アニメ史上最も可愛く、最も猫の特徴を掴んでいると思われるのが、この長ぐつをはいた猫シリーズだと思うし、自分も『シュレック2』からずっと好きなのだけど、今回はちょっとキャラデザインが変わってしまったようで、それまでのかわいさが少し目減りした気がする。
プスの大きな瞳のうるうるキメ顔も、デフォルメが過ぎて可愛いというより怖い。
アクションシーンは『スパイダーマン:スパイダーバース』からインスピレーションを得たと言うことで、確かに見せ方がこれまでと違う。ちょっと日本アニメっぽい印象を受ける。
また、絵画的デザインに力を入れたとあって、これまでの隅から隅までフルCGアニメという感じよりは、柔らかな表現になっている。でも、ことこのシリーズに関しては前作までの雰囲気が良かったなーという気分である。時代や技術の進歩でいろんな表現を取り入れたいというのは制作者としては当然なのかもしれないが、なんとなくこれまでより雑な印象を受けてしまう。
ということで、絵的にいまいち受け入れがたいものがあって、公開当時は結局劇場で観なかったのだが、レンタルで観ると思ったより猫の表現は今までと変わらず可愛かった。特にプスが最初に医者に猫パンチをくらわせたりする描写がとても可愛い。
ストーリーも今までで一番良く出来ていたし、脇キャラのセラピードッグを目指すワンコのキャラも前回のハンプティダンプティより好感がもてる。
でも、やっぱりキャラデザインはこれまでのデザインやってほしかったなーという残念さが残るね。
あと、吹き替えで今までプスの声をやっていた竹中直人はなぜ降板したんだろう。一説によればギャラが高いからという話もあるが真相は?
竹中直人の声はかっこいいと思うけど、彼の声を聞くとどうしても竹中直人本人が頭に浮かんでしまうんだよねー。ただ、ずっとシリーズで声をしてきたから、やっぱり引き続き竹中直人で続投してほしかった気持ちもちょっぴり残る。
でも山本耕史は悪くなかったけどね。歌も上手だし。と言うか、思ったより彼の声がはまってたんで、これはこれでありかなーと思う。
ネタばれ
一口で言ってしまうと長ぐつをはいたネコ版『100万回生きたねこ』って感じ。
そして、主人公とヒロインがいい感じになった作品の続編は大体ふたりは別れているという法則通りの展開。
多分、ふたりが幸せに暮らしていたとしてしまうとドラマが作りづらいという事情なのかな?
そうでなければふたりが無事結婚して家庭を作り、そこにプスのジュニアが誕生して親子で冒険的な感じにするか、どっちかになってしまうんだろうな。
三匹のくまのお話とかなかなかニッチなところを狙ったのは良い。個人的にこのお話好きだったな。
ビッグ・ジャック・ホナーは登場シーンがタランティーノの映画っぽくて格好よかった。
願い星の地図が見る人によってその道のりが変わるとうあたりも面白かった。欲のないセラピードッグの道が一番平和だけど、ワンコのような性格でないとその道でさえ困難になるというのが面白い。犬がバラの香りを嗅いで褒めるとバラが道を空けてくれるあたりの展開は良かったな。
死神ウルフも格好よかった。
いろんな魔法グッズの使いどころとか、ピノキオの良心的役割を果たすコオロギとか、ちょいちょいコネタも良かった。
結末は王道と言えば王道で、なんだか久しぶりにこの種のめでたしめでたしを見た気分。
新鮮味のある結末ではないが、まあ、それまでの展開が面白かったのでよしとしよう。