ネタバレあり

 

エイリアンの一作目がアートとしての傑作なら、この二作目はエンタメとしての傑作だ。

どちらも製作から40年以上たった今観ても傑作である。


ジェイムズ・キャメロンらしい強いヒロイン。そして母性と母性の対決。

さらに惑星を舞台にエイリアンと海兵隊の戦争というスケールアップ。二作目でも一作目と同等に十分おもしろい作品が作れるという素晴らしい見本。

 

ただ、この映画一作目よりかなりスケールアップして大作風なんだけど、音声解説聞くと驚くほど低予算なのね。

まあ、確かによく観ると、海兵隊なんか前半でほぼ全滅で、あとは殆ど室内戦だし、上手い具合にお金かけずにスケール感を演出しているあたりは感心する。

 

そして、やっぱり気になることはある。

せっかくリプリーがアドバイザーとして同行してるのに、ろくに作戦をたてない海兵隊ね。

エイリアンの酸性の体液に対する対策はないし、ただやたらめったらドンパチするしかないという脳筋っぷり。

案の定エイリアン撃って体液浴びてぎゃーって展開。なにやってんだか。

で、入植民が繭にされている場所に核融合炉があるってことで、武器が使えなくなり、火炎放射器のみで対応することになるのだが、その時点で一回撤退して作戦練り直した方がいいと思われるのに、なぜか強行。現場にはなぜ銃器が使えないか説明しないもんだから、こっそり持ち出すやつがいて大混乱。接近戦になるとわかっていながら仲間の放った火炎放射器で死ぬ隊員までいる始末で、いくら未知のエイリアンとはいえ頭使わなすぎ。

 

でも、まあ、このあたりの流れは十分おもしろいからよしとするけどね。

 

この映画のおもしろい所は、再びアンドロイドが登場するところ。ビショップ演じるランス・ヘンリクセンが前作のアンドロイド同等いい味だしている。前作と違っていいやつなのもいい。彼がパイプを通って移動するあたりは、閉所恐怖症にとっては悪夢のシーンだ。

パイプを閉じる際「指を挟まないように」と注意するあたりは細かいながら「もし指をはさんだら」と思うとぞっとする。

 

あと中尉が実にいい。エリートだが実戦経験がなく、想定外な事態に動揺する脆い面もありながら、最後の最後に男気を見せるあたりはしびれる。中尉を軽蔑していたバスケスも最後は悪態をつきつつも彼を見直したのではないかなーっとこのふたりの自決シーンはかなり印象的だ。キャラ立ちがしっかりしている映画に間違いなしってね。

 

待機している飛行艇が、それこそエイリアンがどこかに潜んでいる可能性もあるのに、無防備にオープン状態なのも「…」ではあるんだけど、ええ、それ言ったらドラマが起こりませんから、私も大人になって目をつぶります。

ジェイムズ・キャメロンのエイリアンは口から白い液を吹いている奴が多くてちょっと汚らしい。

 

自分が最高に好きなシーンはエイリアンを迎え撃とうとスタンバイしている時に、探知機がすでにエイリアンが部屋に侵入していることを示すシーン。実は天井裏にいたことがわかるんだけど、なんで見取り図を見た時誰も天井裏のスペースに気がつかなかったんだろう…(さらに床下にも侵入出来るスペースがあって、ドアだけ溶接しても意味がないくらいたてこもりに不向きな部屋だったという間抜けさ)と気になる点もあるけど、ここはほんま最高だったわ。

 

通気口をミュートと共に移動するリプリー。後からついてきた海兵隊はよくふたりがどの通路を通ったかわかったなー。

 

リプリーはエイリアンにさらわれたミュートを20分足らずで助けに行くけど、どう考えても無理だろってくらい時間が過ぎている。

 

ちなみにリプリーはクイーンを前にエッグチャンバーを焼き払うのだが、どうせ基地は核爆発するんだから、わざわざそこで焼き払うのは実に無駄。おかげでクイーンがしつこく追ってくるし、ちょっとクイーンを挑発し過ぎだろうと思う。

まあ、あそこでエッグチャンバーを焼き払った混乱に乗じて他のエイリアンに追われずに済んだとも言えるかもしれないのだが。

 

クイーンとの最後の対決で、再びエアロックから船外に放出するくだりは、クイーンのような巨大なエイリアンに片足をつかまれながら、よく股関節が外れることもなく助かったもんだと思う。

 

完全版ではリプリーが宇宙を漂流しているあいだに50年以上が過ぎ、娘が死亡していたというエピソードがあるが、だからこそミュートを必死に守り最後にミュートがリプリーに「ママ」といって抱きつくシーンがぐっとくる。

とにかく何度観ても楽しい映画だ。

 

マイケル・ビーン『ターミネーター』と並び、一番かっこいい時代だったなー。

結局『ターミネーター』同様に最初は頼もしいのに、最後はぼろぼろになって女性に助けられているキャラだけど。