原作の松原タニシの『事故物件怪談 恐い間取り』は既に読んでいたので、どんな風に映画にするのか興味があったのだが、何しろ公開当時の評判が悪い。
ここ近年のJホラーはことごとくハズレが多いので、これも地雷案件とスルーしたのだが、アマプラ無料とあってやはり観てみることに。
実際どれほど駄目なのかを検証するためだけに観るという時間の無駄遣い。
で、評判通り駄目だねー。
何が駄目って、事故物件に芸人が住んで体験するというコンセプトは面白いのに、リアリティがない。
もっとドキュメントタッチで作ってくれたら良かったのに、演出が過剰過ぎるのだ。
もともとタニシ氏が遭遇する霊現象は地味なものだが、「もしかして霊っているのかもしれない」と思わされることが、うっすらとした怖さに繋がる。
この題材はそこがキモなのだが、映画のように幽霊の姿を派手に見せたり、登場人物がいかにもって感じの演技で演じてしまうと、こちらは「ああ作り物だな」と冷めた気分になってしまうのだ。実際こんな体験をしたら事故物件に住もうなんて絶対思わないだろうと感じるレベルのやり過ぎ感。
おまけに映画的な派手な見せ場を作って無理矢理盛り上げようとするものだから、余計にこの題材がもつ本来の怖さが損なわれ、ただのお化け屋敷映画に成り下がってしまった。
これは日本料理を食べに行ったら大味のステーキを出されたくらいのギャップだ。私からするとせっかくのいい素材が勿体ないという気分である。
かつては『女優霊』『リング』とJホラーの真骨頂と思われた中田秀夫監督も、その良さがすっかり失われたようで残念。
まあ、逆に言えば全然怖くない仕上がりだったからこそ、私が部屋でひとりで観ることが出来たとも言えるのだけどね。