この事件が起きたとき、私はイギリスにいたので全然知らなかった。数年経って、無罪判決が出たときに、はじめて事件の内容を知って非常に驚いた。

被害者は、父親が東大⇒東電、母親が有名な女子大出身という典型的エリート家族で、本人も慶応大学経済学部⇒東電の39歳の女性であり、拒食症で痩せほそった肉体で1日4人以上をノルマとして毎晩売春してそれを克明に記録し、終電で帰宅するという生活をしていて殺された、というのであるから。その上、家族(母親と妹)や、東電の社員が知っていた、というのである。しかも犯人とされたネパール人は、冤罪の可能性が高いというのであるから、十重二十重の闇である。

そのあと、まったく意識から消えていたので、下の記事で、逆転有罪になっていたことに驚いた上で、更に別の人物がいた証拠まで出てきて驚いた。まことに、驚くことの多い事件である。

この記事が出て思い出したのだが、

「東大」
「東電」
「冤罪」

という三題噺は、ちょうど今回の原発について私がブログで書いてきたことと被っている。おそらくこれは偶然ではなかろう。これが日本社会の中枢部分の核心なのであり、その暗部が、このあわれな女性を通じて噴出したのが、この殺人事件だったのであろう。

ちなみに、拒食症と売春癖とは共に、何らかの虐待被害と関連しているケースが多いと私は認識している。この女性がこのような事態に至った社会的・家族的背景の解明は、日本社会が、今回の事故を乗り越える上でも、意義が大きいと私は感じる。

東京電力という組織の周辺には、「対社会的には、それなりに機能していて、表面的には内情が分からない」タイプの「機能不全家庭」が渦巻いていて、それが組織のこれほどの機能不全と相互強化している、と私は推測するのである。この事件の遺族や関係者が、そのような勇気を持ってくだされば、ありがたいのだが。。。。

尚、赤城高原ホスピタルというところのHPに、摂食障害について以下のように書かれている。
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背景としての機能不全家庭-トラウマ ] 

摂食障害患者が、機能不全家庭の女子に多く発症することは経験的事実です。「機能不全」とはいっても、対社会的には、それなりに機能していて、表面的には内情が分からない場合も少なくありません。

 単に機能不全というばかりではなくて、中等度以上の摂食障害患者は、性的被害を受けていることが少なくありません。時には、これが発病契機や原因的要因になっています。幼児期の性虐待のほか、レイプ被害も多く、時には学校の先生や、治療者、カウンセラーからの性的被害もあります。このことは、男性摂食障害者についてもあてはまります。摂食障害と性的被害の関係を否定する専門家もいるようです。軽症患者では両者の関係が必ずしも強くないこと、性的被害が自由に発言できるような治療環境(情報量、集団療法、自助グループなど)かどうか、などの要因が関係していると思います。
 また摂食障害者は、家庭環境に加えて、学校環境からもストレスを受けていることがあります。たとえば、いじめ、受験競争、海外でのストレス体験などです。
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それから売春をする人には性依存症が多く、それもまた、性的虐待が原因になっている場合が多い。たとえば、週刊誌だが、週刊ポストで和田秀樹氏が次のように述べている。

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 単に「性的に放縦な人間」と見られることも少なくない「セックス依存症」だが、ギャンブルやアルコール、薬物など他の依存症と同じく、自らの空虚感を強迫観念に基づく性的行為でしか埋められないという非常に厄介な精神疾患なのである。精神科医で国際医療福祉大学大学院教授(臨床心理学専攻)の和田秀樹氏がいう。
「セックス依存症に悩む女性たちの多くは、過去の恋愛がトラウマになっていたり、幼い頃に肉親からの愛情に恵まれなかったり、虐待にあっていたりという辛い体験を持っています。彼女たちは“本当に自分が心から愛された経験がない”などと、満たされない思いを感じている場合が多く、セックスの快楽が一時的に恐怖や不安からの避難所となっている。
 そのため、目の前の快楽を我慢しようという欲望を抑える精神のメカニズムがうまく機能していないのです。まず男性には、依存症が本人にとってとても深刻な病気であることをぜひ知ってほしい」
 国内には複数の自助グループがあり、定期的にミーティングが開催されている。しかし、依存症から克服できたと笑顔で脱退する女性は、およそ2割だという。この精神の悩みはメスではどうにもできない。本人の継続的な治療の意志はもとより、パートナーや周囲の理解が不可欠である。
※週刊ポスト2011年5月20日号
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東電OL事件、再審の可能性…別人DNA検出
読売新聞 7月21日(木)3時1分配信

 東京都渋谷区で1997年に起きた東京電力女性社員殺害事件で、強盗殺人罪により無期懲役が確定したネパール国籍の元飲食店員ゴビンダ・プラサド・マイナリ受刑者(44)が裁判のやり直しを求めた再審請求審で、東京高検が、被害者の体から採取された精液などのDNA鑑定を行った結果、精液は同受刑者以外の男性のもので、そのDNA型が殺害現場に残された体毛と一致したことがわかった。

 「(マイナリ受刑者以外の)第三者が被害者と現場の部屋に入ったとは考えがたい」とした確定判決に誤りがあった可能性を示す新たな事実で、再審開始の公算が出てきた。

 この事件でマイナリ受刑者は捜査段階から一貫して犯行を否認。同受刑者が犯人であることを直接示す証拠はなく、検察側は状況証拠を積み上げて起訴した。

 2000年4月の1審・東京地裁判決は「被害者が第三者と現場にいた可能性も否定できない」として無罪としたが、同年12月の2審・東京高裁判決は逆転有罪とし、最高裁で03年11月に確定した。

 マイナリ受刑者は05年3月、東京高裁に再審を請求した。

 同高裁は今年1月、弁護側からの要請を受け、現場から採取された物証についてDNA鑑定の実施を検討するよう検察側に求めた。これを受け、東京高検が精液などのDNA鑑定を専門家に依頼していた。
最終更新:7月21日(木)3時1分


前にも書いたが、日本に続いてヒバクシャの多い国は、アメリカと旧ソ連だ。なぜなら核兵器を維持管理し、開発するために、国土を汚染し続けているからである。上の映像にある劣化ウランを用いた兵器は、核分裂を用いた兵器に勝るとも劣らぬくらい、悪魔の兵器だと思う。

やられた中東の国々の被害もすさまじいものがあるが、それと同時に兵士として使い捨てにされるアメリカ国民もひどい目にあっている。
下田教授は阪大で文系向けに原発を理解するための授業を行っておられる。そのなかの非常に重要な指摘が、原子力用語に関するものである。

原子力に関する特有の言い換え

 <公式表現>
原子炉の高経年化
原子力安全委員会
原子炉安全専門委員会
プルサーマル
MOX燃料
サイクル機構
使用済み燃料
高レベル廃棄物
特定放射性廃棄物最終処分
原子力発電環境整備機構

というのが公式の表現なのだが、これらは実は下記の言葉の隠蔽的な言い換えだと下田教授は指摘する。

<公式表現>        <正しい表現>
原子炉の高経年化     ←  原子炉の老朽化
原子力安全委員会     ← 原子力危険性審査委員会
原子炉安全専門委員会   ← 原子炉危険性専門審査会
プルサーマル       ← プルトニウム燃焼
MOX燃料         ← プルトニウム・ウラン混合酸化物燃料
サイクル機構       ← 核燃料サイクル機構
使用済み燃料       ← 使用済み核燃料
高レベル廃棄物      ← 高レベル放射性廃棄物
特定放射性廃棄物最終処分 ← 高レベル放射性廃棄物最終処分
原子力発電環境整備機構  ← 高レベル放射性廃棄物最終処分事業者


こういう姑息な言い換えをしておいた上に、連中は、「原子炉の高経年化と老朽化とは違うのです」とか言って、「老朽化」と言う人を、素人扱いして見下す、というようなことまでやるのである。トコトン、精神が腐っている。

このブログでも繰り返し、「名を正す」ということを指摘してきたが、下田教授ははるか以前から、この問題の本質を明らかにしてこられたのである。

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阪大豊中発・放射性物質大量拡散時代をどう生きるのか?知識と知恵を蓄える!

日時:2011年7月23日(土)1時すぎから
場所:大阪大学豊中キャンパス大阪大学会館1階アセンブリー(旧浪花高校のイ号館で、阪大80周年を記念して今年度リニューアルしたホールです)

https://55099zzwd.coop.osaka-u.ac.jp/daigaku-hall/
1時:開場 第一部講演会

講師:下田正(大阪大学大学院理学研究科教授)
講演「核物理屋が解説する原子力発電のしくみと放射線の影響」

対話者:深尾葉子(大阪大学経済学研究科准教授)

質疑応答

3時30分:休憩

4時:第二部ワークショップ

講師:福本敬夫(大阪大学大学院理学研究科助教)
内容:「ガイガーカウンターのしくみと使い方―ガイガーカウンターは何をどうやって測るのか―」


6時:阪大カフェ坂(大阪大学博物館MOU一階)にて懇親会(ビアパーティ)
   会費1500円(事前申し込み要・ globalmanagement@mail.goo.ne.jp まで。簡単な自己紹介とともにお申込みください)

主催:大阪大学経済学研究科深尾研究室・コミュニケーションマネジメント研究会
東電は自分で自分の頚を締めたいらしい。
経産省は支払を命令しないのだろうか?

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福島第1原発:東電が仮払い拒否 幼稚園など「対象外」

 東京電力福島第1原発事故で被害を受けている事業者に対する損害賠償を巡り、東電が幼稚園や老人ホーム、診療所への仮払金の支払いを拒否していることが、毎日新聞の入手した文書などで分かった。支払い対象の事業者を中小企業に限定し「学校法人や社会福祉法人、医療法人は法律上、中小企業に該当しないため」と説明。将来の賠償も「分からない」としており、全被害者への賠償責任を定めた原子力損害賠償法に反した姿勢に厳しい批判が出ている。【清水憲司、松谷譲二】

 東電広報部は毎日新聞の取材に対し「学校法人などにも仮払いする必要性が高いことは十分認識しており、対象範囲の見直しを進めている」と回答した。

 原発から約9キロの福島県浪江町で私立浪江幼稚園を経営する学校法人「大谷(おおや)学園」が、中小企業に1社当たり最高250万円の仮払いが始まったことを知り、6月14日、仮払いを請求した。

 その後、東電・福島補償相談センター(福島市)が同22日付でこの文書を出した。文書には「学校法人は(法律上)財団法人で、中小企業ではないので対象外。(今後の補償も)分からない」と記載されている。

 原賠法は文部科学省の「原子力損害賠償紛争審査会」が損害の範囲を判定する指針を策定すると規定。審査会は4月の1次指針で、救済対象の事業者を「営業被害などを受けた多数の事業者ら」と幅広く定めており、中小企業に限る法的根拠はない。

 毎日新聞の取材では、他に南相馬市の幼稚園を経営する学校法人▽同市で特別養護老人ホームを運営する社会福祉法人▽富岡町で診療所を経営する医療法人--が仮払いを拒否された。福島県によると、福島第1原発から半径30キロ以内には▽6学校法人▽22医療法人▽15社会福祉法人--がある。

 浪江幼稚園の大谷清子(せいこ)園長は「園児約160人が皆いなくなり収入はゼロなのに人件費などで月100万円の支出がある。仮払金がもらえず、将来も賠償されないのではと思うと不安で眠れない」と訴えている。

毎日新聞 2011年7月16日 2時35分
23日に大阪大学で以下のイベントが行われます。

下田先生は、原発がどういうもので、何がおかしいのか、極めて詳細かつ懇切丁寧におしえてくださいます。関西近辺の方は、ぜひ、このブログのオフ会気分でお越しください。私も参加します。終わってからビア・パーティがありあます

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(コミュニケーション・マネジメント研究会)

阪大豊中発:放射性物質大量拡散をどう生きるのか?

3・11の大震災およびそれとともに発生した福島原子力発電所の事故は文字通り未曽有の危機を引き起こし、また現在もその事故の対応および被曝という長い脅威との闘いが現在も多くの人々を苦しめ、人生を変え、精神と身体に影響を与え続けています。こうした中、阪大豊中キャンパスでも、何か市民に開かれたセミナーを発信してゆくことはできないか、と考え、その一連の活動の一環として本セミナーを企画いたしました。

前半は、理学部原子核物理学の下田正教授に、原子力発電所の発電のシステム、放射線とはなにか、生物や身体にどのような影響があるのか、をわかりやすくお教えいただきます。下田先生は、大阪大学共通教育で文系の学生に理学的知識を持ってもらうための講座を行っておられ、その中でも国の原子力政策は、「原子力安全言語」ともいうべき実態と乖離した特殊な業界言語を使用しているために、放射能や原子力といった言葉が正しく用いられないばかりか、原子力技術に従事する当事者の認識をもゆがめてゆく、、、という重要な指摘をしておられます。学内のニュースレターでこの発言を読んだことがあり、いろいろな人に尋ねてようやく下田先生の発言であったことがわかり、お尋ねし、今回のセミナーをお願いすることに。

後半は、ワークショップで、同じく大阪大学理学研究科化学専攻助教の福本敬夫助教に、ガイガーカウンターのしくみと使い方について、講習していただきます。3・11以降、各地で放射線測定の必要性を感じ、自衛的に購入する方も増加していますが、一方ガイガーカウンターは何を、どんなしくみで測っているのか、を知る機会は少なく、やみくもに、数値をみて驚いたり、不安になったりするケースも少なからずあります。長年阪大で放射化学の実験の指導を担ってこられ、3.11以降は、阪大豊中キャンパス内の線量の計測ならびに福島の土壌サンプルの計測などを行っておられる福本先生に、ガイガーカウンターは、何を明らかにしてくれるのか、を実際に現場で測りながら指導していただきます。また、手持ちのガイガーカウンターがある方は、較正済のガイガーカウンターと同じ位置で同じ線源を測ることにより、それぞれのガイガーカウンターの示す値がどのくらいの誤差を持つものかを確認していただくこともできます。

講演およびワークショップは無料です。

また、終了後、阪大坂のカフェ坂にて、ビールを囲んで簡単な懇親会も企画しております。質問の時間もできるだけ、設けたいと思いますので、放射線について関心や危機感をもっているけれど、よくわからない、という方、もっと知りたい、という方どうぞ積極的にご参加ください。なお懇親会は有料で、事前申し込みが必要です。(軽食込で1500円程度。申し込み先はglobalmagagement@mail.goo.ne.jpまで。お名前、所属など簡単な自己紹介文付きでお申込みください)

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阪大豊中発・放射性物質大量拡散時代をどう生きるのか?知識と知恵を蓄える!

日時:2011年7月23日(土)1時すぎから
場所:大阪大学豊中キャンパス大阪大学会館1階アセンブリー(旧浪花高校のイ号館で、阪大80周年を記念して今年度リニューアルしたホールです)

https://55099zzwd.coop.osaka-u.ac.jp/daigaku-hall/
1時:開場 第一部講演会

講師:下田正(大阪大学大学院理学研究科教授)
講演「核物理屋が解説する原子力発電のしくみと放射線の影響」

対話者:深尾葉子(大阪大学経済学研究科准教授)

質疑応答

3時30分:休憩

4時:第二部ワークショップ

講師:福本敬夫(大阪大学大学院理学研究科助教)
内容:「ガイガーカウンターのしくみと使い方―ガイガーカウンターは何をどうやって測るのか―」


6時:阪大カフェ坂(大阪大学博物館MOU一階)にて懇親会(ビアパーティ)
   会費1500円(事前申し込み要・ globalmanagement@mail.goo.ne.jp まで。簡単な自己紹介とともにお申込みください)

主催:大阪大学経済学研究科深尾研究室・コミュニケーションマネジメント研究会
中曽根が原子力予算を成立させた経緯を語っている記事がヒットした。

「カリフォルニア州バークレーのローレンス研究所にいた、理化学研究所の嵯峨根遼吉博士と会って相談した」「彼は三原則をぜひ守ってくれ、と言った。一つは、長期的展望に立った国策を確立すること。二つ目は、法律と予算でそれを裏付けること。三つ目は、優秀な学者を集めること。いいかげんな学者が群がって来るが、いい学者を入れないと発展しない-と彼は言っていた。私はいい話を聞いたと思って、それを実行したわけだ」

と言っている。「いいかげんな学者が群がって来るが、いい学者を入れないと発展しない-と彼は言っていた。私はいい話を聞いたと思って、それを実行したわけだ」などと威張っているが、笑止千万である。今日の原子力関係学者の顔を見れば明らかだが、

いいかげんな学者が群がって

いる。とんでもなくいい加減な連中である。

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http://www.toonippo.co.jp/rensai/ren2006/nakasone/index.html

2006年3月19日(日)
■中曽根康弘元首相に聞く

連載INDEX
(上)「むつ」廃船/原船離れ 世界のすう勢

 -一九八三年十二月、中曽根首相(当時)は衆院選の遊説先の青森市で記者会見し、「下北半島は日本有数の原子力基地にしたらいい。原子力船母港、原発、電源開発ATR(新型転換炉)と、新しい型の原子炉をつくる有力な基地になる。下北を日本の原発のメッカにしたら、地元の開発にもなると思う」などと発言したが、どんな背景があったのか。

広大な土地と海

 「原子力は日本のエネルギー、生活力を支える非常に大事な要素になると考えていた。電力一つ取っても石炭・石油から脱却しなければならない時代が来る。中長期の原子力開発計画を頭に描いた場合、日本列島の中で原子力の開発センターになるのは、広大な土地があり、海にも面している下北半島だと考えていたから、そのように話した。大体、そういうふうに展開してきたと思う」

 「原子炉は今後、高速増殖炉の方向に発展していく。核融合も最終目標としてある。それと同時に、再処理の問題が出てきて、再処理から派生する射線科学が生まれ、日本、世界に対する発信地になる。そういう可能性を頭に描いて申し上げた。青森県の皆さんには非常に理解していただき、協力していただいた点は大いに感謝している」

 -電気事業連合会が青森県に再処理工場を含む核燃料サイクル施設の立地を要請するのはメッカ発言の翌年の八四年四月だが、事前に水面下の動きを把握していたのか。

 「もちろん、そうだ。恐らく、原子力の将来を考えている、いろんな事業体が立地問題を考えていたと思う。発電所の立地点は電力需要地との関係もあり、全国に分散しているが、原子力の中心になる再処理事業まで含む中枢センターというのは全国に一カ所程度だ。それはやはり、下北半島だとにらんだし、その通りになったと思う」

 -茨城県東海村に続く第二の原子力センターが必要ということか。

 「東海村は広さに限度がある。東海村は日本原子力研究所(現・日本原子力研究開発機構)を中心に発展していくべきものであって、実用炉および実用炉から出てくるいろいろなものの処置・研究は東海村だけでは手に負えない。何しろ狭すぎる。そういう点から、実用炉を中心とする次の基地となるのは下北半島だと考えていた」

 -メッカ発言については、青森県関係者からの働き掛けもあったのか。

 「それはない。全然ない。むしろ、あの当時の世論からすると、迷惑な発言だと受け取られる危険性の方が強かったと思う。しかし、安全性については私は確信を持っていた。だから、今後展開していくとみていた。安全性に不安があったら、そんな発言はできない」

地域の理解重要

 -原子力に比較的寛容な土地柄であることも考慮したのか。

 「そうだ。それでも実際問題としては、いろいろな問題で青森県知事の承認を得るのに苦労してきた。地域住民との話し合いによって、施設の安全性を確認してもらうことが推進力になる。科学的に立証された材料を提供しながら説明をし、了解を得ることが大事だ」

 -青森県とのかかわりが深い原子力事業に、原子力船「むつ」がある。「むつ」は放射線漏れトラブルの後、自民党「原子力船を考える会」で廃船論が急激に高まり、自民党科学技術部会は八四年に「開発中断」との結論を出し、国策だと思っていた青森県民を驚かせた。

 「(原子力船にしようと考えていた)砕氷型巡視船『そうや』の実験が必ずしも成功していなかったことが大きい。世界各国の原子力船開発に対する意欲も薄れていた。ソ連が砕氷船を運用していたほかは、潜水艦や航空母艦として導入されていたぐらいだ。費用の問題や、住民の反応を見て各国とも民間用としては手控えてきた。商業用船舶に使われる可能性が世界的に少なくなった。日本も世界的すう勢に従わざるを得なかった」

 -原子力船の誘致による地域振興を願っていた地元関係者には、原子力開発に熱心な中曽根首相(当時)なら廃船論を抑えてくれる、との期待感もあったと思う。

 「軍事用には使われるけれども、一般の商船用には使われない。そういう世界的すう勢を見ていたから。日本は世界的な海運国だから、外国と同じペースで進まないと地位が保てない」

 -下北半島が日本のエネルギー政策に果たしてきた役割をどう評価しているか。

 「日本の原子力発展については一番高い貢献をしてもらっている。今後の原子力開発の将来を見ると、下北半島にはまだ余裕がある。施設立地をお願いする前に、国が責任を持って港湾と高速道路の整備を急ぎ、原子力推進に国として力を入れて取り組むことが大事だと思っている」(聞き手=政経部・福田悟)



2006年3月20日(月)
(下)原子力50年/政治の力で利用に道

 -中曽根氏が、昭和二十八(一九五三)年度予算に突然、修正案という形で原子力関連予算を提出したのは、どういう思いからだったのか。

 「五三年、私は米国ハーバード大学の国際研究セミナーに招待され、終了後に米国の原子力施設を視察した。アイゼンハワー米国大統領の『アトムズ・フォー・ピース』(平和のための原子力)という発言が大いに注目を集めたころで、軍事機密を民間に公開していた。米国では民間の原子力産業会議が発足したことも知り、このままでは日本は遅れてしまうとの危機感を抱いた。そこで、カリフォルニア州バークレーのローレンス研究所にいた、理化学研究所の嵯峨根遼吉博士と会って相談した」

 -博士からは、どんな助言があったのか

 「彼は三原則をぜひ守ってくれ、と言った。一つは、長期的展望に立った国策を確立すること。二つ目は、法律と予算でそれを裏付けること。三つ目は、優秀な学者を集めること。いいかげんな学者が群がって来るが、いい学者を入れないと発展しない-と彼は言っていた。私はいい話を聞いたと思って、それを実行したわけだ」

 -当時の学術界の様子はどうだったのか。

 「日本学術会議の茅誠司会長、伏見康治さん(大阪大学教授)らが原子力研究の承認を得る動議を出しては、ことごとく否決され、動きがとれなかった。そういう状況を見て、政治で壁を破る以外にないと決心した。事前に情報が漏れると反対運動が起きるから、川崎秀次君、桜内義雄君、稲葉修君ら同志にだけ極秘に相談した。私は予算委員会の筆頭理事を務めていたが、党幹部に前日に相談し、予算案が予算委員会を通過する直前に修正案として出した」

党派を超えて

 -修正案提出は各界に衝撃を与え、大騒ぎになったとか。

 「当時、私は改進党に所属していた。予算案を組んでいた自由党は小憎らしいと思っただろうが、反対するわけにもいかない。改進党が賛成しなければ、予算案が通らない状況だったからだ。短時間の仕事だったからうまくいった。成立した原子力関連予算は、原子力平和利用研究費補助金二億三千五百万円とウラニウム資源調査費千五百万円だった」

 -翌五五(昭和三十)年にはジュネーブで第一回原子力平和利用国際会議も開かれた。

 「会議には日本も代表団を送った。工業技術院長の駒形作次博士が団長で、私と自由党の前田正男君、社会党右派の松前重義君、同党左派の志村茂治君の四人が顧問として同行した。議長はインドのバーバー博士。インドの原子力開発がかなり進んでいることが分かったし、世界の原子力情勢も知り、日本も早く取り組まなければいけないと感じた。会議終了後、四人でフランス、ドイツ、イギリス、米国を回って原子力施設を視察したほか、政策を子細に調べて、道中、四人で議論をした。羽田空港に戻る前には日本の原子力政策の要綱を作り上げた」

 「帰国後は、超党派で原子力合同委員会をつくり、私が委員長になり、原子力関連法を制定した。原子力基本法、原子力委員会設置法など八法案を一つの国会で通した。これは超党派で取り組んだ結果だ。与野党とも世界の進運に遅れてはならない、との切迫感があった。それが原子力推進の大きな力になった」

 -原子力基本法の施行から半世紀がたち、国内では五十五基の原発が運転し、電力供給の三割を賄うまでになった。

 「今後もさらに動力炉の改善が進んでいくと思う。プルサーマル(軽水炉でのプルトニウム利用)、高速増殖炉といった技術的進歩に取り組んでいかなければならない。ナトリウム漏れで停止したままの高速増殖炉原型炉『もんじゅ』についても事態を改善して前進させる段階になってきた」

 「米国は原子力開発を一時ストップしていたが最近、ブッシュ政権が日本やフランスに追い付こうとして、再処理まで含めて動きだした。米国では既に百基以上の原子炉が動いているから、追い付くのも早い。ドイツ人は用心深いために遅れているが、フランスはもう十分な発展を遂げ、実績を積んでいる。英国も進んでいる」

地域の理解大事

 -原子力関係者や立地地域に望むことは何か。

 「新型原子炉開発、廃棄物処理、放射線の多目的利用をさらに前進させる段階になってきた。石油が高騰して(資源小国の)日本は原子力開発が一番必要な状況になってきている。米国ですら今、慌てて再開し始めたのだから。原子力推進のためには、やはり(地元住民と)話し合い、理解を得ることが大事な要素だ。分からない分野だから(不安を抱くのも)無理もない。日本の原子力施設は震度6ぐらいでも問題ないような耐震構造にしてあるため、費用はかかるが、それでもやらざるを得ない状況だ」

 -エネルギー政策に関する小泉純一郎首相の発言はあまり聞かない。

 「小泉君は集中主義で、道路公団と郵政の民営化問題から目を離さない。しかし、政治で一番大事なのはエネルギー政策、それと科学技術だ」(聞き手=政経部・福田 悟)
日経新聞で報道された、九電やらせメールの例文が凄い。原子力安全欺瞞言語の簡潔な集大成である。


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「弱者が犠牲に」九電やらせメール、例文も提示
調査報告で明らかに
2011/7/14 18:25 日経新聞

 九州電力玄海原子力発電所(佐賀県玄海町)2、3号機の運転再開を巡る「やらせメール」問題に関し、九電は経済産業省資源エネルギー庁に14日提出した内部調査報告の中で、同社佐賀支店が意見投稿の事例文を作成し、投稿依頼した取引会社などに示していたことを明らかにした。

 報告で例示された事例文は以下の通り。

 ■将来的には再生可能エネルギーへ転換していくことが望ましいかもしれませんが、現段階においては、安全対策を講じながら原子力発電を運転していくことが必要であると考えます。そのことが九州経済、ひいては日本の経済維持発展に大きく寄与するものと考えます。日本全体のことを考え、九州を含む西日本が元気を出して、生産や経済を回さなければならない中、電力不足は絶対にあってはならないことです。発電所の安全対策を強化し、徹底した監視のもと、早く(九州の)原子力発電を再開すべきと強く要求致します。

 ■電力が不足していては、今までのような文化的生活が営めないですし、夏の「熱中症」も大変に心配であります。犠牲になるのは、弱者である子供や年配者の方であり、そのような事態を防ぐためにも、原子力の運転再開は絶対に必要であると思います。併せて電力会社の方には、万全な安全対策をくれぐれもお願い致します。

 ■太陽光や風力発電を否定するわけではなく、推進することも必要であると考えております。しかし太陽光や風力発電は天候に大きく左右され、利用率が大変に低いと聞いております。また、火力や原子力発電に比べて広大な面積が必要になるなど、現在の技術面・コスト面から考えますと、補助的な電源にはなっても、代替の電源となり得ることは到底無理であると思います。よって、当面は原子力発電に頼らざるを得ないと思います。

 ■科学的データに基づいて、今回の福島原発事故の事象の要因は津波であるとの国からの説明がありました。各電力会社では「緊急安全対策」に加え「シビアアクシデント対策」を実施しているとの新聞報道がありましたが、安全対策については十分に実施されており、発電を再開することについて全く問題はないと思います。国も「発電再開しても問題ない」と示しているにも関わらず、何故発電再開が出来ないのでしょうか。

 ■テレビにて「夏の電力供給力の見通し」の放送があり、電力供給の予備力が約3%しかないとのことでありました。もしも、現在稼働中の火力発電所でのトラブルや、全国的な猛暑などが続いた場合は、電力が不足し最悪の場合は停電が懸念されます。東京電力のお客様は、計画停電の実施により大混乱を招いたと聞いておりますが、そういう事態を招かないためにも、一日も早い原子力発電の再開を強く望んでおります。

 ■トヨタ自動車の豊田章男社長より、電力不足の広がりに対して「日本での物づくりは、限界を超えた」との記者団への発言がありましたが、電力不足が国内産業(生産)の空洞化に益々拍車をかけることが懸念されます。代替電源が直ちに準備できない現状では、原子力発電の再開は不可欠なものであります。
最後に、香山氏はなぜ、あのようなブログを書いてしまったのか、考えたいと思う。

香山氏の当初の考えでは、彼女は「脱原発」であって、その動きを加速させるための議論を書こうとした。ところが、調べる過程で、原発をめぐる知識の体系に魅せられていって、心が動いてしまった。

原子力発電所の爆発という恐るべき事実世界の露呈と、小出裕章という真の仮面ライダーの出現は、このような仮装された人格に、強い衝撃を与えたのであろう。この衝撃を香山氏が正面から受け取っていれば、「大人の世界」を離脱して「事実の世界」と踏み込むスペクタクルが展開するはずであった。

ところが香山氏にはその勇気がなかった。そこで、この心の動きを抑えこむために考え出した答が、

「知的レベルが高く、情報収集に熱心で、いまの世の中の趨勢を注意深く見ている人」、「特に、これまで一般社会にうまく適応できなかった、引きこもりやニートといった人たち」がハマっているような、そういう子どもじみた逃避的感覚なのだ。

と自分に言い聞かせて、そこから離脱する道だったのであろう。このような考えに彼女が至ったのは、

「会社人間としての振る舞いや低俗なオヤジギャグに会話を合わせることに耐えられません。薄汚いごますりや打算、好きでもない商品を売ることに対して、強い欺瞞を感じ」、
「『食っていくためには、嘘もつかなければいけないときもある』大人が発するそんな言い訳めいた言葉に、かえって嫌悪感を強めており」、
「自分がやりたくもないことを、社会をまるでわかっていないような頭の悪い人たちと一緒にやりたくない。劣等感と優越感がない交ぜになったような、一面では純粋な理想主義者」

と描写されるパーソナリティが、まさしく、香山リカ氏本人のそれだからなのだと思う。

香山氏は、そのような傷つきやすい弱い心を押し隠し、

「『自分はどうせ受け入れられない、というのは、自分の思い込みに過ぎない』という思い込み」

の力によって、世間に漕ぎ出して、グイグイと押し進んできた、そういう人物なのではないかと思う。

一連のツイッターで私が、香山氏のことを「愚か」だと言ったのは、いま思えば、彼女が真実と出会いながら、それを奇妙な屁理屈で回避したことを指していたのだ、と思う次第である。これこそ、悲劇である。

(了)