邦題は「危機」と書いて「ピンチ」と読むそうです。「本気」と書いて「マジ」と読むみたいなもんですね。

ちなみにテレビ放映時は『SF人喰いアメーバの恐怖』、ビデオ発売時のタイトルは『スティーブ・マックィーンの人喰いアメーバの恐怖』となっているそうです。なぜに、スティーブ・マックィーンがこんな映画に主演?と長年疑問でしたが、まだスターになる前に出演したものだったのですね。で、日本ではマックイーンの人気があがってから公開されたという流れがあるようで。


公開は1958年ですから、まあ、エイリアンの描写がどうしてもちゃちいのはしょうがない。

昔の映画って描写が丁寧なんで、そのあたりのテンポもだるかったりします。

私はテレビ放映時吹き替え版で見たので、途中で英語に切り替わる場面はテレビでカットされたシーンなのだなーとわかりますが、実際カットされたと思しきシーンは主人公と仲間が車で勝負するしないのやりとりを長々やっていて、お話にあまり関係ない部分なのでカットして正解だと思いました。

 

アメーバー状のエイリアンというアイディアは良いのですが、肝心のアメーバーが丸くてのろのろした動きなんでいまいちスリルが伝わってきません。

またおびえる登場人物のアップとアメーバーのアップが交互に繰り返されるカットが多く、両者の距離感がわかりにくい為、危機感をあまり感じないのです。

見せ場の映画館やバスのシーンも、もうひとつ迫力不足。

特にバスのシーンはいかにも絵って感じになってしまうし、昔の技術と低予算の残念さがあります。

ちなみにアメーバーに襲われる映画館で上映されていたあの映画はなんだろうとちょっと気になって調べてみました。『DAUGHTER OF HORROR』という映画ですが、日本では未公開のようです。


主人公がアメーバーの存在を訴えるとなかなか信じてもらえないあたりはこの種の映画のセオリー通りとはいえ結構イライラさせてくれます。

警官も基本暢気な感じ。それでいて警官がチェスをやるシーンのBGMが妙に緊張感を煽ってきますが、別に何が起こるという訳でもないという肩透かし感。こういうちょっと無駄な演出は昔の映画にありがち。

 

実は昔、友達がこれと続編の『悪魔のエイリアン』を立て続けに見て、あらすじを説明してくれたものでした。

でも実際に見るのは今回がはじめてなので、そういう意味では「友よ、やっと君があのとき教えてくれた映画見られたよ」の気分です。

 

とりあえず、映像はちゃっちいはちゃっちいけどストーリーそれなりに見られる作品ではあります。

良くも悪くもいかにも昔のホラーパニック映画という感じですね。