発事故後、福島市から大阪府高槻市に引っ越した加藤裕子さん(49)は長女の裕美さん(10)と参加。事故前は原発には全く関心がなかったが、「立地県で被害にあった者としてできることをしたい」と参加した。裕美さんは「原発のないニッポンを」と書かれた風船を持って歩いた。

 裕美さんが通っていた小学校では授業再開後も学校の指導で校庭では遊べず、「ここで子育てするのは不安だ」と思った加藤さんが仕事の契約更新を断り、避難を決めた。「原発を無くした後の代替案は私自身はまだ考えられていない。でも、まずは問題点を知ることから始めたい」と話した。

 夫を川崎市に残し、大阪市に移った森山里沙さん(34)も長女の空音(そらね)ちゃん(4)と歩いた。「事故で人生を狂わされたという怒りがある。安全が一番大事。自然エネルギーなども選べる世の中になって欲しい」と話した。

 デモは、東京都在住の男性会社員(28)らが呼びかけた。関東と関西で事故への関心に温度差があると感じるという。「敦賀原発の電力を使っている関西からも声を上げ、すべての原発を止めねばならない、という社会の流れを作っていきたい」と語った。(丸山ひかり)
子どもに対する基準の不当性を神戸大学の山内知也教授が文部科学省と原子力安全委員会に申し入れしておられた。

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http://www.inaco.co.jp/isaac/shiryo/hiroshima_nagasaki/fukushima/yamauchi_20110421.html

2011年4月21日
児童・生徒の被ばく限度についての
申 入 書
文部科学省学校健康教育科 電話 03-6734-2695/FAX03-6734-3794
原子力安全委員会事務局  電話 03-3581-9948/FAX03-3581-9837

山内知也 神戸大学大学院海事科学研究科 教授

 大学で放射線を教授している者として申し入れます。

 福島第一原発事故への対応に関して、福島県内の児童と生徒の被ばく限度を年間20ミリシーベルトにされておりますが、子供が浴びる線量としては不当に高いものです。撤回して年1ミリシーベルトの基準を児童と生徒には適用してください。

 既に半減期が30年であるセシウム-137が全体の被ばく線量を支配する段階にはいっており、これからは被ばく線量は数年の単位ではほとんど低下しなくなります。したがって年20ミリシーベルト相当の被ばくが何年も継続することになります。

 ICRP(国際放射線防護委員会)が過去にまとめた報告類でも(ICRP-publiction36)、生徒の被ばくを禁じており、18歳未満の生徒については放射線を使った実験を意図的に行う場合でも年間の被ばく限度を公衆の被ばく限度の10分の1にするように勧告しています。
 
 それは子供の放射線感受性が大人よりも高く、被ばくの影響が出る期間も長いからです。

 ICRPが3月21日に公表した見解(ICRP ref: 487-5603-4313)でも『放射線源が制御下におかれた時には汚染された地域が残るだろう。その地域を捨てるのではなくて、そこに住み続けることを人々に許可するために必要となるあらゆる防護手段を提供することが場合によっては出てくるだろう。この場合について委員会は、参考レベルとして、長期的な目標としての参考レベルは一年あたり1 mSvに低減させるとしながらも、年間1mSvから20mSvの範囲の中から選択することを勧告する』。(ICRP 2009b 48から50節)。

“When the radiation source is under control contaminated areas may remain. Authorities will often implement all necessary protective measures to allow people to continue to live there rather than abandoning these areas. In this case the Commission continues to recommend choosing reference levels in the band of 1 to 20 mSv per year, with the long-term goal of reducing reference levels to 1 mSv per year (ICRP 2009b, paragraphs 48-50).”
とあります。

 子供の被ばく限度を20ミリシーベルトでよいとはしていません。ここではあくまで1ミリシーベルトを目標としています。1から20までの範囲であれば、子供に対しては1ミリシーベルトを選択すべきです。早急に見直して下さい。

 このままでは疫学調査に出てくるような実際の被害が福島の子どもたちの間に生じます。
以上
中部電力が取締役会をたった一時間半で切り上げて、継続審議にしてしまった。どういう神経をしているのだろうか。これに対してスズキの会長兼社長が、首相の決断に賛同した。大きな発言だと思う。

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浜岡原発:停止要請「正しかったのではないか」スズキ会長

 浜松市南区の自動車大手スズキの鈴木修会長兼社長は7日、浜岡原発の運転停止要請について「国の最高決定権者として正しかったのではないか。自分がもしそういう立場だったら、同じようなことをしたと思う」と述べ、菅直人首相の決定を支持した。一方で「国民に生活の様式をもっと質素なものに変えてくださいと強く要望すべきだったと思う」と注文を付けた。

 また、運転停止による操業への影響は「仮定の問題には答えられない。大きな問題にならないよう、みんなが協力し合う生活をやっていくことだ」と語った。【沢田均】
東大話法の事例研究の題材として、池田信夫氏の原発論議は最適の事例である。また、題材が提供されたので、考察する。

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2011年05月06日 22:19
浜岡原発の「停止要請」は非科学的だ

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菅首相は突然、記者会見で中部電力の浜岡原発の運転停止を要請した。その理由は

これから30年以内にマグニチュード8程度の想定の東海地震が発生する可能性は87%と極めて切迫しています。こうした浜岡原子力発電所の置かれた特別な状況を考慮するならば、想定される東海地震に十分対応できるよう防潮堤の設置など中長期の対策を確実に実施することが大切です。

ということだが、この理由は非科学的である。
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「非科学的」と大きく出ている。東大話法の話者がこういうレッテル貼りを他人にするときは、大抵、言っている本人の議論がそのレッテル通りである場合が多い。それゆえ、池田氏が「非科学的」というレッテル貼りをしている以上、池田氏本人がこれから非科学的なことを自信満々で言うのではないか、と疑うべきである。

【東大話法規則】★他人に「非科学的」とレッテル貼りして、非科学的な議論をする。
【東大話法規則】★自信満々で矛盾したことを言う。


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今までに判明している福島第一原発の事故の経緯は、次のようなものだ:
1 地震によって原子炉は緊急停止し、核燃料の連鎖反応は止まった
2 受電鉄塔が倒壊して外部電源が供給できず、ECCSが作動しなかった
3 予備電源が津波で浸水して給水ポンプが作動しなかった
4 原子炉(GE製)の電圧が440Vで、電源車と合わなかった
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これを「科学的根拠」とするのは無理がある。これは、現時点で東電と政府の語っているストーリーに過ぎない。たとえば、本当に連鎖反応が止まったのかどうか、多分そうだが、本当のところはまだわからない。「科学的」事実かどうかは確定していない。

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浜岡が危険だといわれたのは、東海地震の震源の真上にあって、原子炉が地震で破壊される(あるいは制御できなくなって暴走する)のではないかということだったが、これについては東海地震で想定されているよりはるかに大きな今回の地震で、福島第一の原子炉は無事に止まった。浜岡も国の安全審査では、東海地震に耐えられる(これは首相も問題にしていない)。
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今回の地震は広範囲なのでエネルギーの総計が巨大であり、モーメントマグニチュードが9.0 となった。しかし、各地の震度はそれほどでもなかった。なぜかというと、震源域が沖合で陸地から遠かったからである。

マグニチュードと震度とは違う

というのは、小学生でも知っているような話である。それゆえ、地震のエネルギーが大きかったからといって、福島原発の受けた地震動が最大だった、ということにはならない。

実際、下の読売新聞の記事にあるように、福島第一原発の受けた加速度は完全に「想定内」であった。地震の衝撃は柏崎刈羽原発が受けたほうが遥かに大きかったのである。

これに対して、東海地震で想定される8M は、原発の下に入り込んでいるプレートそのものが動く、という直下型であり、浜岡原発に対して実際に生じる加速度は、柏崎刈羽を遥かにしのぐ可能性がある。だから多くの人が、浜岡原発は廃炉にすべきだ、と言っているのである。

更に、池田氏は、「浜岡も国の安全審査では、東海地震に耐えられる(これは首相も問題にしていない)」と、いきなり、国の審査や首相の発言に話をすり替える。「非科学的」かどうか、が問題だったのではなかろうか。私は、国の審査は非科学的であるので、この際、関係ないと考える。

以上から、このパラグラフの池田氏の議論は、まさしく「非科学的」だと結論しうる。

【東大話法規則】★科学的かどうか検証する、と言って、科学と関係ないことを言う。


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問題は、予備電源が津波で浸水したことである。これについては、浜岡には12mの砂丘があり、予備電源と給水ポンプを原子炉建屋の2階屋上(海抜15~30m)に移設する工事がすでに行なわれたので、防潮堤は必要ない。かりに予備電源がすべて地震で破壊されたとしても、浜岡の原子炉は東芝/日立製なので、予備の電源車が使える(構内にも電源車がある)。つまり3と4は福島第一に固有の欠陥であり、浜岡には当てはまらないのだ。
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私は浜岡原発は廃炉にすべきだと考えるので、防潮堤が必要ない、というのには賛成だ。しかし、津波の被害は別に予備電源と給水ポンプだけではない。いろいろな機材が根こそぎ持って行かれている。もしかしたらそれだけで大事故が起きたのかもしれない。事故の「科学的」検証は何も済んでいないのであるから、このように断言するのは「非科学的」である。


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福島第一事故は、最悪の条件で何が起こるかについての「実験」だった。何も知らない外国政府が漠然と「原発は危ない」と考えて運転を止めるのはしょうがないが、日本政府は因果関係を詳細に知ることができるのだから、事故の原因は予備電源を浸水しやすいタービン建屋の中に置いたという単純な設計ミスだったことがわかるはずだ。
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(1)既に述べたように、地震については「最悪」ではない。他の諸条件も、「最悪」かどうかはわからない。
(2)東電も日本政府も、因果関係を詳細に知ってはいない。それがわかるのは何十年か先だ。
(3)だれも知らない本当の科学的因果関係を知るはずもない池田氏が、「単純な設計ミスだったことがわかるはずだ。」と断言するのは、あまりにも非科学的である。
(4)「単純なミス」でとんでもないことが起きるのが、原発の問題点だ、ということが繰り返し指摘されてきた。池田氏の主張に従えば、「単純な設計ミス」でこんな事故が起きることが立証された、ということになる。

この論法は結局のところ、自分の結論に持っていくために都合の良い話をつなげている、ということである。

【東大話法規則】★自分の持って行きたい結論に向けて、都合の良い話を集める。


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福島第一の場合も原子炉建屋の屋上に移設しておけば、福島第二と同じように冷温停止になったはずだ(工費は数百万円だろう)。事故原因は特定されているのだから、それを無視してなんとなく「津波対策をするまで危ない」と考えるのは論理的に間違っている。中部電力は法的根拠のない「要請」を拒否し、保安院の説明を求めるべきだ。
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「事故原因は特定されているのだから」というのは、池田氏が勝手に思っていることであって、何ら、科学的検証を経ていない現在、如何なる事故原因に関する推論も、確実とは言えない。

「それを無視して」というのは、「私が勝手に思っていることを無視して」という意味である。これは東大で非常によくお目に掛かるご意見である。ある教授は、教授会を勝手に休んでおいて、その間に大事なことが決まると、「オープンに議論がなされていない!!」と切れていた。彼が言いたかったのは、

「私が勝手に思っているを無視するとは何事か!!」

ということだったのだ。

「『津波対策をするまで危ない』と考えるのは論理的に間違っている」

と、「論理的に間違っている」という言葉が出てきたが、以上の議論から、池田氏の議論も「論理的に間違っている」ことが明らかである。これも「レッテル貼り攻撃」である。

【東大話法規則】自分の都合が通らないと、「非民主的」「非科学的」「閉鎖的」などと攻撃する。
【東大話法規則】★論理的に間違った議論によって、他人を「論理的に間違っている」と攻撃する。


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津波は想定以上、揺れは想定内…福島原発

福島原発
 東日本巨大地震で被災した東京電力福島第一原子力発電所で記録した揺れの最大加速度が、経済産業省原子力安全・保安院が同原発の耐震安全の基準値として認めた数値の4分の3に過ぎない448ガルだったことが18日、わかった。


 地震の揺れは想定内だったが、高さ6メートル以上とみられる想定外の津波が、原発の安全の根幹に関わる機能を喪失させた可能性が高い。

 同原発の2台の地震計で記録された今回の地震の最大加速度は、448ガルと431ガル。東電は同原発で予想される揺れの最大値を600ガルと想定していた。しかし、東電関係者の証言によると、この揺れによって、送電線を支える原発西側の鉄塔が倒れた。その結果、自動停止した原発に送電できなくなり、1~3号機の冷却機能がストップした。

 続いて襲来した津波は海水ポンプを水没させた後、タービン建屋にぶつかり、原子炉建屋の脇を抜けて西側にある小山の麓までを水没させた。緊急炉心冷却装置(ECCS)などを動かす非常用ディーゼル電源も海水に漬かり、6号機を除き使用不能になった。

 津波の正確な高さは不明だが、東電は土木学会の研究成果などに基づき、「津波が5~6メートルの高さであれば施設の安全性は保てる」としていたことから、6メートル以上あったとみられる。東電はまた、近海でマグニチュード(M)8・0の地震による津波で水位が上がっても、海水ポンプなどの機器に「影響はない」としていた。

 今回の地震の規模はM9・0で、想定した地震の約30倍というけた違いの大きさ。あるベテラン社員は「入社以来、何十年も原子力の安全性を信じてきた。『まさか』という気持ちの連続だ」と肩を落としていた。

(2011年3月19日07時50分 読売新聞)
御前崎市長だけが報道されていたが、ほかの市長と知事とは歓迎している。
これは心強い。

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浜岡原発停止要請、地元・御前崎市長が反発

 菅首相が6日夜、浜岡原発のすべての原子炉停止を中部電力に要請したことに対し、静岡県内の関係者の間で歓迎や戸惑いの声が交錯した。


 川勝知事や周辺市からは「英断だ」と首相の決断を前向きに受け止める声が相次いだのに対し、原発が立地する御前崎市は「首相の選挙対策だ」と痛烈に批判した。一方、産業界からは、早くも夏場の電力不足を心配する意見が挙がっている。

 川勝知事は6日、「福島第一原発の事故を受け、安全性確保に対する地元の要望を最優先した菅首相と海江田経済産業相の英断に敬意を表する」と、国の決定を評価するコメントを出した。その上で、「国は地元経済への影響についても適切に対応していただかねばならない」と、交付金が減少する地元自治体への財政支援について注文を付けた。

 浜岡原発の運転再開などを了承する立場の「地元4市」の一つ、牧之原市の西原茂樹市長も、「原発の運転は、国が判断すべきことだと思っていた。画期的な判断だ」と手放しの喜びよう。菊川市の太田順一市長も「原発事故で高まった市民の不安を受け止めての判断と思う。現時点では適切と考える」とコメントした。掛川市の松井三郎市長も、「判断は妥当。原発停止は要請ではなく国の責任と意志において命令で行うべきだ」とコメントした。

 浜岡原発から30キロ圏内に位置する藤枝市の北村正平市長は、「誰もが非常に不安に思っており、いったん原発を止めたうえで安全対策を施すべきだと思っていた。国の停止要請で肩の荷が下りた」と安堵(あんど)した。

 これに対し、原発が立地する御前崎市の石原茂雄市長は、「突然の話で、驚いている。言葉もない。5日に浜岡原発を視察に訪れた海江田経産相の『結論は急ぐな』という発言は、何だったんだろうか」と憤まんやるかたない様子。さらに「4、5号機を止めるなら、日本の全原発を止めなくてはならない。日本の原子力行政すべてを見直してほしい。東海地震は、初めから想定されていた。なぜ、この時期に安全でないと止めるのか、分からない。電力不足の問題もある」と批判は止まらない。最後は「菅首相の選挙対策だ。日本の全体を考えてほしい。国は地元の話を聞いてほしい」と切り捨てた。

 浜岡原発から約600メートルの場所に住む御前崎市原子力対策特別委員会委員長の柳沢重夫市議も「1967年から、地域住民の意見を集約して建設を進めてきた。地元は粛々と原子力行政を受け入れてきたのに、信じられない。今まで地元、地元と言ってきたのは何だったのか」と不信感をあらわにした。さらに、「これで交付金も減るし、市の財政も大変な状況になる。地元で約1200人が働いているが、雇用にも影響が出る。国が止めると言ったのだから、当然それなりの対策を講じてもらいたい。一気にこういうことになると、市の存亡にかかわる。それだけ大きい」とまくし立てた。

 県の小林佐登志危機管理監は、来週初めにも原子力安全・保安院に説明を求める考えを示した。その上で、「交付金の減少が見込まれる周辺自治体の予算については、国に対応を求めていく」と話している。

(2011年5月7日09時54分 読売新聞)
石橋克彦教授は「原発震災」という概念を1997年に提出し、原発、特に浜岡原発の停止の必要を指摘した人である。

http://historical.seismology.jp/ishibashi/opinion/2011touhoku.html

これらの文献は必読。2005年の論文では以下のように指摘している。

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「日本列島の地震現象を客観的に直視すれば、日本の原発は耐震安全性と使用済み核燃料処理の両面で非常に厳しい状況にある。(中略)産官学癒着の「原子力村」には、水俣病・薬害エイズ・BSE 問題などと同様の腐敗(とくに専門家)の構図がある。膿を出し切って審査の厳正さと透明性を確立しなければ、安全な原発は期待できない。そもそも、過去および将来の震源域の真上に原発を造るべきではない。ところが耐震指針は、どんな大地震でも技術でカバーできるという自然を侮った考え方になっている。」(石橋、2008、59-60)
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ここには、今回の事故の本質が既に明瞭に指摘されている。その要点は以下である。

(1) 自然を侮っていること。
(2) 産官学の癒着による腐敗の構図があること。
(3) 原子力村は、水俣病、薬害エイズ、BSE問題など、さまざまの同様の構図の一環に過ぎないこと。
(4) 学者が特に問題であること。

これらは、同じ問題のひとつの表現であるが、まずは(2)を炙り出すべきである。


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浜岡原発:石橋・神戸大名誉教授「もっと早く止めるべき」

石橋克彦・神戸大名誉教授=中澤雄大撮影
 浜岡原発は東海地震の想定震源域の真上にあり、その危険性がたびたび指摘されてきた。東海地震の可能性を70年代から警告し、「原発震災」という言葉も提唱した石橋克彦・神戸大学名誉教授(地震学)は今回の要請について「全面停止は当然だが、もっと早い時期に止めるべきだった。少なくとも福島第1原発事故が起きた直後に止めなくてはならなかった」と指摘する。

 石橋名誉教授は「1978年に(東海地震への対応を定めた)大規模地震対策特別措置法が制定され、公共施設や民間施設などが防災対策を講じたにもかかわらず、直ちに停止すべき原発は聖域とされ、運転し続けてきた。浜岡原発をもっと早く止めていれば、それを機に原発の安全性への見方が厳しくなり、日本の原発行政が変わって福島第1の惨事も防げたかもしれない」という。

 石橋名誉教授は、05年の衆議院予算委員会公聴会でも浜岡原発への懸念を表明していた。

 石橋名誉教授は「アメリカでは地震は原子力発電所にとって一番恐ろしい外的要因と考えられている。地震の場合はいろんなところがやられるので、多重防護システムが働かなくなるなどで、最悪の場合、炉心溶融とかにつながりかねない」と指摘。浜岡原発については「東海地震の予想震源域の真上。中部電力は東海地震に耐えられるというが、地震学的に疑問がある。想定の地震がまだ不十分ではないか」と話していた。

 また、浜岡原発の地理的な特性として「御前崎は南西の風が吹くことが多い。その場合、静岡、三島を通って箱根の山を越えて、首都圏にも流れてくる」と懸念した。

 さらに、地震と原発事故が複合的に起こることで「放射能から避難しようと思っても、地震の被害で、津波や液状化で道路、橋はずたずた、建物は倒れ道路をふさいでいるということで、逃げようにも逃げ切れない。原発事故に対処しようと思っても対処できない。通常の震災では救出できる人が見殺しになる」と危惧を示していた。【藤野基文、飯田和樹】

毎日新聞 2011年5月6日 22時31分(最終更新 5月6日 22時46分)
原発を放棄すれば、保険を払う必要が無くなるはずだ。今のお安い保険は不可能で、大幅に値上がりするはずだから、それだけで火力にしたほうがお得ではないだろうか。

今回の事故でそもそも経営は中部電力でさえ圧迫されるのである。それを無視してこういう記事を書くのは、ひどい。

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浜岡原発停止なら、中部電力の赤字避けられず

 浜岡原子力発電所(静岡県御前崎市)の全面停止が避けられない情勢となり、中部電力は、火力発電などへの切り替えに伴う発電コスト上昇で、2011年度の営業利益が赤字転落する可能性が出てきた。

 夏には管内で電力の供給力不足に陥る恐れもあり、中部電の経営は大きく圧迫されそうだ。

 中部電は、定期点検で休止中の浜岡原発3号機を7月に再開することを前提に、11年度の業績見通しを算出していた。しかし、菅首相による6日の運転停止要請で状況は一変した。

 中部電によると、原発1基分を火力発電で代替すると、燃料コストは1日2億~3億円上昇する。原発の稼働率が1%下がるごとに、営業利益は年26億円押し下げられる計算だ。

 5月以降の稼働率がゼロとなった場合、11年度分で2000億円を超える減益要因になる見通しだ。中部電は、11年度の営業利益を1300億円と予想しているため、営業赤字に転落する可能性が高い。

(2011年5月7日00時24分 読売新聞)
静岡県知事“英断に敬意”
5月6日 20時59分  NHKニュース

菅総理大臣が中部電力の浜岡原子力発電所の運転停止を要請したことについて、発電所がある静岡県の川勝平太知事は「福島第一原子力発電所の事故を受けて、安全性確保に対する地元の要望を最優先した、菅総理大臣と海江田経済産業大臣の英断に敬意を表します。国は、地元経済に対する影響についても、適切に対応してもらわなくてはならない。静岡県は省電力、省エネルギー対策に、これまで以上に取り組むとともに、安全な代替エネルギー源の確保を加速するように全力で取り組みます」とコメントしています。

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川勝平太知事が相当に頑張ってくださったようだ。

http://ameblo.jp/anmintei/entry-10840724626.html

で批判したように、3月24日の段階では、以下のような体たらくだったことを考えると、その誤りを認めて敢然と行動した姿に感動さえ覚える。「君子豹変す」とは、まさにこのことである。川勝先生を「馬鹿」呼ばわりしたことを深く反省し、謝罪したい。

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中部電力の水野明久社長は24日、静岡県庁に川勝知事を訪ね、非常事態訓練を行うなどの安全対策を講じたうえで、定期検査中の浜岡原子力発電所(同県御前崎市)の3号機の運転を早ければ4月上旬に再開するとの方針を説明した。

 川勝知事も「安全対策をしっかりしたうえで決断すれば、尊重したい」と述べ、安全措置をとったうえで運転を再開することを認める考えを明らかにした。

 会談後、水野社長は「知事の力強い言葉は大変ありがたい。東日本で計画停電が行われている緊急事態のなかで、3号機を間もなく立ち上げ、(中電の)管内の電力の安定供給と東日本の応援に全力を挙げて取り組みたい」と語った。
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以下の要望書が4月18日に出ていた。

山下俊一教授の話と比べれば、一目瞭然であろう。

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                       提言書

内閣総理大臣
菅 直人殿

 東北沖に起こった巨大な地震と津波の激甚災害、その対策に尽力されていることに敬意を表します。その上、福島原発に空前の放射能拡散の巨大惨事が発生し、日夜、苦慮、対策に奔走されておられるご苦労とご心痛を拝察申し上げます。
 私どもは多年、原発の技術的危険性と事故発生による放射能の恐怖を指摘し、原発に依存しない社会をと願ってきました。今回の惨事には言葉も出ません。「安全神話」にすべてをゆだね、疑問と批判を無視して原発推進してきたことに対しては機会をあらためて論ずることとして、当面の緊急対策について私たちの危惧と提言をさせて頂きます。
 すでに信じがたいほどの放射能が拡散しています。その上、事故原発の状況も不透明、収束の見通しも立っておらず、今後も異常事態の重なる危険はいまだ消えていないようです。この状況の中で、近隣住民への放射線被曝の不安解消への真剣で具体的対策を強める必要があります。とくに子供と妊婦には慎重な配慮と施策が求められています。

(1) 現在、公表されている大気中の放射線量や甲状腺の内部被曝量は恐るべき高水準にある。30㎞圏外飯舘村や川俣町、いわき市などでも、その現状は危惧ですますことのできない高レベルの汚染である。まず緊急対策として幼児・妊婦の疎開に政府は責任をとり、そのために経済的支援を用意すべきである。

(2) 学校敷地、通学路、公園など子供の生活空間・敷地については、早急なる除染の作業を行い、被害軽減の対策を進めることが必要である。

以上提言するに当って、現状の放射能汚染の深刻さに注意を重ねて喚起しておきたいと思います。従来より、放射能の危険から従業員と公衆を守るため、法令によって、「管理区域」を定め、事業者に業務遂行上の必要のある者以外の立ち入りを禁止させています。管理区域は「3ヶ月につき1.3m㏜を超えるおそれのある区域」と定められていますが、時間当たりにすると0.6µ㏜となります。公表されている大気中の放射線量だけに限っても広範囲の地域が長期にわたって、高濃度の汚染です。たとえば浪江町(赤宇木)では25.3µ㏜/h(4月16日現在)ですから、規制レベルの実に40倍を超えています。遠く福島(1.87µ㏜/h)、郡山(1.82µ㏜/h)でも約3倍の高水準の汚染です。妊婦や幼児がその地域に生活し続けている事実に注目し、深く憂慮いたします。
 現実的政策には多くの困難のあることは承知しておりますが、妊婦と幼児への対策として、高濃度汚染地域から可及的速やかに実施されることを、重ね重ね強く提言したいと思います。
                                 
2011年 4月 18日

    
原発事故と今後を憂うるサイエンティスト有志
     石田 紀郎、今中 哲二、荻野 晃也、海老沢 徹、川合 仁、川野 眞治、小出 裕章
     小林 圭二、柴田 俊忍、高月 紘、槌田 劭、中地 重晴、原田 正純、松久 寛

連署者紹介

石田 紀郎   元京都大学教授 現市民環境研究所代表理事
今中 哲二   京都大学原子炉実験所助教
荻野 晃也   元京都大学講師 現電磁波環境研究所主宰
海老沢 徹   元京都大学原子炉実験所助教授
川合 仁    現代医学研究所代表 医師
川野 眞治   元京都大学原子炉実験所助教授
小出 裕章   京都大学原子炉実験所助教
小林 圭二   元京都大学原子炉実験所講師
柴田 俊忍   京都大学名誉教授(機械工学)
高月 紘    京都大学名誉教授(環境保全学)
槌田 劭    元京都精華大学教授 使い捨て時代を考える会
中地 重晴   熊本学園大学教授 環境監視研究所代表
原田 正純   元熊本学園大学教授(水俣学)医師
松久 寛    京都大学教授(機械理工学)
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