なぜか不意に再見したくなった。
「公開35周年記念リニューアル版」として2013年にも公開されているが、オリジナル114分に対して新作は97分となっている。
主に狐が死ぬ残酷なシーンがカットされているとかいないとか。
今回私が観たのは1978年公開のオリジナル版。ゴダイゴ版とも言うべきか?
実はこの映画、子供の頃に観たのだが、集中して最初から最後まできちんと観たことがなかった。
実家にはこの映画にちなんだ写真集や版画による絵本などもあったが、いずれも流氷にのってやってきた雄狐が雌狐と出会って子供が生まれ、やがて親離れの時がきてと言う流れは一緒。
ただ、絵本は最後に主人公と思われる子狐が口発破で死ぬところで終わる後味悪いもの。
写真集でも、口発破で顎が吹き飛んだ狐の死体の写真が載っていて、私を口発破トラウマにたたき込んだ作品とも言える。
写真集も絵本も密猟者による口発破のむごさを訴える意図があったのかもしれない。
(ちなみに口発破とは餌の中に爆薬を仕掛けて食べた獲物が爆薬で吹っ飛ぶという残酷な罠)
映画においては口発破で死ぬ狐もいるが、そこがメインではない。
5匹いる子狐は、突如行方不明になったり(映画では海の向こうに呼ばれた的な演出)、原因不明で死んだり、猟犬に襲われたり、と言った様々な死に方をし、そのひとつに口発破もあったという扱い。
映像における口発破のシーンは突然の爆発と一瞬うつる狐の死体以外は直接的だった写真集や絵本よりはソフトと言えるかも。
ドキュメンタリーと言いつつもどこまでが演出的なものなのか、どこまでが真実なのかはわからないが、罠にかかった母親が死ぬ様をずっと撮影するなど、痛ましいシーンもある。
ただ、リニューアル版がこれらのシーンをカットしてしまったのだとしたら、口発破トラウマになった自分が言うのもなんだけど、なんでもオブラートに包むのはいかがなものかとは思う。
もっとも、オリジナル版も当時それなりに批判があったようなので、今の時代は難しいのかなー。
結局最後に生き残るのは父狐と子狐一匹だけ。その子狐も耳を猟犬に食いちぎられてしまう。
それだけ自然界は厳しいのかもしれないが、なんだかとってももの悲しい気持ちになってしまい、ゴダイゴの曲調も全体に暗めなので、好きな映画ではない。
改めて見直しても、なんだか気持ちが沈む。
唯一子狐が生まれて遊ぶシーンなどはちょっと明るいムードもあるし、かわいいのだが、北海道の寒々しい映像もあいまって、どうしようもないむなしさが残る映画だ。