ネタばれもありよ。
これも子供の頃に最後の方だけ観たのだが、脳裏に焼き付くインパクトだった。
ここにきて、やっと最初から最後まで観ることが出来た。
奇しくも先に観た『北斎漫画』と同じ新藤兼人が監督。不思議な偶然。
主演に乙羽信子と、この監督お気に入りの女優なのかしら。
『北斎漫画』もそうだったけど、この監督の映画は脱ぎっぷりが潔いというか、裸シーンが多い。
八は佐藤慶だったんだなー。ぎらぎらしていて、こんな男が身近にいたら裸足で逃げ出す勢いあるけど、吉村実子演じる若い女も負けてない。
鬼面の武将がこれまた宇野重吉。めっちゃ美男だ美男だとハードルあげてくるからどんな顔かどきどきしちゃったよ。
結局、あの武将は何の病気だったんだろなー。そして雨に濡れたせいでお面からその病原菌が音羽信子にうつったってことなんかなー。そんな感染症あるんかねー。見た目はなんとなく天然痘っぽくもあるけどね。あるいは武将はお面の毒に犯されていて、雨でその毒がしみ出したとか? 実はあの面は漆で出来ていて、漆でかぶれたとか? となんかあれこれ考えちゃうね。
お面が取れないというシチュエーションは割と怪談話の定番というか、子供の頃楳図かずおの漫画にもそんなんがあったような気がするんで、既視感はあるんだけど、恐ろしい顔になった老婆が若い娘を追いかけるラストはやっぱりインパクトあるね。あと、曲の使い方も不安を煽る。
八は実にあっさり亡くなった。あの後、あの義母娘はどうなるんだろうなー。
映画全体の印象はアートっぽいというか、ススキの草原描写がとにかく美しくて印象的。
登場人物が草原を疾走する映像も素晴らしかった。
また、草原に仁王立ちする般若の姿もコワ美しくて絵になる。
とにかく映像はモノクロならではのコワさ、美しさが最大限に生かされていたように思う。