テレビでやってたんで、なんとなく途中から観てみた。

新海誠監督の作品は『君の名は。』『天気の子』と観るのは3作目になるが、毎度、きちんと腰を据えて観たことがない。

毎度美男美女の主人公という面白みのない設定に心引かれないし、キャラデザインも好みではない。ストーリーもなんだかあざとく感じる。

それでも、映像的には見所がある。今回も自然描写等は綺麗だった。

最初はなんとなく流し見していたが、終盤出てきたサダイジンが刺さって、ちょっと感想を残しておこうと思う。

 

 

ネタバレ

 

私が観た時はすでにイケメン長髪男が椅子になっていて、そこがちょっと面白いと思った。歩く椅子って言うと松谷みよ子『ふたりのイーダ』を思い出すな。

扉を閉めるためにいちいち呪文を唱える感じも中二病的だが結構好き。ダイジンという猫の姿の要石が抜けたことで、日本に地震を起こすミミズが解き放たれたということらしいが、そういえば『天気の子』白石晃士監督の『オカルト』を思い起こさせるものがあったが、今回もミミズってところが、白石晃士監督大好きの霊体ミミズを思い出したり。土を這う生き物だから天変地異の象徴になるのかな。

ダイジンがこれまたなかなかイライラさせてくれる存在で、ヒロインが怒りをぶつける場面はちょっとすっきりしたんだけど、後であらすじを調べたら、そもそもこの要石を抜いたのはヒロインで、しかもダイジンにうちの子になる?と言ったのもヒロインだったと考えると、ダイジンがちょっとかわいそうになる。

ある意味これってヒロインのマッチポンプ的なお話なのか?

それとは別に、無縁仏とかにむやみに同情を示すと取り憑かれたるなんて話もあるから、ヒロインの下手な同情によって地縛霊に取り憑かれて、大事な人を奪われるというホラー的なストーリーにも思える。

 

実はこの要石は、九州と関東に存在し、関東の要石はサダイジンと呼ばれている。

要石が何故猫なのか、何故閉じ師である若者の祖父とサダイジンが知り合いのような関係なのかは説明がない。

考察の中で、あの猫たちももとは閉じ師だった説があるが、それにしてもダイジンは幼く子供のように感じる。

閉じ師の若者が徐々に神になっていくように、ダイジンもまだまだ若い神ってことなのか。また閉じ師の若者が望んで要石になった訳ではないことを考えると、ダイジンもまた自分の意思に反して人柱となったのか。そう考えるとますますダイジンは気の毒に思える。

その点、サダイジンはダイジンよりも体が大きく、年上に見えるので、今やかなり神に近づいているのか、最初から志し高く要石になったのか、とにかく黙々と自分の使命を果たそうとする姿が自分的にはかなりツボった。

それまで要石が二匹という設定は知らなかったから、途中から唐突にもう一匹現れた時はおおっと思ったし、サダイジンが人の本音を吐きだたせる力もあるというの惹かれる。

何より最後にミミズと戦う巨大化したサダイジンが頼もしく、もう、主役ふたりのストーリーとかそっちのけで、完全にサダイジンが気に入ってしまった。それこそこのサダイジンにまつわる背景など妄想が膨らむ。

なんで、サダイジン見たさに機会があれば今度は最初からちゃんと観たいなーなんて思う訳だ。いっそ、最初からこのダイジンとサダイジンを主役に作品を作ってほしいとさえ思えてくる。

それ以外はほんと相変わらず新海誠監督の作品は心に刺さらん。311とか背景は重いのになんだか安易にエンタメとして消費されているように感じてしまう。