ネタばれあり!

 

うちには幼少時なぜか『帰ってきたウルトラマン』のレコードとウルトラマンの人形があった。

自分は繰り返しそのレコードを聴いていたので、『帰ってきたウルトラマン』の歌にはノスタルジーを覚える。

ウルトラマン人形もとても気に入っていて、旅行先で無くした時はとても悲しかった。

でも、『帰ってきたウルトラマン』のドラマ自体はあまり記憶にない。

自分の記憶にあるのは『ウルトラマン』『ウルトラセブン』まで。このふたつはよく再放送してたしね。

ウルトラマンってシリーズが37作もあるのね。なんとなく、ウルトラの父とか母とか、ウルトラ兄弟とか、ウルトラマンの生々しい後付け家族設定が出てきたあたりから冷めちゃって、全然気に留めてなかった。

個人的にはウルトラマンはやっぱり初代のデザインがシンプルで一番完成されていると思う。セブンもそれ以外のウルトラマンも見た目のデザインはウルトラマンにはかなわないと思う。

なんでそこそこ思い入れのあるウルトラマン。

『シン・ゴジラ』が思ったより面白かったので、ウルトラマンもどう料理するのかと期待して足を向けた。

ちなみにウルトラマンを観るのは子供の時以来。正直あまり詳しい方ではない。

 

初代ウルトラマンはオープニングが『ウルトラQ』のおどろおどろしさがあって、ちょっと怖いイメージなのよ。

で、映画もそのあたりを踏襲していて、出だしはかなり期待値あがったのよ。

特に怪獣を自然災害みたいに描いているあたりはよかった。こんなにしょっちゅう怪獣が現れたらやりきれないけど、実際しょっちゅう台風や地震がやってくる日本を考えれば、これはこれでリアル。

そして相変わらず、『シン・ゴジラ』節で小難しい言葉を早口でまくしたてる芸風。

怪獣を禍威獣と呼んだり、科学特捜隊は禍特対と言う名称になっている。禍特対はマスコットキャラのKATO太くんのぬいぐるみがやたら登場するのなー。ちょっとくどかった。

まあ、それはいいんだけど、案外思ったより怪獣が登場しなかったことで拍子抜け。子供の頃好きだったピグモンとかの登場も期待したんだけどねー。あと、ジャミラとか。超メジャーなバルタン星人とか。とにかく自分は『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』くらいのスケールを期待してたので、物足りなかった。

途中から知性ある外星人のエピソードがメインになっちゃったしねー。

 

ウルトラマンにカラータイマーがないことは別にいい。

でも、なんというかもうちょっとリアリティにふるのかなーと思ったけど、あまり大人向けに作られたような感じではなかった。

かつてのウルトラマンを懐かしむ大人向けに作られたのかもしれないが、自分は観ていてちょっとこっぱずかしかった。ノスタルジーとかレトロを楽しむならオリジナルを観ればいいし、今の時代に作り替えるなら、もうちょっと再構築して欲しかった。シンゴジはそのあたりのバランスが割と良かったんだけど、ウルトラマンはやっぱり子供向けっぽさを感じる。怪獣もウルトラマンも映像技術はあがっているのに、全体におもちゃっぽい。それもあえてなのかもしれないけど、なんだか興ざめしちゃう。なんだかどっちにも振り切れてない感。MCUってそのあたりのアメコミヒーローをコアなファンじゃない大人が楽しめるレベルに落とし込むのが割と上手だなーと改めて思う。

ウルトラマンが服を着てるのか着てないのか、とか、かつて予算の都合で怪獣の着ぐるみ使い回しをしていたことを揶揄するような、ちょいちょいメタ的なネタをぶっこんでくるのも「うーん」な感じ。

ウルトラマンの正体が早々にばれるのも「はやっ!」と思った。確かに今の時代人知れず変身というのは難しいのかもしれないが、それにしてもまぬけな感じ。

そういえば、ウルトラマンって目を開けている状態と言うのは、目が光った状態だったんだねー。それ公式設定?

 

あと、やっぱり庵野秀明が描く女性像が前回のシンゴジ同様好感がもてない。

変に理不尽でなんだかアニメっぽいっていうか。

そもそも相棒が自分にコーヒーを入れなかった、気が利かないとか言い出すあたりに好感もてないし、自分の相棒が実は人間の味方となって戦ってくれる外星人とわかったところで、「相棒として話してくれなかった」とか言ってビンタする思考回路はもう理解不能だよ。なんだこの女って思っちゃった。でも外国語が唐突にぺらぺらだったり、シンゴジもそうだけど庵野秀明って外国語堪能な女性にコンプレックスでもあるのか?

禍特対は科学特捜隊のような制服はないが、タイトスカートというのも違和感がある。個人的にタイトスカートは嫌いじゃないけど、仕事柄デスクワークだけと言う訳でもないだろうに、あんな動きづらい服装を選択することは不可解。今時看護師だってCAだってパンツ姿が多いのにねー。

巨大化した女性の下からアングルなど、うっすらサービスショット?って思わせる部分も少し気になる。でも、ネットに拡散された写真をメフィラスが一瞬にして消すあたりはスカッとした。

私はウルトラマン人形が大好きだったから、それなりにウルトラマンには思い入れがあるし、ウルトラマンのデザインって仏像をベースにしてたりもするんで、どこか神様っぽいというか神秘的な存在なのよね。それが、お風呂に入っていない女性の匂いを嗅いで、後で「変態」とか言われちゃうのは悲しいなー。その点、メフィラスの方が変態という概念を理解しているというか、ウルトラマンも本でいろいろ勉強した割にはデリカシーがないというか。

ここはお風呂に入っていないことを気にする女性と、そんな次元にない外星人とのギャップを描きたかったのかもしれないけど、うっすら制作者の変なフェチ感がただよっていて、ウルトラマンにそういうのはいらないなーと言う気分になる。

ウルトラセブンでもちょっとアンヌ隊員とのロマンスが描かれていたけど、自分的にはこのあたりの描写が子供時代いまいち居心地悪かったのよ。ファンの間ではこのロマンスは評判いいんだけどね。

自分はウルトラマンはあくまでウルトラマンとして超越した存在のままでいて欲しいというか。マンとは呼ばれているけど、いっそ性も超越して欲しいというか。だからウルトラ母設定とかなんか嫌だったんだなー。

 

実際ウルトラマンは人間とは比べものにならない能力と科学力があると思われるのだけど、そういう存在から観た人間の認識ってどんな感じなんだろうと考える。それは動物学者とか昆虫学者みたいな感覚のような、あるいは、ペットに感じる感情に近いのか。

ウルトラマンが人間を命に代えても守りたいという心情は、ペットに家族愛を感じる感覚と近いのか、動物保護の感覚に近いのか。

あるいは猿のコミュニティに入り込んだ人間が猿の生態を理解するにつれ次第に猿に感情移入するのに似ているのか。

こんだけバックグラウンドが違うであろう異星人と対等に友情って言うのはちょっと違う気がするんだなー。

 

メフィラス演じる山本耕史はなんだか良かった。人間の姿のメフィラスとウルトラマンが居酒屋でやりとりするあたりはちょっと面白かった。

でもゾフィもそうだけど、外星人同士で会話するときも律儀に日本語だったりするのね。

結局メフィラスとは話し合いで決着がつくあたりはちょっと拍子抜け。

そしてゾフィが人間を滅ぼそうとするあたりはびっくりだよ。光の星怖すぎるだろう。

最終的におたくっぽい男がゼットンを倒す方法を見いだすあたりはこびこびな感じ。ウルトラマンも彼からゼットンを倒す方法を聞くあたり、意外に人間より頭悪い?って感じがした。

 

禍特対がどこに基地をかまえているのかいまいちよくわからず、特に最初の方は神永が子供を助けに行く際に、「ご近所なの?」ってくらい歩いてすぐ行き着いた感じで謎だった。

竹野内豊、なんだかつまらん役で登場だったなー。どうした?

 

まあ、予想通りといえば予想通りの出来というか、まったくつまらないとは言わないけど、やっぱり『シン・ゴジラ』ほど面白くはない。

次は『シン・仮面ライダー』らしいが、仮面ライダーには思い入れが全然ないし、この感じだと期待出来ないというか、もうええわ!って気分。

それに、自分は恐竜好きの流れから、ゴジラやウルトラマンの怪獣には惹かれるけど、仮面ライダーはなー、バッタだからなー。昆虫苦手だからなー。←そんな理由?

 

※余談だけど、私が務める会社に昔藤岡弘が取材に来たことあるんよねー。