1985年にアメリカジョージア州でツキノワグマが麻薬密売業者が投函したコカインを過剰摂取して死亡した実際の事件を元にしているようだが、もうね、それはヒントにしたってレベルで後はもう完全に創作ね。
熊ってテディベアしかり、プーさんしかり、ダッフィーしかり、ぬいぐるみ的に愛されキャラだけど、実際はとっても怖い存在というか、『三毛別羆事件』『福岡大学ワンダーフォーゲル部ヒグマ事件』『石狩沼田幌新事件』と北海道で起こった数々の獣害を読めば、絶対に出会いたくない生き物だったりする。
こちらの作品はブラックコメディとして作られているので、比較的笑える出来ではあるが、熊に襲われる描写はなかなかえぐい。
結構な登場人物が登場するが、キャラ立ちしていて、誰が誰だかわからないということもなく、そのあたりは上手いなーと思った。
中盤まではまあまあ面白かったのだが、後半で「あ、そっち方向に行っちゃうのかー」という残念感があった。
詳しいことはネタバレで。
ネタバレ
子どもが登場した時点でちょっと嫌な予感がした。
子どもが登場する場合に、2パターン予想される。
A 子どもは何があっても殺されない。
B この予想を裏切りあえて子どもを殺す。
で、Aのパターンとなると途端に緊張感が失われるし、ファミリー映画の様相を呈する。
自分としてはこの種の映画にファミリー映画的ぬるさはいらないというか、子どもを映画の中で殺せないのなら、最初から子どもを登場させるなという気分である。
実話ではコカイン・ベアはコカイン中毒死をするが、映画ではコカイン一包み丸呑みしたにも関わらず熊は死なないし、親子共々めでたしめでたし的空気で終わる。
ブラックコメディという作りながらいまいちとがりきれない甘さで中途半端な印象を覚える。
いや、ことさら残酷にしろってことでもないんだけど。
この映画では、なぜか、野生動物管理官や森林警備隊員や救急隊員などが悲惨な殺され方をしたりする。
まあ、全般的に大人は容赦なく殺されるね。
ギャングのボスの息子と、ボスの手下コンビなどはなかなか微笑ましいものがあり、このふたりはしっかり生き残る。
ボスを演じるのはこれが遺作となったレイ・リオッタ(『ハンニバル』で脳みそ食われた人って印象しかないけど)。
キャラ的には彼の演じた役はウィレム・デフォーもはまりそう。
この映画では東屋のシーンが面白さの頂点だったなー。