富士急ハイランドのアトラクションちゃうでー。

これは今村昌平監督による1981年公開の映画。

遙か昔テレビ放映の際に見たのだが、途中から見たこともあって、内容はさっぱりわからん。

でもなんだかインパクトはかなりあったので、なんとなく最初からちゃんと見直してみた。

 

幕末の民衆運動であったええじゃないか騒動を描いた作品。

幕末という動乱の時代は武士のみならず、民衆にも大きな混乱を招き入れた。

ええじゃないか騒動に関しては民衆運動とされる考えと、倒幕派が国内を混乱させるために引き起こした陽動作戦という説もあるようで、映画でも倒幕派が火付け役のように描かれている。


のっけから当時の風俗描写が面白い。見世物小屋の様子とか割と丁寧に描写されている。

桃井かおりが股を閉じたり開いたりする芸(?)は鈴木清順『ツィゴイネルワイゼン』でもあったけど、あの当時のポピュラーなエロだったんんだろうか。

メインは泉谷しげる演じるメリケン帰りの源次と桃井かおり演じるその妻イネ。

そこに琉球からやってきた草刈雅雄演じるイトマン。緒形拳演じる浪人、露口茂演じるヤクザの親分金蔵など、いろいろな人間模様が描かれる。

そのあたりがごちゃごちゃとしてちょっとわかりにくい作りになっている。
 
特にわかりにくかったのは、打ち壊しに成功した農民が、代官と村人の同意のもと、生け贄としてイネの兄が処刑され、その後、謎の集団によってイネも陵辱、父親も殺されるという悲劇に見舞われる訳だが、一体あの集団はなんだったのか最後までわからんかった。
 
とにかくこれまで長く支配されてきた幕府に対し、鬱憤がついに爆発したかのように、ええじゃないか騒動が起こる訳だが、そこに至るまでのドラマはそこまで面白くない。
ただ、やっぱり大勢のエキストラを動員したと思われるええじゃないか騒動のクライマックスは見所であり、群衆描写も迫力あるし、なんとも言えない爽快感がある。
 
結末は悲しいものだが、不思議な後味のある映画。
大傑作とは言いがたいが、ええじゃないか騒動をこんなにしっかり描いた映画もなかなかないので、貴重な気もする。
 
桃井かおりはどこかはすっぱ感のある女性がよく似合う。
しかし、今村昌平はイネの役は太地喜和子にすればよかったと言ってるようだ。
脚本は悪くないので作り直したいということらしいが、イネ役が太地喜和子なら傑作になったかどうかはよくわからない。
今村昌平の作品はこれと『楢山節考』『うなぎ』しか観たことないけど、性描写をふんだんに入れてくる監督という印象。
この作品もやたらに女性の裸体が登場し、お尻丸出しの放尿シーンまである。
今の映画だとなかなかここまでの描写は出来ないんじゃないかなーなんてことを思った。