白石晃士監督によるWOWOWのホラードラマの劇場版らしい。

ホラードラマの方は未見なので、ドラマのダイジェストなのか、ドラマの流れを組んだ新作なのかもわからない。

 

しかし、毎度おなじみ白石晃士監督の分身である黒石光司が登場し、宇野祥平演じる江野祥平も登場する。江野くんは『オカルト』ではただのやばい人だったけど、すっかり正義の味方側というか、謎の力も身につけたヒーローとなった。

黒石くんの助監督として、『戦慄怪奇ファイル コワすぎ!』シリーズと同名の市川もいるし、なんだったら、ちょい役で工藤Dも登場したりする。最初、モブのひとりが工藤Dに似てるなーと思ったけどまさかねーと思ったら、やっぱりまさかの工藤Dだった(笑)

そして何よりも白石ワールドの中では最強の霊能者ネオも再登場。演じている俳優は『カルト』の時とは別人だけどね。それでもネオ再登場は嬉しかったな。白石監督が描く霊能者たちが好きなもんで。

 

映画の設定は工藤Dのいない『戦慄怪奇ファイル コワすぎ!』シリーズって感じ。そこに『オカルト』『カルト』の世界も融合し、ネオの登場で中途半端に終わった『カルト』がやっと完結する勢いがある。

異世界から神を召喚する謎のカルト集団という設定なんかは『カルト』の流れっぽいしね。

このカルト集団のリーダーを演じる池谷のぶえがめちゃめちゃ上手かったなー。いい人っぽいやばさがリアルだった。

ところでカルト集団の女性が性被害者ばかりと言う設定はなんだったんだ?

市川演じる堀田真由と依頼者を演じる筧美和子と、なかなかきれいどころが揃っていた。

 

もはや、白石ユニバースなんて話もあるようだが、出てくる登場人物はマルチバースのように微妙に違う。

 

もちろん一連の白石ワールド好きとしては嬉しい展開なのだけど、ちょっと長かったなー。『カルト』くらいの尺でやってくれたら良かったんだけど、基本なんか異界の物があらわれてパニクって逃げ惑うだけのシーンが多いもんだから、ちと飽きる。それに画面酔いするのもしんどい。仮にも映画監督と言う設定なんだからもうちょっと上手に、あるいは手ぶれ補正したカメラで撮っているという設定にして欲しい。

 

この物語の中の黒石くんは、彼が監督した『オカルティック』と言う映画がファンから高い評価を受けているようで、それはまんま、白石監督の『オカルト』のセルフパロディではないかと言う気がする。自分もやっぱり白石監督の最高傑作は『オカルト』だと思うし。

で、今回はその『オカルティック』を越える映画を撮ると張り切っているが、やっぱり『オカルト』は傑作過ぎて、この映画はそこまでの域には達していないかな。今回は脚本が大味すぎるというか、もう少し、物語性が欲しかった。

 

相変わらずちょっとやばい人が住む家の描写とかはリアルで上手い。

いろいろアイディアを凝らしたと思われる特撮も悪くない。

ラストのオチの付け方も良かった。