原作は清水カルマの小説らしい。

中田秀夫監督はそれこそ『女優霊』という伝説的に怖い映画を撮った監督なのだが、もはやマジコワな映画は撮れなくなってしまったのか、マジコワだと観客動員出来ないから完全にエンタメ方向に振り切ってしまったのだろうか?

しかしその結果、清水崇監督もそうだが、かつてはジャパニーズホラーを牽引してきた二大監督が今は作る映画作る映画評判が悪い。

この映画も評価はあまりよろしくない。

が、私は実は嫌いではない。決していい出来とは思わないが、霊能者が良かったという一点のみで嫌いにはなれないのだ。

 

予告の段階から九字を切るシーンが気に入ったので、不評にも関わらず一応観ておこうと思った訳だが、予想通り霊能者はキャラ立ちしていた。

私は霊能者がキャラ立ちしている映画が好きなのだ。

『来る』しかり、白石晃士監督映画しかり。

この映画の霊能者がもっと活躍することを期待してたので、そこは拍子抜けするものがあったが、まあ、それでも爪痕は残してくれた気がする。ちなみにこの霊能者キャラはものすごく白石晃士っぽい。

 

内容的には橋本環奈がひたすらおびえて恐怖するシーンの繰り返しで飽きる。どうせ橋本環奈は死なんのだろうし。

橋本環奈が呪われる原因が実に理不尽ではあるが、まあ、呪いなんて理不尽なものなのかもしれない。

 

ということでぶっちゃけ霊媒師以外は特筆すべきものはない。

 

 

ネタばれあり

 

橋本環奈はせめて実際不倫関係であったくらいのことがないとあそこまで呪われるのは釈然としない。

でもそうしなかったのは橋本環奈のイメージダウンを恐れたことなのか、原作からしてそうなのか。

(最後にきて旦那も実は橋本環奈に惹かれていた事実が発覚したので妻が嫉妬することに一応納得はしたけどね)

 

『ペットセメタリー』っぽいという指摘もあるが、私はちょっと『パラサイトイブ』なんかも思い出したりして。

あと『キャリー』とか『リング』とか。

超能力を持った女性のたたりかと思ったら、実は息子の力だったというあたりはまあまあひねりは利いている。一度死んで蘇った者が恐ろしいというミスリードになってるあたりは良かった。

この映画を多くの人が異口同音に怖くないと言ってるが私は霊媒師がやられるシーンはちょっと怖かった。

自信満々で頼りになりそうな存在が、自分の能力以上のパワーに恐れ、結界を張って閉じこもって回避しようとするが、結局回避出来ない、自分はもう終わりだと悟る場面がなにげに怖いっていうか。自分的にはもう助からないと自分の運命を悟るシーンというのは大体怖いと感じる。

その後、白石晃士のネオみたいなホスト系霊媒師の弟子が自ら首を切り落とすシーンなども気分が悪かった。

このあたりの一連のシーンをギャグと揶揄する人もいるが、私は結構きついシーンに感じられたな。

出来ればこのふたりによるお祓いバトルが観たかったが、そうそうに死んでしまったのは実に残念でもったいない。

 

息子は母親の力を受け継ぎ、雷によってパワーアップした訳だが、そのような力のない夫も呪文を唱えたら息子が復活するエンディングはちょっと意味不明というか、息子に力があったからとかげや妻が再生したわけではなく、そもそも呪文にパワーがあったってことなのか???